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レッキス!レッキス!  作者: 山本まぬ
2代目:小器の老王
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フェゴムーシュの回想【5】

 50

 イオナンタの広い屋敷が揺れる程の大騒ぎとなっていた。

 アンギャルカは水死ではない。

 (くび)り殺されていたからだ。

 しかも1人で泉に行っての出来事だった。

 サッドはドラゴミールと共にハイコを取り押さえ尋問するつもりだったが、ハイコは既に消えていた。


 イオナンタで1、2を争う武人ダイム・ジェマイリ率いる数人でハイコを追った。

「ダイム、最悪死体になってもハイコはマサリク家に引き渡す。連れ帰ってくれ」

 とのドラゴミールの言葉だったが、「殺して死体を持ち帰れ」という意味だろうとダイムは受け止めた。


 数日経ったがダイム・ジェマイリからは何の連絡も無い。

 確かにハイコはすばしっこいが剣も武術も兄弟で1番劣る。

 ドラゴミールは、まさかあのダイム・ジェマイリが取り逃がすとは思わなかった。

 マサリクはジリジリとドラゴミールに下手人の引渡しを迫ってきている。


 領境に近い森で後続隊が見つけたのはダイム・ジェマイリ含む数人の斬殺遺体だった。

 まさかダイムが剣で斬り殺されるとは!

 ハイコには協力者がいると思われた。

 しかも領境を超えてしまっているだろう。

 もう探すのは無理だ。

 進退(きわ)まったドラゴミールは回収してきた兵士遺体の一体をさらに傷つけ、ハイコだとしてマサリクに引き渡して(しの)いだ。


 引き渡した後はこの件の事は一切口にしないよう、早く忘れるようドラゴミールはイオナンタ一族に厳令したのだった。



 それから10年近くが経ち、ザナルセンに奇妙な男が訪ねてきた。

 2頭の素晴らしい黒毛の馬を持ち、長旅でなのか擦り切れたマントに皮袋としか思えない荷を1頭に乗せ、もう1頭に乗っている。

 男の身なりと持ち馬の価値が釣り合わぬ怪しい者だ。

 関所で男を停めて砂埃避けを外させて顔を見た警備の騎士が叫んだ。

「ハイコ!」

 未婚の若き女性を殺した、乙女殺しのハイコを誰も忘れていなかった。

 取り囲まれた男は無表情に王章を掲げ言った。

「我は王の視察官、フェゴムーシュである。王の視察吏を害すればその地の責任になる事は知っているであろう?我の用はここではなく領主のフリンカである。」


 ざわつき出した騎士たちが静かになったのは進み出てきた上官のせいなのだろうか。

 それは懐かしい顔。

 異母長兄のジャバ・イオナンタだった。

「それでも視察官殿には我が屋敷に寄って頂こう。我々には貴殿の告白を聞く権利がある」

 上級騎士らしくよく通る(おごそ)かな声だ。

「良かろう。ただ後悔めさるな。名家の騎士よ」

 ジャバの先導で周りを精鋭騎士たちに隙なく囲まれながらフェゴムーシュはイオナンタの屋敷に連行された。


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