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レッキス!レッキス!  作者: 山本まぬ
2代目:小器の老王
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アルバターラの回想【7】

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 赤竜狩りの失敗でマルジュは右耳を失い、頬に大きな傷と岩に叩きつけられた事で歩行困難になった。

 手柄をはやったラウルに責任があるとダハブは半狂乱で責め立てた。


 マルジュを守ってくれるのじゃなかったのかと。

 ラウルは自分の責めを認めていたが父のサイマーは反論した。

「ラウルにマルジュの援護は頼んだが守れなど言ってない。マルジュは自分が守るから連れて行ってくれと、ダハブ、お前が言ったんだぞ。お前は守ったのか?何か出来たのか?そういう危険もあるのは承知で無理に参加させたのはお前だぞ?なぜラウルに押し付ける」

 ラウルもサイマーの言う通りだとは思う。

 マルジュの1番近くにいたのはダハブおじさんだったのに。

 だからダハブおじさんには申し訳ないと言う気持ちは無かった。

 ダハブの言い分は、ラウルが赤竜の行き場を塞いだせいでコッチに向かってきたのだからというものだ。

 このままでは平行線の言い合いになる。


 結局パーティのメンバーも集まって話し合った結果、マルジュの参加はメンバー全員が反対していたのに「これは俺が責任を持つから」と言っていたのを聞いていたとして、ラウルはお咎めなしとなった。

 この頃はラウルもダハブおじさんの魂胆は理解していた。

 歩けるようになるかも判らないマルジュの世話をゲネト家に投げようとしているのだと。

 母のラダは何も言わずマルジュを家に引き取り世話をした。

 次第にナージャ親子は村人から嫌厭され、ゲネト家の抜けない棘となった。


 ラウルはマルジュの歩行の手助けをし、杖をついて外に出れるまでに回復したマルジュは「片耳マルジュ」と陰で呼ばれていた事を知った。

 その頃からマルジュはめっきり無口になり、どこか冷静に現実を見るようになったのだと思う。

 マルジュはナージャの家に帰り、ラダが通うようになった。


 その日は野生の馬の群れが来ているとギルドから情報が入った日だった。

 オーダーを勝ち取るべくサイマーとラウルは交渉に出掛け、家で結果待ちの夕食をとっていた。

 サイマーは娘のスラジャをテーブルに呼びエールを勧めた。

 サイマーはスラジャに手短に言った。

「お前をマルジュに嫁がせる事にした」

 スラジャは驚いた様子もなく静かにサイマーの目を見ながら返事をした。

「イヤです」

「すまん、もう決まったんだよ」

「父さん、ごめんなさい。イヤです」


 ラウルは怒りを抑えられずサイマーに食ってかかった。

「なんでそうなるんだ! どうせ勝手にダハブおじさんと決めてきたんだろ? スラジャを犠牲にするのか! 1番関係ないスラジャを」

 犠牲と聞いてサイマーは否定せずに言った。

「こうするのが1番良いんだ。ダハブも俺もラダも歳を経たらと心配するダハブの気持ちも判る」

「わかんねぇよ! スラジャは嫌がってるだろ? 俺がマルジュの面倒をみりゃ済む話だ」

 ラウルの大声に台所に居たラダが入ってきた。

「サイマー、スラジャをマルジュの嫁にって正気なの? 今すぐにでも断って来てちょうだい」

 ラダは静かな怒りをたたえた声で言った。

 ラウルも大声になった。

「いい加減にしろよ! あの親子に母さんがどれだけ尽くしたと思ってるんだよ! 」

 スラジャはまたサイマーの目を見て静かに言った。

「父さん、イヤです」

 サイマーは無言で道具小屋に消えて行った。


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