2話:爆発操作
「さて…なにから初めてますかね」
超能力<適応>のおかげかあまり汗をかかなくなってきたが、それ以前に流した水分を補給するためにどこかにあるであろう川を探しに俺は森の中に入ろうとして…目の前の木が爆発した。
爆風によって5、6メートル吹っ飛ばされ、砂浜に叩きつけられ俺は無様に転がった。
「が、ハァ…」
とっさに手で顔をかばったのと長袖長ズボンを着ていた事が幸いして火傷は負わなかったが、地面に叩きつけられた時の衝撃で体中の骨が悲鳴をあげている。4、5メートル先で木が爆発したのに破片が刺さらず、大きな怪我を負わなかったのは奇跡的だろう。
だが、今一番重要なのは自分の怪我よりも誰がこの爆発をおこしたか、である。
「いってぇ…誰がこんな事---っ!」
体を起こして怪我を確認しようとしたその瞬間、森の中から人が出てきたのだ。
「外国人か?」
金髪で耳に2つずつピアスをつけ、目が充血し血走っている。
「う~ん…ちょっとタイミングが早かったかな?慣れてないから難しいなぁ」
ニヤニヤと笑いながらこっちに向かって歩いてくる。訛りの無い日本語を話しているので、どうやら日本人のようだ。
「さっきの爆発…お前がおこしたのか?」
「そ~だよ?殺すつもりだったんだけどねぇ…はずしちゃった」
「ほ、本当にお前は殺し合う気なのか?の、残り7人になったら出られるって本当にに信じているのかよっ!」
「いや~だって信じるしかないでしょう、こんな力をもらっちゃぁ…」
「力?あぁ、超能力とかスキルってやつの事か…?」
「そうそう。俺はぁ、こんな力もらっちゃったんだよねぇ。ぶっちゃけ、最強じゃね?って思うぐらい…。
ん?見たいか?いいよぉ、冥土の土産ってやつで見せてやるよぉ」
男はしゃがんで砂をひとつかみすると、上に放り投げた。
ーーババババッ
「っ!」
放り投げられた砂が爆竹のように連鎖的に爆発したのだ。
「すごいだろぉ?触れた物を爆発させることが出来るんだよぉ。勿論爆発する時間も設定出来るんだぜ」
「(マジかよ。やべぇ、化け物だな。勝てるきがしねぇ。俺の能力は適応。攻撃手段なんて…っ!ナイフがあるか……だが爆弾にナイフが勝てるとは思わないんだが…………つんだかも)」
「じゃ、そろそろ、死んでくれ。」
男はポケットから石だし投げる。
まじかよ。だが、正面から投げられ石なら…避けられるっ!
一歩右横にずれて石を避けーーーッ!
ーーードッカァァン
「ガハッ!…ぐ…ぶ」
爆風で体が吹っ飛ばされ、砂浜に顔面から叩きつけられた。
「(何故…?触れてないの…に…ッ!クソッ、俺は馬鹿か。誰が触れたら爆発すると言った。あいつは任意で爆発させる事が出来るんだ。避けても近くで爆発させられたらダメージくらっちまう……。
いや、でも今の爆風。あまり威力がなかった………。いや、違うな。さっきの木が爆発した時と威力はほぼ同じだった。…という事は、俺(•)が(•)爆(•)風(•)に適(•)応(•)してんのか人の事言えねぇぐらい俺も化け物だな。)」
「んん?何でお前まだ生きてんだ?結構近くで爆発しただろうがっ!お前、タフ過ぎるだろ…いや、何か能力か?」
「(やっぱりバレるよな。自分でも異常だと思うし…)」
「お前がどんな能力もってるかは知らねぇが、とっとと死ねやぁ!!」
ポケットから2つ石を出すと大きな振りかぶってーーーキタッ!
「(あいつは爆発の設定を任意爆発にしているはず。だったらこっちが予想外の事をすれば……)」
自分の方へ向かって来る石を右手で一つ目を、左手で2つ目の石をはらい、軌道をずらした。
普通の人間だったら投げられた石、それも爆弾をはらうのは無謀もいい所だろう。だが、適応し爆発で負うダメージが少なくなったのと、俺の目(•)が投げられる石のスピードに適(•)応(•)した事があって、初めて出来ることなのだ。
「な!」
予想外の事が起き、同様したのだろう。軌道をそらされた石は俺から2、3メートル離れた所で爆発した。
その爆風も今の俺には気持ち良いぐらいだ。
さぁ、今から反撃の時間だ!!
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