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料理 オムライス 絶品 なのに最下位

 オッスオラ最強!やはり自分は天才じゃった一週間でペラペラになりましたぜ現代語、フフフ恐ろしいぜ自分の才能ってやつがね。


 てなわけでペラペラになったのでやって来たのはこの前の街…ではなく離れた村に来ました、いきなり人多い場所で試すにはちと怖いよぉ全然ダメだったら恥ずかしいし。


 さて、結局人の作ってくれた料理全然食べれていないから話す練習もかねてこの村の食堂に行きますかね。


 すみませーんオススメをくださいな!


「ならオムライスが一番のオススメだよ!」


 わかる、わかるぞ言葉がわかる!じゃあそれでと言いながら椅子に座り周りの話し声に耳を傾けても聞き取れる。うーん達成感が凄い、これだから鍛えるという行為はやめれないのだ!さて悦に浸りながら他にはどんなメニューが…あ。


『700円』


 ナナヒャクエン、ナナヒャク、エン、エン!!読める読めるぞぉ!ではなく自分の今持ってるお金って円じゃなくね?確かルピーだったかジンバブエドルだったか忘れたが円では無かったはずだ…注文を取り消さねば!


「はい!オムライス!ウチのママが作ったオムライスは絶品だよ!」


 ァア!無銭飲食へ片足突っ込んだ!どうするどうするどうする!?と言っても正直に言うしかないよなぁすんごい言いづらい。


「えぇ!?お金が違うから払えない?…た、たしかにこんなお金見たことないわ何処の国かな?」


 優しそうな人で良かったぁ、この感じなら皿洗い手伝ったらなんとか―――


「じゃあ一生ここでタダ働きね」


 ………終わったわ


―――


「もう流石に冗談よ!オムライス一つで一生なんて!」


 目の前で魂が飛んで行きそうなお兄さんを見ながら急いで冗談だったことを伝える、まに受けやすいのかな?とりあえず皿でも洗ってもらおうかな。


「皿洗い上手ね!…というか本当に使った皿これ?」


 皿洗いをお願いしたらちょっと目を離した隙に出来ましたって言うから見て見たら新品同様…というか新品だった時よりも滑らかな質感と手触りになっているような?え、これ本当に木でできたあの器よね?最高級の皿より高級そうになってるのだけど!なんかこれだけでオムライス分の代金オーバーした何かしてもらったんじゃ。


「えぇっとなんか高級そうな皿になっちゃってるしお代分は働いて貰ったってことで帰って大丈夫ですよ!」


 そうお兄さんに言ったんだけどジーと他の皿を見て悩んでいる?いやこれもしかして。


「もしかして他の皿もしたい…です?」


「…はい」


 この時の皿を後日試しに商人さんに見てもらったら億を超えた。


―――


「お母さんのオムライスは最強においしいんだから!」


皿加工のために一週間ほど食堂に通ってオムライスを食べていたら言われたことだ…最強?フフフ最強とは自分のように圧倒的実力を持つ者のことを言うんだぜ!


「でも、完全に平和になったらいらなくない?」


「あんたねぇ完全な平和って夢物語じゃあるまいし」


「良いじゃんママ、夢はいつか叶うって言うでしょ!」


「そう言うのって自分の夢でしょ」


 ………天才だ、まさか私を超える天才がいるとは、確かに平和なら力など不要、むしろ暴力的なイメージがついてマイナスだ。平和など魔王倒した時みたいにチャチャッと世界中の怪物とか悪い心を持った奴ぶっ倒せば行けるいける。現に『平和の三百年』とか新聞に書かれてたぞ何故か張本人の名前全然のってなかったが…え、なんで。


「つまりママさんのオムライスを覚えれば自分が最強…ということですね」


「ええ!そうよ!」


「違うわよ」


 フフフ、ママさんは謙遜しているのか否定しているがあれは強者ゆえの奴!ならば早速!!!…皿加工終わらせよぉ〜


―――


「そ、そんな、ありえない、こんなことあるはずない!」


 僅か3日でママのオムライスに並んだというの!?味、見た目、ボリューム、全てが完璧にママのオムライスだわ!


「そりゃレシピ通り作ってるんだから当たり前でしょ」


 ママが何か言っているが関係無い「おい」お兄さんはまさにオムライスを極める為の存在!ママ程度の実力で終わらせるには「おい」勿体無いわ!ならば!


「出るわよ!オムライスワールドチャンピオン!」


「え、ママ知らないんですけどそんなのあったの」


「そりゃママの実力じゃたがが知れてるから教えなか―――」


「おい」


 三度目のおいを聞いた時私の記憶は無くなった…いいすぎちった⭐︎


―――


 世界中から集まった腕利き達としのぎを削るこのオムライスワールドチャンピオン、あれからひたすらオムライスを極める為全力を注いだまずは土台となる素材。


 まず卵、ヤマタノオロチか青龍、ヨルムンガンドにサラマンダーと色々試して見たがヤマタノオロチが濃厚で美味しい気がしたので採用。


 次に米!これはどれを食べてもオムライスにはしっくり来なかったので…作りやした。


 その他もろもろ!もろもろっと集めたァ!以上!


 次に技術、自分の卓越した才能を活かしてひたすら去年のチャンピオンから技術を盗みさらに進化させた…どうして去年のチャンピオンを知ってるかって?そりゃ特定よ、有名人に人権はないぞってぐらい情報ダダ漏れだったからね…優勝しても損しかなくない?


 最後に愛情!正直一番苦労しましたよ、ママさんにどうやって愛情って入れるんですかと何度も何度も聞いてさらにさらにメイド喫茶なるものでも愛情を注いでいると言う情報を聞いて入れ方をしっかり覚えて改良もした!


「ねぇ…本当にあれするの?」


 しないと勝てないダルルルォォ!?味が格別になっているのは証明済みダロォォ!?


「うぅん、でもぉ」


 でもも何もねぇ!!やるんですよ自分はぁ!てことで早速試合開始の合図もなったので作っていきましょう。


「大丈夫かなぁ」


―――


「マズイ!奇を狙うのは良いけど味もうちょっとどうにかして!」


 オムライスワールドチャンピオンに審査員として呼ばれたけど正直こんなことしてる暇ないんだけどなぁ青年探さないとだし、でも手掛かりもないし他の隊員は料理なら何でも美味いって言いそうだし仕方ないか。


「アルテマさんの酷評は続く続く!流石殿堂入りしてしまった去年までの無敗チャンピオン!」


 な、なんかすんごいオムライス好きみたいで嫌ね、間違ってはないんだけど。しかも酷評っていうけどみんな変なソースやアレンジしすぎよシンプルで良いのよシンプルで…あ、そうそうこう言うの………ほえ!?


「さぁさぁとうとう酷評だけのまま最後まで来てしまったぁ!最後は小さい村で食堂を営む看板娘バンビちゃんと!アシスタントのサイキョウさんだぁ!」


 なんでこんな所にいんのよ青年がぁ!?い、今すぐ捕まえる?で、でも今捕まえたらこのオムライスに毒か何か入ってるとか言われて食べれなくなるかも、正直毒入ってても食べたいぐらい美味しそう…で、でも職務がぁぁぁぁ…よし知らん顔しよ食は職より大事なんじゃボケェ!


「ねぇサイキョウさん本当にするの?」


「しないと勝てないですきっと」


 …あれ普通に会話してる。耳が悪いんじゃ?まさかイヤホンか何かしてたのかぁ?良くない良くないぞぉ捕まえたら罪状に加えて罰としてオムライス作って貰おう。


「それでは最後のオムライス!いざ実食で―――」


「待ってください」


 ッ!思わず武器をもって後退りしてしまった。なんだこの圧は!!何か脅しでもする気か!?つか普通に食わせろオムライス!他がクソで別に小細工しなくても勝てるっつーの!


「最後に愛情を注ぎます」


 ………殺気じゃなく?てか周りの人みんな倒れてるんだけど殺気?いや本人的には愛情なのか?のせいでみんな倒れてしまっているしこの時点で試合どころじゃなくなってるんだが。


「おいしくなーれ、ハッ!ハッッ!!ハァァァッッ!!!」


 ………え?もえもえきゅんじゃなく?


「改良しました」


 すんなよ!!しかし本当に何か注がれたのかより一層美味しそうに見える…美味しそう。


 周りの悲惨な状況など無視して椅子に座り直しオムライスと向き合う、まずは見た目だ。美しく輝く黄色は食べれる黄金ならば価値は当然食せるこっちだ、最高峰の卵、火加減、そして愛情全てが完璧だとオムライスが叫んでいる…美味しそう。


 スプーンを手に取りオムライス一口分すくう、中のチキンライスもメインは俺だとシャウトするもそれも一瞬すぐにオムライスというオーケストラの一員を自覚して落ち着いて調和を取る…美味しそう。


 それにこの…美味しそう!知るか!見た目とか一応審査員だから評価しようと我慢したが食べりゅ!!!


「美味しい!美味しい美味しい美味しい!!!うぅまぁいぃ!!!!」


「そ、そんなガッつかなくてもオムライスは逃げないですよ!?」


 知るか!今初めて青年、サイキョウと言う名前だったかと喋ったが知るか知るか!私は今これを本能で食べているんだ!こんな最高にうまい物を誰にも取られまいと!そしてこの食べる幸せをもっともっとと!続け続けと思ってしまい止まらない!!


「最強のオムライスだぁ!!ウゥマァァイィ!!!」


 カチャン………と音がした。ハッとした理性で器を見るとそこには何も無かった米粒一つも終わった、幸福が終わってしまった。何でもっとゆっくり食べなかったのか何でもう少し味わって食べなかったのか、と思う反面、最高だったまた食べたい、この為だけに仕事を頑張れる。そんな幸福も残っていた。


 ガチャン………今度はずっしとした音がした。テーブルにはオムライス、ハッと顔をさらに上げればサイキョウという青年の顔が苦笑いしながらこっちを見ている。


「本当は観客さんとかの為に用意してたんですがみんな飽きて寝てしまっているみたいなので、もし良ければ残りも食べますか?」


 おまえが気絶させたんだろ、と勘違いをしてるサイキョウを見つめながら私はスプーンを再びに手に取って食べ始める。


 ガチャン………次は私の目の前の音では無かった、審査員テーブルに自分自身が食べる為にオムライスを置いたサイキョウの音だった、でも何故ここで?


「本当はみんなで…だったんですが人と食べたかったんです、寂しがり屋なもので、隣、良いですか?」


 そう言って答えも聞かずに席について食べ始める。せっかくだから色々と聞こうと口を開きかけるが、邪魔するのはしのびない気がした。


 あんなにも楽しそうに食べているのだから。


 あぁでも自分自身の愛情じゃ100%のオムライスは食べれないだろうからちょっと手伝ってやろう。


 よ、よく考えたら隊員にお願いされてしたことはあるが異性にはしたことなかったな、ちょ、ちょっと恥ずかしいぞ。


「お、おいしくな〜れ、もえもえきゅん」


 恥ずかしくなっていそいで席に戻って食べる作業に入る。チラッと横目で見たらキョトンとした表情をしたと思ったら目を輝かせてさらに楽しそうに食べていく。


 その姿を見て私も頬が上がるのを自覚して食べていくのであった。


―――


 結局…許されたのだろうか?体切り刻みと集団気絶、寝た扱いしたけど何言ってんだコイツ顔されたから確実にバレてーら、だったらオシャレに言った風にすれば良かった、これじゃ嘘つけない人みたいだ…みたいじゃなくそうか。


「次会った時は逮捕するから覚悟しとけ」


 許されてなーいーやー、見逃されただけだったー。


 次が来る前に自首するか、え、でも何処に行けば良いんだ?隊長さん、えぇっとアルテマさんって言われてたな、アルテマさんに聞くのはどうなんだ?折角見逃してくれてる善意を無碍にしてるよなぁ…それ言ったら自首もそうか?


 でも逮捕ってことは犯罪扱いってことだよなぁ体切り刻みと集団気絶。字面だけなら十分犯罪だなやっぱ自首しよ。


「えっと、好意はありがたいですが自首します」


「…そうか、感謝する、じゃあついでに事情聴取もしてしまおうか、どうやってワープしている?どこでその力を手に入れた?」


 …え?


「ワープとは何のことでしょう、バラバラと気絶の件では?」


「バラバラと気絶?あぁ気絶はまぁそうだな、サイキョウ、おまえがやったという証拠もないし別にいいぞ、だがバラバラとは何の話だ?」


 おいおい神は自分を見捨てなかった!まぁ神はもう死んでいるんですがね!!


 というわけで誤魔化す方にシフトチェンジだ!!


「あぁこの前廃墟をバラバラにしてしまったんです、その時木材が欲しくて、無断でしたからそのことで法を犯したのではないのですか?」


 か、完璧だ、言い訳として完璧すぎる、自分の才能に酔いしれそうだよ。


「その程度なら別に良いぞ、細かく指摘すれば犯していそうだが壊されたっていう訴えも聞いてないからな」


 しゃおら!無罪を勝ち取ったぁ!…と思うワープの件次第だが。


「それは一安心です、ワープの件は本当に身に覚えがないので詳しく教えてもらって良いですか」


 ………はぁ………そう………へぇ………自分が悪いなこれ、全力で逃げすぎて気づいてくれなかったみたいだ。一応入り口にいた隊員さんにはあまりの申し訳なさにお辞儀してから出たんだけどなぁ。


 こうなるとどうすれば良いんだろう、使ってないことの証明なんて不可能に近いだろうし。


「何を言っているんだステータスカードを見せてくれたらそれで良い、あぁでも無いから作りにギルドに行ってたのか?」


 なぁにそれ?と聞いてみればどうやら身分証明書の一つでギルドが発行しているものらしい自分の身体能力や内包している魔力や魔法を数値化して表示するらしい…どうやるんだろう。


「持ってないなら仕方ない明日にでもギルドに来てくれ、発行のしかたを教える」


「連行しないんですか?」


「話してみてわかったが悪いことするタイプじゃないだろ、隊員が見逃してしまったんだろきっと」


 後で説教だ、という呟きにその説教される隊員さんに申し訳なくなりながら完全に疑いが晴れたでようで内心で踊る。


 ならオムライスの王者を頂くだけだなぁ!!後はよぉ!


「あ、そういえば優勝はもちろん自分ですよね?」


「そうだ!…と言いたいが私以外の審査員を気絶させているから普通に妨害行為で失格だ」


 嘘だ!


―――


 サイキョウさんが大泣きしながら昨日の大会の結果を話してくれたが予想通りだった、もうちょっとしっかり止めとけば良かったわ。


「それでその大量の材料は?」


「オムライスの材料です」


 そりゃ一緒に大会出たから知ってるけど何故家にあってしかも一ヶ月分はありそうな量なのかを聞いているのだけど。


「あぁママさんにレシピを渡してこの店のメニューにしてもらおうと思いまして!」


「え、なんで」


「実質最強のオムライスであることは証明したんで作る理由無くなっちゃったんですよねぇ」


 …えぇ、それでもタダで渡すかねぇ、材料も用意しちゃって、もちろん家的には大繁盛間違いなしだからありがたいけど。


「後はバンビさんの為ですね、このオムライス毎日食べたーいって言ってたでしょ?」


 …え、嬉しいまさか私のこと。


「毎日作るとか嫌すぎるので」


 …私の拳が加速するぜ!!


―――


 いてて顔が凹んだよ、まぁでもまたオムライスの最強になったことで最強に舞い戻ったから気にならない、むしろ喜びすら感じるね!


「よっぽどオムライスで頂点取ったのが嬉しいのね、それなら他の大会も出る?」


 ………他の大会?


「そりゃオムライスだけなわけないじゃない!料理一つ一つに大会があるって言っても過言じゃないんだから」


 冷静にっつうかちょっと考えもせずとも分かるな、全然気付かなかったオムライスだけじゃダメじゃん、でも料理一つでも最強になったんだし問題ないん―――


「まさか一つだけで満足するわけないわよねサイキョウ!」


 …スー………やるか。


「その言葉を待っていたわ!次の大会の前には呼ぶからしっかり腕磨いときなさいよ!」


 目指すか料理王!!!


「料理王!料理王!料理王!」


 お客さん達も一緒に!!!


『料理王!料理王!料理王!』


 よし!!!とりあえず…カード貰いにギルド行こ。

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