巻き戻し 巻き込まれ 巻き込む 許さねぇ
ブンブンハローサイキョウです。夜があける少し前ぐらいの暗い時間に起きましたが理由は単純、和と酒を飲みまくった結果ションベンしたくなっただけです。
でもこれ27回目なんですよ、え、27回も起きてるって頻尿ってレベルじゃねぇぞですって?もちろん違います。
このションベンするために起きて実際にするまでのこの時間を27回繰り返してるんだよぉ!?誰だ時間操ってんの!影響受けて過去には戻るけど記憶と肉体は保持されるんだぞ自分はぁ!
フ、まぁ良いさ自分ほどにでもなればこういったことは一度や二度では無い、後何回か繰り返せば巻き戻ししてる本人も目的を達成して使わなくなるだろう、それまで我慢比べといこうじゃないか!
…なっが。
1000回目に突入だぁ!メンタル何で出来てんだよ良い加減諦めろぉい!くそぉとうの本人は良いぞここまでして辿り着きたい目的があるんだから、でも自分は?ただ眠いのを我慢してションベン行くだけって。何で今日自分は起きてしまったんだ!いつもならこの時間は寝ているはずなのに!
あぁもう漏らすの気にせず二度寝しよっかなぁでも起きて毎回寝ぼけた状態でこのトイレ行くか二度寝かの選択するの地味に嫌なんだよなぁスッとやってほしいよスッと。
…1001回目、もう良い文句言いに行ってやる!ぶち飛ばじゃぶち飛ば!許さんぞ何処かの誰かさん!
…1005回目、くっそぉシンプルどこに居るかわからない、もっと強くあれよ巻き戻しなんて能力もってんだから気配も力もオーラも魔力も気もどれもこれも皆んな似たようなもんだからわからん!でも見つけないと2000回とかしそうだよな1000はいったんだし。
うーんもしかして探し方悪いかな一人一人能力持ってるかチェックしてたが巻き戻ってるってことは結構派手な戦闘か何かしてんじゃないか?まぁもしかしたら単純にヘタこいて巻き戻り続けないとどうしようもない詰みになってる可能性もあるが。
シャオラァ!見つけたぞ!複数人でなんかやってんねぇ!誰かが使う前に全員ぶち飛ば…はさすがに酷いからとりあえず真ん中に割って入って戦闘止めよう、よっすこんばんはー動いたら切るぞい。…動くな言ってんだろ!!…おい、話しを聞いて…聞けっつうの!!
―――
死んで異世界に来た時はどうなるかと思ったが仲間に恵まれ、強敵なんかと出会っても俺が貰った死に戻りで何とか恵まれた仲間を失わずにここまでこれた。
だが今それが終わろうとしている。何度も何度も何度も精神がおかしくなりそうなのをなんとか持ち堪えて戻ってやり直しても倒せない、何故か対策されている。
もうどうしたら良いんだ…どうしたら。
諦観気味にだけどもまだ打開策があるかもしれないと前を向くと。
人が居た。
当たり前のように立っていた、音も何もしなかったいや、この戦闘のさなかではしてもわからないだろうけどそれでも突然現れたこの人は物音一つたてずそこに立っていた。
「動かないでください」
普通の声量、会話する分には充分な声の大きさだがこんないろんな所で戦闘音がしてる中でその声を聞けっていうのは無理があるような気がする。
現に俺以外誰も聞いていない、聞こえていない。
「話しを聞いてくれませんか?切るしかなくなるんですが」
嫌な感じが一般人スペックの俺にも伝わってくる、本当に切られる、そんな予感が。…俺が叫んでこの人に注目させるしか―――
「もう良いです」
声を聞いた瞬間自分の喉を抑えた、今…切られた…よな?首を綺麗にしかもここに居る全員同時に。
仲間を見渡すと俺以外、敵味方関係なく首を抑えながら真ん中に立っている、切ってきたであろう男を見つめている。
「正直に答えてください、貴方達の中に何度も巻き戻っている人が居ますよね?お話しがしたいので出てきてください」
…俺の…ことだよな!?どういうことだ俺の能力を知っている!どうやって?いやそもそも何で生きてんだ!?知っていたら死んでしまうはずだぞ!
「あ、なんか今干渉が来ました、あぁそうですか貰い物なんですね、通りで得ている力に対して弱いと思いました、まぁ、貴方も弱いですけど」
干渉って知ったら死ぬデメリットのことか?神様が直接なんかしてるもんだったのか…?
「その首、いつのまに」
仲間の言葉を聞いて一瞬自分たちにされたことかと思った、だがそのって言った。そうして男の手元を見ると生首がぶら下がっていた。
静寂と共に息を呑む音しか聞こえなくなる、俺か仲間の知り合いがやられたのかと思ったが仲間も俺も誰一人その生首の顔にピンとはきていなかった。
「お前、そ、その首」
「あぁ誰か分かってなかったんですが貴方なんですね」
そう言って男は俺…ではなく敵の一人に目を向ける、どう言うことだ?俺じゃなくてアイツが巻き戻してたってことか?
「…?あぁさらに干渉がありました、あ、こっちはしっかり話し合いしてくれて助かります…はい…あぁそう言うことですかどうりで1000回超えるわけだ、まぁ半分でも充分メンタルつよつよですけどねぇ」
すると今度はこっちに目を向け、軽く手を振ってきた…すぐさまどうこうされるって感じでは無さそうで一安心するが、生きた心地は全然しない。
「自分から言う事は悪い事を金輪際しないなら何もしません、それだけです」
男はさっき目を向けていた敵に向かってそう言い放ってゆっくりとした歩みで敵に近寄って行く…どうするつもりだ。
「わ、わかった、神様やられてんだ、俺にはどうしようもねぇ、もうやらねぇよ」
「そうですか、じゃあ…ゆびきりげんまん、しましょうか知ってますよね?」
ゆびきりげんまん?嘘ついたら針千本飲ますあれのことだよな態々そんなしょーもないことしなくてもよさそうだが、何か発動条件のある能力か?
「それってなんかの能力か?説明してくれても良いじゃねぇか」
敵もそう思ったのか警戒してゆびきりをしようとしない。それに男はしょぼんとした顔をしながら手を引っ込める。
「とくに能力なんてなかったのですが…じゃあ守ってくれるんですね?」
「あぁ、やらない金輪際やら―――」
言い終わる前に敵の首は男の持っていた神様の首の横に連なっていた…どういうことだ!?
「ちょっと!!やらないって言ってたじゃない!?」
「さっき巻き戻りが起きてこの人は戻ってきました、記憶を読んでいたので、昨日丁度触れずに読めるように鍛錬したばかりで良かったです」
記憶が読める!?なら俺も巻き戻し出来ることもわかってるのか?だがそれだと最初の名乗り出るよう促したのは何だったんだ?…もしかして触れずにとは言ったがほとんど手が届くぐらいの範囲しか読めないんじゃ―――
「その通り、自分の読めるのは手を伸ばしたぐらいの距離の人だけです」
!?!?
「貴方もこの人も性格は真逆なのに、意地でも夢を叶えようとするその精神性は似てるんですねぇ」
いつのまに、いや、俺にはどうせほとんどの人の動きが早く見えるし変わらないか、今気になるのは。
「何故この人を殺したか?簡単で未来でこの人は悪い事をして未来で自分に殺されここまで巻き戻った、それを記憶を読んで知ったので先に芽を摘んだだけです」
何も殺さなくても
「じゃあ君が管理するかい?」
―――
「とくに能力なんてなかったんですが…じゃあ守ってくれるんですね」
死んでいるのに何を?そう思った時には敵の首がなくなる前に戻っていた…利用されたってこと!?気付かないうちに殺されてたってことか…さらっと巻き戻りの仕方もバレてるし。
「ただ、口約束だけだとあれなので霧島君に監視をお願いしようかな、ちゃんと一緒に行動してくださいね」
俺の名前も知ってるってことは男も記憶は保持して戻ってきてるってことか…さっきと言ってる事違うし。
「何故そうなる!霧島とはコイツのことだろう!?敵だし気に食わない!死んでもごめんだね!」
「敵だし気に食わないからですよ、居たい人の横にいたら意味ないでしょ」
そもそも俺するなんて言ってないんですが…まぁ自分が殺さなくてもと考えたからこうなったのだし目の前でまた首だけになるさまは見たくもないので頷くけど。
「さ、お仲間さんもすみませんが金輪際悪い事はしないと誓ってもらいますよ!」
すんごい渋々って感じで了承していく、そりゃいきなり自分の好きな事やめろって言われたら嫌だろうな、とくに止めもしないけど、悪い事だし。
「良かった良かった!これで一件落着ですね!じゃあ自分は帰ります…!君良いですねぇ」
急に現れ、急に帰ろうとする男を止めようとする前に俺の仲間の一人の前に行き、嬉しそうに品定めをするかのように全身を見始める。
「チート、加護、武器、肉体、遺伝、性格、全てが完璧って感じですね!良い!貴方みたいな人が沢山居てくれると世界はより平和になるのですが」
見ただけで強さがわかるのか?それとも記憶を?そういうのアイツに効かなそうだがさらに自分より上だと効くとかあるんだろうか、そしてアイツもアイツで自分より上だということがわかるのかものすごい獰猛な笑みをしている…これだから強者共は、頼むからおっぱじめないでくれぇ。
「戦ってくれないか…いや、くれませんか?」
「戦闘止めに来たのに戦闘しちゃ意味ないでしょう!?…うーんでも逆だったら戦いたい気持ちわかるし…そだ!ジャンケンしようか!知ってるでしょ?」
「知ってますけど…ジャンケンで満足させてくれるんですか?」
「え、満足!?うぅん、た、たぶん」
戦闘以外でなんかないかで適当に思いついたんだろうなぁ、絶対満足するしないとか考えてなかったぞあの人。
「じゃ、いっくよー最初はグージャンケン」
ホイ、その掛け声が聞こえてくることはなく急に全身から汗が滝のように流れ出して来た、な、何!?冷や汗とかそういうの!?サウナとか入った時よりも出てんだけど!?
みんなも同様なのかジャンケンしてるアイツも例外なく全身から汗を流し続け、足元に大きな水たまりを作り出していた…え、てかジャンケンやったの!?見えてなかったんだけど!?
「僕の…勝ち、ですね」
「え!?これ自分の勝ちじゃないの!?もしかして強さ逆、変わった?うそーん」
そんなー、と子供のようにガッカリしている男の手にはパーがアイツの手にはチョキが出されていた、まさかのルール知らないのかよ男の人、てか逆なパターンってあるのか?
「負けちゃったし、巻き戻しの能力奪うのやめとくねぇ、一応その子君達の監視下、つまり仲間になるんだしね!」
…さらっととんでもないこと考えてたんだなこの人、こわ、平気で人の首とるし倫理観終わってるぜ、良い人ではありそうなんだが。
「じゃ今度こそ帰るねぇ、巻き戻し、あんま連発しないでねぇ、二度とできないようにしたくなっちゃうから!」
こわい!こわいって!そうなる前に助けに来て欲しいよそれなら!?…て、もういないや、全然見えない、さすがにワープか瞬間移動的なの使ってるだろあれ。
「そんな!!」
ッ!?
「どうした!!」
「負けてたのは僕の方だった!」
えぇ、真剣に言うからまた何か来たのかと思ったぞ、焦らせやがって、でも負けたって、さっき見たら勝ってたじゃねぇかって…え、こわ、手だけ残ってるんですけど。
「残像だ」
いやいや、どう見ても手残ってるじゃん、うそ、これマジで残像なの?確かにゆっくりとパーからグーに手が変わっている、か、勝手に勘違いしてくれてよかったぁ。あの人巻き戻しの力手に入れたらもうどうしようもなさそうだし…いやなくてもどうしようもないか?アイツが気付かないほどの速度で出してたってことでしょジャンケン…無理じゃね。
「霧島、僕はあの人を探す、そして弟子入りしてくる」
え、急に何をってあぁ!!?止める間もなくいったぁ!
「な、何だったんだいったい」
元敵だけど、ほんとそうだな。