フェゴの歓迎会[2]
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食事が始まりレギオの情報交換から始まった。
レギオに詳しいアルバターラが話し始めた。
レギオは王に選ばれ名を貰い忠誠を誓えば王の力の1部が備わる。
現在、レギオとなっているのは古い順からエイブルニア、アルバターラ、サピエンマーレ、フェゴムーシュ、リッテルメレ、オランジャ。
「いや、フェゴと同じ時期に名を貰ったデイル (怒らない者)という男がいる。セプセン出身でまだほんのガキの頃に名付けられたんで、見た目はガキだが」
エイブルニアが把握してない名前だ。
ということは王宮の外に居る者ということだ。
知らないだけで他にも在るのではないだろうか。
アルバターラが答えた。
「いや、レギオは今まで7名を超えたことはない。王は、8人目を増やしたい時は一人殺していたから」
「なんで7名なんだ? なんの数字だ?」
訊ねたのはリッテルメレだ。
本当だ。
なぜ上限7名なのだろう。
アルバターラは記憶を辿りながら話を続けた。
「サピエンがレギオになってから激しく入れ替わってたけどイブリンと俺とサピエンは残っていた。いきなり4名が一度に殺されフェゴとデイルが入って5名の期間が長く続いたのは覚えている」
アルバターラが唱える定員7名説を信じるとすればリッテとオランジャが入って空きは解消したということか。
デイルという男はどこに居てどういうレギオなのだろう。
「デイルは、そうだなぁ、言わば裏方だな。諜報、暗殺、拷問が主な役目だ。ガキの頃から仕込まれてるから本人もちょっとイカレ気味だ。役割上、他人との交流は無いし普段の居場所も解らない。王の側近の俺しか会った事は無いだろう」
アルバターラの話からデイルはこちら側の人間ではないということだな。
「美味い。全部平らげてしまいそうだ」
フェゴの手が止まらない。
構わないと言ってさらに料理を盛ってやった。
この男、なかなか好感が持てる人物だな。
不愛想だがまっすぐな人間だ。
「それで? 我は何をすれば良いのだ ?」
無茶ぶりは承知で王に視察の報告に行く際にサピエンマーレを見つけて様子を聞いてきて欲しいと頼んだ。
「無理だな。報告は執務区の王座の間まで王が聞きに来るらしいから、居住区には入らない。直接夜中に忍び込んで探ってくるくらいは出来そうだが」
そんな危険な事はさせられない。
フェゴは鋭く睨んできた。
「貴殿のような麗人に心配されるのは光栄だが大丈夫だ。王に消し飛ばされない限りは我は死ぬことも無いだろう。と、なれば王が寝ている時が良いのだ。北の塔には外からよじ登れば見つからないし、落下しても多分軽傷で済むだろう。これは我の実経験に基づいた予想であるぞ」
私もそうなのだろうか?
当たり前に今まで通りの生活をしてきて、歳をとらないと思っていたがそれは王に仕えるためだと受け止めていたのだが。
リッテが口を開いた。
「レギオになって私は10分程度の間、任意の相手の時間を止めることが出来るようになりました。一人だけですけれどね。偶然発動して判ったのです。皆さんも何かあるのではないですか ?」
時間を? なんだって? どうするって?
どうしよう。リッテの頭がおかしくなった。
「俺は手に持っている間から武器が硬化出来る。素手なら拳が硬くなる。竜に襲われたときに判った」
確かにアルバターラの拳は硬い。
現在のところそのような荒唐無稽な力を持っているのは二人だけであり、エイブルニアは気のせいではないのかと疑っている。
しかしよく考えてみれば、子どもの頃に領地の外の森に愚かにもボゥガン一つ持って一人で出かけて赤竜に襲われた時、魔術師に助けられた。
魔術師を初めて見たが無駄のない見事な竜退治だったな。
興奮してかなりの時間あれこれ話をしたっけ。
なつかしい。
あれほどの腕前の魔術師がなぜ無名であったのか不思議に思うがあれから一度も会った事は無いし話も聞かないけれど、ああいうことが出来る人間がいるのだから、リッテやアルバターラにもそういうことがあるのかもしれない。
それから2日後の新月の夜、フェゴムーシュはオランジャの部屋にいた。




