レギオは王のおもちゃ
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王はアドナルから四阿屋を探るレギオの話を聞いていた。
王はディルの事だとすぐに判ったが、レギオが角を得て何が出来るのかと侮っていた。
角を得ようが得まいがレギオは王の力で生きているに過ぎず、レギオ自身が竜から王を救う術を持たないが、王に危害を加えることも出来ない。
レギオとは、王のおもちゃの兵隊なのである。
確かに7本の角は四阿屋に隠し保管してあるが丈夫が取り柄くらいのレギオ如きにアドナルの守りを破って角を手に入れるなど、まず無理である。
竜王の”身体が腐る呪い”を受けた王は呪いを解き不老不死を得るために竜の角が使えないかと必死で調べた。
未だその目的は果たせないが副産物として角と人に名づけを行いレギオを作ることを発見した。
王が死ねば当然レギオも一緒に死ぬが、王が生きていていれば余程の致命傷を受けるか王から死を命じられたりしない限りは王に仕え続ける生き人形だ。
支配者となったイーライは長く自分を律して禁欲的に生きてきた分、美食と色欲にすぐに溺れた。
そしてすぐにばかばかしくなった。
次に予てから欲しかった女を求めたが真っすぐ目を見て拒絶を言い渡された。
男とは不思議なもので拒絶されたことによってますます燃え上がり、そのために己の醜い崩れた右半身を元に戻そうと焦っていた。
そうこうしているうちに時間はあっという間に過ぎていく。
不老の己にとって有り余る時間ではあるが傍に置く人間はそうではない。
美しいエイブルニア。
少女だったエイブルニアは輝くばかりの21歳。
麗しのエイブルニアを老いさせるに惜しくて王は強硬手段に出た。
自分の妃にならないなら妹を王の入浴専用の奴隷に召し上げるとエイブルニアに突き付けた。
最愛の妹のために妃になることを承諾したエイブルニアに名づけを施し、それからずっと妃として傍に置いている。
エイブルニアは前向きな女ですぐに順応し王に弁えた態度で仕え、無体な事を言わなければ憎んだり企んだりする事はしないと信じることができる。
信用できる女が傍にいるというだけで十分だ。
正直、嫌われるのが怖くて夜伽の相手をさせたことはないし結構な手当てを出して割と大事に扱っているのだ。
そして王を上手に扱うアルバターラ。
明るくて愉快な気の良い男。
王はこの2人のレギオ以外は正直どうでもよい。
有能で便利だから長く使おうというだけだ。
王はディルを始末することに決めた。




