ディルの思惑
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ディルはエイブルニアに見咎められ、四阿屋の捜索も人ならぬ守護に阻まれ今日にでも王に殺されると怯えて過ごしていた。
センクィーの街から一目散に逃げだし隣町に打ち捨てられた馬車の中で隠れていた。
が、王は気付いてないらしく何も起こらなかった。
自分はツイているのか?
だとしてもこれから問題山積みで萎えそうだ。
オランジャの産んだ子供の額から生えている角を奪ってバジルーに王を殺害させる。
どうやって?
バジルーにレギオであるディルの縛りを解かせる。
どうやって?
でも歳を経るのは嫌だから、現王からバジルーのレギオとして乗り換える。
バジルーにそんな能力あるのか?
何度考えてもこの計画には参謀がいなければ無理がある。
ディルは誰かを引き入れる必要があるとようやく理解した。
誰を?
アルバターラは最初から敵だ。
フェゴムーシュはあの堅物だしそもそもディルの存在を知らない。
オランジャは論外。
何も知らないだろう。
エイブルニアは上級妃として頂点の待遇だからバジルーに挿げ替えるほど王に不満を抱いているとは思えない。
やはり何かと詳しく知っているサピエンマーレがベストだがアルバターラと昵懇の仲であり、出し抜くには知恵が回りすぎる。
リッテルメレもサピエンマーレの金魚の糞だし、今まで接触していないので何に食いつくのかが判らない。
自身もオランジャ並みに何も知らない事に気が付いた。
バジルーを確保して角の存在を発見したときは好いアイデアだと思っていたのに。
ディルはレギオを一人拉致して王の弱みなどを聞き出すのはどうだろう。
幸い、拷問は得意だ。
しかし相手はレギオだから骨の折れることだろう。
ディルは王にバレないように素早く吐かせる為のあらゆる責め方を巡らせて興奮し、恍惚の表情を浮かべていた。




