表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レッキス!レッキス!  作者: 山本まぬ
2代目:小器の老王
60/70

アルバターラの回想【1】

 58

「くそ! もう一本!」

 王宮裏の街道の森で二人の男が試合っている。

 森の一角で様々な地形を再現してあるここは本格的な訓練所であり、主に王宮総支配人のアルバターラが設備に私財を投じている。

 解放されているとは言え、総支配人の使用時は誰も使用してはならない場所だ。

 訓練だの、試合だのと言っているがアルバターラの相手は常に同僚のレギオであるフェゴムーシュで要するにフェゴムーシュをやっつけるために作った場所なのである。


 アルバターラは体躯に恵まれており、上背があり骨太で筋肉と体力の塊であった。

 手が大きいので巨大な拳、引き締まった腹筋と背筋から繰り出される拳と蹴りは強烈だ。


 一方、フェゴムーシュは細身で身軽。

 相手の攻撃をことごとく回避できる神経と眼としなやかな腱、卓越した武の技術、特に剣術は大陸一の腕前ではなかろうか?

 そんなだから試合時は大剣ではなくククリナイフで向かってくる。


 体力ではアルバターラが圧倒的に有利でフェゴムーシュが疲れてくれば隙が出てくる。

 なのにククリで戦うとは、馬鹿にし過ぎだろう。

「貴殿のような疲れ知らずの御仁には重い剣よりククリの方がこちらも消耗が少ないのだ。馬鹿にしているどころか、苦肉の策である」

 フェゴムーシュは素手のアルバターラに対してナイフを使うのは、フェゴムーシュの拳はアルバターラに全く効かないからだ。

 これだけでもフェゴムーシュの本気度が判る。


 珍しくフェゴムーシュから仕掛けて来た。

 フェゴムーシュのナイフ捌きは肉眼では避けきれない程だ。

 したたか浅い切り傷を作りながらアルバターラはそれでも後ろに下がらない。

 アルバターラはフェゴムーシュの動きを止めるために長く大きい腕で捕まえようとした。

 捕まえた!

 と思ったが腕から抜けられ後ろに回られ、しまったと思った時には首にナイフが当てられていた。

 またか……

「ああー! もう一本!」


 フェゴムーシュは首を振りながら拒否した。

「もうそろそろ仕事に戻ろうぞ」

 アルバターラは自分がムキになりやすくしつこい性格だと自覚があるので渋々従った。


「なぁフェゴ、お前は博愛的に女好きなのは知ってるが、嫌いな女は居ないのか?」

 思いつきのようにアルバターラが聞いてきた。

 女好きだと? 言い方‥‥

()らぬが、苦手な女性は居る」

 フェゴムーシュは母親のクレオパトーラの事を言っているのだがアルバターラはさほど興味が無さそうだったのでそのまま仕事に戻って行った。


 バジルー王が子供に戻ってしまった様な有様の現在、アルバターラの仕事は膨大になっており、頼りのイブリンも行方不明なので財務はサピエンマーレ、警備や修繕工事等はフェゴムーシュ、妃たちや女中の管理をオランジャに任せた。

 人事や入管でアルバターラは手一杯だが気晴らしも必要なのでフェゴと汗をかいていたのである。


 時々バジルー王は癇癪(かんしゃく)を起こしたように権力を誇示する行動を取るのでイブリンを塔から迎えに行けずにいる。

 働く人数が減っているのに手当てを減らすとニタニタしながら王は言うのだから堪ったものではない。

 完全にふ抜けになってくれないものかとサピエンと話をしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ