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 水分を得たことで頭がスッキリしたのか、少し気持ちに余裕ができた。

 もう一度周りを観察してみたところ、なんだか違和感がある。しいて言えば、林間学校へ行った時のような、自然の香りが強い。

 なんだろう? 気持ちに引っかかる正体を確かめたいけれど、日が傾いてきたらしく室内の明るさがちょっと足りない。

「すみません、いま何時ですか? 暗いので電気付けて欲しいんですけど」

「デンキ? デンキとはなんだ?」

 ベッド脇にある椅子に座った彼に聞くと、不思議そうに返された。まるで、『電気』という言葉を知らないかのような――

「え……? 明かりをつけて欲しいって事なんですが……?」

「わかった」

 すると彼は立ち上がり、扉近くにあった戸棚の上にあるランプに火を灯した。

 えー……と……?

 これは突っ込むとこ?

 日常生活では見かけないし、私自身扱ったことがない昔ながらのランプ。それを慣れた仕草で付けたため、本気なのか冗談なのか判断に迷う。

 いやいやいや。

 まてまてまて。

 ありえない事がふっと頭に浮かんでしまった。

 そう、よく知られたあの世界的有名なファンタジー小説だ。色々な作家がアンソロジー的な本を出していて、勿論すべて読み込んでいる。中には、そう、まさにこのような状況に陥った様子が書かれているのも……あ……る……

 ま、まさか……?

 いやな予感がまさにこの状況かと思った時、いるはずのない人物が飛び込んできた。

「ねーーーーちゃん!」

 バンっとけたたましい音を立てて扉を開け、まっすぐに私に向かってきた。

「か……かける!?」

 飛び込んできたという表現が一番正しい。

 私にぎゅうと抱きついた。苦しいよ!

「ちょっと! 何なの翔!!」

 べりっと引き剥がし、とにかく待て落ち着けと深呼吸をさせる。ホントは私が落ち着きたいのに!

「えーと、翔、半年振りくらいね?」

 海野翔。私の双子の弟。

 お互い遠方に職場があり年に1~2回会えれば良いほうになっていたので、久しぶりに会えてとても嬉しい。

 ――こんな状況じゃなければね。

「ねーちゃんも久しぶりー! 元気してたー?」

 屈託なく満面の笑みで返す翔。

 顔は整っているのにヘラッと笑うのでイケメンにみられないから残念と、周りから評される、その笑顔だ。

 翔は「あれ?」と、いま気づいたようにベッドの横にいる彼に目をやる。

「あー、ごめんなジェネ、ちょっとはずしてくれる?」

「わかった。扉の外で待機している」

 言うなり、サッと足音一つ立てずに出て行く。すばやい動きに私は声すらかけられず、ただその背中を見送った。

「彼、ジェネさんっていうんだ?」

「うーんとねー、正しくはジェネシズだよー」

 翔はベッドの横の空いた椅子に腰掛け、彼の名前を教えてくれた。

 うん、後でお礼を言わなきゃね。

「それで……一体コレは、どういうこと?」

 すべて(・・・)を含んだ言い方に、翔は勿論承知をしていた。

「うん、話せば長いことになるよー、いい?」

 ちょっと目を伏せながら言う姿は、真剣な覚悟をもって話す時だ。私も気持ちを整え、居住まいをただす。いまの状況から、聞かない事には始まりも終わりもないからね。

 翔にもう一杯水を貰い、腰を据えて翔の言葉を待った。




 

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