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 眩しくて目を閉じていたらいつの間にか光が収束し、四人の子の額の中心にそれぞれの色をした宝珠が付いていた。これは契約の証の宝珠らしい。

 ってことは……と、私も耳を触ったら左右の耳朶に二個ずつ、赤、黄、青、緑の宝珠が付いていた。ピアスみたいにキャッチが付いてるわけでもなく、埋め込まれた……ような? とにかく取れないようになっている。これで契約は出来たのよね? 多分。


 「じゃあ、まず隊長にあなた達を見えるようにして欲しいな」


 私がお願いすると、「しょう」と飛沫しぶきが簡潔に言い、ジェネに向かって手をサッと振ると細かな霧が降りかかった。


 「! 見えた。この方達が精霊……なのか?」


 今度はきちんと精霊達に視線を合わせ、驚きを声に乗せた。ほむらはニッコリ笑って


 「おうよ! 俺様が火の精霊だ! 姫さんのお守り、ちゃんとやれよな!」


 ジェネの足をコツンと蹴り、「なー、そうだろ?」と疾風はやてに同意を求めた。


 「うん! もうぼくたちもいるし、これからはあんしんだよ?」


 「その通り。私達がいるからには姫君に仇なす者は皆無です。ただし、それは直接的な攻撃の場合に限りますよ?精霊姫となるからには、政治的駆け引きも生まれましょう。私達は人間の社会には関われませんので、その辺りを守護する者が必要になります。……その点この人間は役立つかも知れませんが」


 チラリと意味深な視線を飛沫しぶきがジェネに向け、「……さて、どちらに転ぶでしょうか」と言ってニヤリと笑った。五歳児並みの容姿なのに、やけに妖艶に見えるのが怖い。


 ジェネシズは、飛沫しぶきの意図を正確に受け取ったようで、一つ頷くと


 「風の精霊殿が危惧の念を抱かれるのも仕方ないだろうが、私は騎士の礼にてウンノを守ることを誓った。それは今も変わらない」

 

 そういって、左手を胸に当てた。


 「ふぅん……ま、頑張って下さい」


 頑張れという割にはややおざなりに言い、「姫君、後は所望に応じて呼び出して下さい」と消えた。どうやら普段は耳の宝珠に伏在するようだ。


 「んで、姫さんはいつここを出るんだ? この国の精霊は乱調子なんだよ。俺達がいるからこの辺は落ち着いちゃーいるが、時間の問題だ。そいつ、もう大分良くなっただろ? 下界は山よりマシだから、とっとと降りよーぜ」


 焔は暗くなった洞穴を照らす炎を熾し、濡れた衣服も乾かしてから宝珠へと転移した。あら結構マメなタイプ?

 残った疾風と息吹は、暖かい空気の層を作ったり、大地の恵みである食べ物などを集めてくれた。ちょっと季節感無視な物もあってビックリしたけど。


 「ひめさまー、ちょっとおはなしー」


 ちょこちょこっと近づいた疾風に、なに? と耳を近づけると


 「――ひかりとやみも、みつけてね?」


 と、憂いを含んだ瞳で小さく笑った。「今居ないの? どこにいるの?」と聞く前に疾風はスルリと消えてしまった。

 精霊は全部で六種いて、残る二種「光と闇」。昼と夜を司る、大いなる存在。

 見つけてあげてということは、今現在において所在不明なのか。


 視線を感じて下を見ると、私の耳に光る宝珠をじっと見つめていた息吹は、そのまま何も言わずに戻りそうだったので私は慌ててぎゅっと抱きしめた。

 

 「息吹、地面温かくしてくれたのあなたよね? ありがと」


 途端、カーーーーっと顔を赤くして「失礼!」と消えた。照れ屋だな、彼は。



 精霊達が皆宝珠に戻ると、辺りは静寂に包まれた。

 焔の作り出した炎は音もなく、静かに火影が揺らめいている。


 急に静かになったため、ジェネと二人きりだという事を今更ながら意識してしまった。

 

 「あ、あのっ! ジェ……隊長、お腹空きましたか? 今作りますね!」


 この状況から少し頭を冷やそうと、息吹が持ち込んだ物で、私は食事の支度をすることにした。






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