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レッキス!レッキス!  作者: 山本まぬ
2代目:小器の老王
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アルバターラの回想【5】

 62

 ラウルはもちろん、サイマーの影響で狩人を目指していた。

 サイマーが竜を狩ったのはなんと、若干20歳の頃だ。

 ラウルは父を超えるべく身体を仕上げ、父サイマーに認めてもらい18歳で赤竜狩りのパーティに入ることを許された。

 これで何としても20歳になる前に赤竜を仕留めたい。

 ラウルは反射神経、計算能力も研ぎ澄まし、身体は足も腕も腹も胸も背中も首も筋肉の束がぎゅうぎゅうに詰まっており同じくらいの背丈のマルジュよりもかなり大きく見えた。

 サイマーはもとより誰が見ても見事な体格だった。


 ダハブ・ナージャは感嘆した。

 これほどの身体にするにはどれだけ努力したことか。

 サイマーの息子は人に知られぬ努力の男だったのか。

 しかし、マルジュ・ナージャは承服できなかった。

 少し太ったなくらいにしか思わなかったのに気が付けば見る見る引き締まり、マルジュが気が付いて焦った時にはもう文句ない美しい筋肉を作り身体を整えていた。

 密かに鍛え上げていた事すら卑怯だと思っていた。

 マルジュは嫉妬に狂っていたのだ。


 マルジュはサイマーに自分もパーティに参加する、絶対すると訴えていた。

 さすがにダハブは息子の駄々に困ってマルジュを諫めたが、それなら死ぬの生きるのと一生のお願いだのとダハブに縋りついた。

 マルジュは父がサイマーに頼めば断らないと知っているのだ。

 ダハブもサイマーを説き伏せる自信がある。

 予想通り、サイマーはマルジュの参加を拒絶した。

 赤竜を狩るのは命懸けなのだから不安要素を子供の意地張り程度で入れるわけにはいかないのだとキッパリ言った。


 ダハブはサイマーの言葉に今まで避けてきた自分の嫉妬心に火がついた。


 マルジュは⋯俺だ


 ダハブは絶対にマルジュの希望を叶えてやるべくサイマーに頼んだ。

「マルジュは俺が守る。だからお前さんは俺達親子を気にせずパーティを動かしてくれていい。アイツを連れて行きたいんだ」

 サイマーはとんでもないと拒絶した。

「お前やマルジュに何かあったら俺は責任を取り切れない。それに他の仲間を危険にさらせない。解ってくれ」


 そう言われたら次に何と言えば良いのか、ダハブは理解っている。

「また栄光を取り上げるのか?今度は息子から」

 サイマーは絶句した。

「心配しなくてもいい。サイマー、責任は俺が取る。この件については俺の我儘だ。解ってるさ。だからマルジュの同行を許してくれ。息子から可能性を取り上げないでくれ」

 サイマーは承諾するしか無かった。


 パーティの他の仲間からは不安の声があった。

「サイマー、ダハブを諌めるべきだ。ダハブの息子は赤竜に対応出来る事を示していないのに。ラウルは示したし認めるけど、ダハブの息子が本当にやれるとは思えない」

 サイマーはダハブが責任を持つと言っているとパーティ員を説得した。

 アンタが決めたのならと言われ、マルジュが狩りに加わることになった。


 ラウルはマルジュが参加すると聞いて、マルジュの実力を見る良い機会だと思った。

 だが、それはサイマーが「今回はマルジュの援護をしてやれ」と言うまでだった。

 早く竜を仕留めて一人前になって父を超えたいと思っているラウルはせっかくのチャンスをマルジュのガードマンをやらされて失うのだから、そんなの無い。

 自分が功を焦ってるのだから、マルジュはもっと焦ってるに違いない。

 そんなヤツの援護なんて出来るだろうか。

 パーティ内には不安から不吉な空気が漂い全員の心に迷いが忍び込んでいた。

 ただしダハブとマルジュ以外は。


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