表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レッキス!レッキス!  作者: 山本まぬ
2代目:小器の老王
63/70

アルバターラの回想【4】

 61

 高山山羊は角も蹄も毛皮も肉も高価なので狩りのターゲットに人気ではあるが、山羊が自由に飛び回る険しい岩は人間ならば滑落すれば無事では済まない。

 獰猛な赤竜狩りも危険だが、高山山羊狩りも十分危険な狩りだ。

 しかし危険な仕事であるがゆえにビジネスチャンスは生まれる。


 サイマーパーティに必ず呼ばれるのは高山山羊専門の勇敢な狩人である。

 パーティの要の一人であるダハブ・ナージャは高山山羊専門の狩人だ。

 サイマーはダハブに何度も危機を救われ現在も大事な片腕である。

 が、ダハブとラダは親が決めた許嫁同士だった。

 ラダがパーティに参加したのもダハブに手伝いを頼まれての事であり、そして二人は出会ってしまったのだ。

 その結果サイマーは最愛の妻を得、ダハブは許嫁を失った。

 しかしある日娶っていないはずのダハブが自分の息子だと言って男の子を連れてきた。

 ラウルと同い年のその子はマルジュと名づけられた。

 ダハブが狩りに出かけるときは自分の子供たちと共にマルジュ・ナージャの面倒もラダが見ることになった。

 そんなわけでダハブはパーティの参加を断れなくなってしまったのだ。


 この気まずい出来事から10年経ち、サイマーは35歳、ダハブは33歳になった。

 サイマーの息子ラウルももう10歳、スラジャも8歳で幸せな家族生活を送っている。

 ただ気がかりなのが、ダハブは今でも独身なのだ。

 きっと今でもラダに心を残しているのだろうとサイマーは後ろめたくてマルジュの事も何も聞けないでいるのだった。


 ラダが面倒を見なくても良い年ごろになってもマルジュはサイマーの家に毎日出入りしていた。

 マルジュは狩人の息子らしく弓や格闘も強く、学問も出来て成績もよかったのだが、いつもラウルには一歩及ばない。

 今度こそと懸命に練習や学習を頑張るのだがラウルに勝てたことが無い。

 自由奔放にしか見えないラウルがなぜ弓や闘技が強いのか、なぜいつも完璧な成績を出せるのかマルジュは不思議に思い、ラウルの行動を密かに見張る為にドゥクスの家に毎日行くのだった。

 そしてマルジュは毎日スラジャに会いたかったのもある。

 気は強いが天真爛漫で傍にいるだけで気持ちが明るくなるスラジャの癒しに知らぬ間に依存していたのだった。


 マルジュがいつまでもサイマーの家で食事や繕い物や洗い物の世話になっていることについてラウルは別に何とも思わなかった。

 ラウルはマルジュを手強いライバルと思っていたのでいつも余裕のある顔をしつつかなり意識しており、自身の強さを磨くには大事な友人だと思っていたからである。


 自分の誇りに相応しい強さを身につけなさい


 サイマーとラダ夫婦はもちろん負い目のあるダハブの息子の世話などして当たり前だと思っている。

 マルジュの父親のダハブはそろそろ遠慮すべきだとは解っていたがマルジュが喜んでいるわけだし、ラダには少しくらい甘えても構わないという気持ちもあったのでマルジュを止めることは無かった。


 ただスラジャだけは違った。

 スラジャは兄が誰よりも早く寝て誰よりも早く起きて身体の鍛錬をし、勉強をし、成長期にある心身をより大きく強く賢く成長させることを考えて生活していることを知っている。


 自分の誇りに相応しい強さを身につけなさい


 母の言葉がいつの間にか沁みついているのか兄は人一倍努力しているが決してそれを他人に見せず知られないようにしているのだ。

 それが我が兄ラウルの誇りの高さ。

 マルジュはスラジャにしつこく兄の練習量や学習量を尋ねて来て、それを毎日邪魔しにくるのだからスラジャはマルジュが嫌いだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ