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「私にはそんな外交スキルないし、双子といっても翔の様にうまく出来る自信なんかないんだけど?」

「とにかく国王に会ってくれればそれで達成したと思って? 書状渡せばさらにヨシ!」

 ま、書状はオマケの様なもんだけどねーと、お代わりのお茶を淹れながら言った。

「僕はここでちょっとやることあるから、また後で色々注意事項伝えにくるよ。それまでジェネに色々聞いといてー」

 勢い良くカップのお茶を一気飲みして、じゃっ! と、こちらが何か言う間もなく出て行ってしまった。思いついたら即行動という翔のいつものパターンだけど、ジェネシズさんは慣れたように見送った。

「カケルはしっかりと王の責務を全うしている。今ここに来れたのも、寝る間を惜しんで仕事したからだ」

 ジェネシズさんは、翔が開けっ放しにしたドアを閉め、椅子を引きっぱなしだったのを戻し、飲み干したカップを片付けた。うう、すみません! あいつは散らかし魔なんです!!

 私も食べ終わった食器を積み重ね、ティーセットの置いてあったワゴンに置く。ついでにササッと台拭きらしきものでテーブルを拭き上げた。使い終わったもの、すぐに片付けないとなんとなく落ち着かない。長年の習性というやつだ。

 テーブルの上が綺麗になりお腹も落ちついた所で、生理的欲求がやってきた。丸一日寝ていたし水飲んだしスープ飲んだしお茶飲んだし! そりゃー行きたくなるさ、お手洗いへ。

 でも……と、私の中の乙女が恥らう。

 イケメンジェネシズに聞くのか。

 いやいやでもでも! すでにギリギリなので、ためらっている場合ではない。粗相をしてしまう恥よりも、聞く恥のほうが天と地も差があります。

「あの……お手洗いってどこでしょう?」

 顔が赤くなってる自覚をしながらジェネシズさんに聞くと、軽く目を見開き、その瞳に焦りの色を浮かべたのがわかった。

「わ、悪い、すぐに案内させよう」

 と言って、ドアを開けて誰かを呼んだようだ。うわーよかったー! お手洗いの案内なのに、あんなカッコいい人に付いて来てもらうのって恥ずかしすぎる。冷静な対応に救われたよ。そして入ってきたのは侍女っぽい衣装の、可愛いと言うより綺麗! が当てはまる、多分私とそう年齢が変わらない女性だった。

「彼女はサーラという。事情は織り込み済みなので、女性として困ったことがあったらサーラに言うといい」

「初めまして、サーラと申します。不慣れですが、心を込めてお世話をさせていただきますね」

 ニッコリ。

 あまりにステキな笑顔にきゅんとしちゃった! なんて綺麗なのサーラさん!

 感激しながらも、早速トイレへと連れてってもらうことにした。


 * * *


 トイレ、行ってきました。

 あまりの事に、即日本に帰りたくなりました。

 異文化ってすごいね。

 現代社会って、恵まれてるね!

 なんだか、大事なものを一緒に落としてきたような気がする。

 事細かく説明するのもね。色々差し障りあるけど引かれない程度にいうならば、とにかくここはラスメリナのお城で、割と上の階に居たらしいのよね。

 案内されたのは小さな部屋。よかった、ここは個室なのね! 私が住んでいた世界には、ただ溝があるだけで仕切りも無く、みんな仲良く並んでハイどうぞ! みたいな所もあるので、個室だと言うだけでもありがたい。

 ほっとした所でドアを開けたら――

「え?」

 そこは、日本のトイレの個室とあまり変わらない広さだった。うん、これはまあいいよね。広すぎず狭すぎず、ちょうどいい部屋だ。その個室の中には階段二段分位の段差があって、その上がったところの真ん中には、穴が開いていた。

 そっとのぞいてみたら、地面が見えました。かなり。

 うそーーーー!

 垂れ流しーーーー!!

 そして無情にもパタリとドアを閉められた。早くしろということか!

 しかし背に腹は変えられない。

 いざ勝負!


 あー……


 フワッとお尻を撫でる風で、何か一線を越えた気がした。

 この世界について書かれている小説に、トイレの描写が無かったため、予備知識ゼロだからね。アイドルはトイレに行かない信仰と似てる気がする。

 スッキリした所で、個室の外で待っていたサーラさんに声を掛けた。

「サーラさんお待たせしました。ありがとう」

「チッ」

 空耳? 綺麗なサーラさんから舌打ちが聞こえたような。綺麗なサーラさんの顔が歪んで見えるような?

 様相が変わったサーラさんに尻込みしながらも、あの、と続けようとしたらもう一度舌打ちがやってきた。

「グズグズしないで。アタシの仕事が遅くなるじゃないの!」

 腕組みして私を睨みつけた。

 えええ、私なにか悪いことしました? 確かにトイレには怯えてましたけど。

「ふんっ。カケル様の姉と言うけど大した事無いわね。鈍くさそうだし」

 吐き捨てるようにサーラは言うと、サッサと元の部屋へ歩いてしまった。

「え、ちょ、待って!」

 増築改築繰り返したらしい歴史あるこのラスメリナの城は、迷路のようだ。元来た部屋に迷わず戻れる自信は全く無いから、必死にサーラの背を追った。





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