④紀ノ松とジェイムズとの間に生まれた因縁
エージェントたちは、MNSPの組織ビルに戻ると紀ノ松は遂に過去の出来事を思い出しそうだった。
「イギリスにある2つの麻薬製造工場、ジェイムズがその1つの組織に関与の可能性がある・・・。あー!!思い出した!」
「どうしたの?」
「そんな大声あげて?」
「何かあったの?」
「何?」
「今僕、この話を聞いてから思い出したことがあるんだ!イギリスの2つの薬物犯罪組織、麻薬製造工場とも呼ばれている所は、あそことあそこしかない!」
「それぞれ、何て言う名前の組織?」
「アメリカンギャングボーイとトリックマンだ!」
「何でそれが分かるの?」
「今から2年前、SSBのエージェント時代に何度もこの2つの組織に潜入したことがある。イギリスにあるこのような組織は2つしかない!」
「それどういうこと?」
「アメリカンギャングボーイはAIIBSOの裏の顔の『1つ』であり、AIIBSOの英国支部敷地内にある組織だ!エージェント1〜4、マック・アダソンという世界中で誰もが知る優秀な麻薬学者を知っているよね?」
「マック・アダソンって、毎回彼の翻訳係の長い黒髪の日本女性と一緒に、日本のテレビ番組にも時々出演しているよね。麻薬のことをいつも話している麻薬学者と麻薬画家だったよね?」
「聞いたことあるし、見たこともある。アメリカンギャングボーイという名前も聞いたことがある。」
「前々回のミッションで、初めてジェイムズの顔を見た時やジェイムズの名字を聞いた時、どこかで見て聞いたことがある顔と名前だなと思った。」
「ここ近年、何者かの暗躍によって若者を中心に麻薬がじわじわと世界中に広がっているという深刻な事態の噂を周りから聞くが、まさかそれはその麻薬学者と関与しているの?」
「エージェント1〜4、そのまさかだ!麻薬が世界中に広がっているのは、彼による主技だ!彼は、見た目は世界中に知られる優秀な麻薬学者だが、麻薬の研究をしながら世界中のテレビ出演や麻薬に関する本の出版や論文発表、世界中の大学で麻薬学の授業を教えている。また、麻薬画家や『麻薬心理宗教』の教祖としても活動している。そしてそのような公の場所で彼は巧みな言葉で麻薬を勧め、世界中に麻薬を広げる暗躍をしている悪のエリート科学者だ!」
「なぜそれがわかった?何のために潜入していたの?」
「アメリカンギャングボーイは僕にとって大事だった人の墓場になってしまった組織だ!2年前、ここ近年何者かの暗躍によって若者を中心に麻薬がじわじわと世界中に広がっていて、アメリカンギャングボーイかトリックマンのどちらかがそれに関与しているのではないかと、ISDCの英国支部では究明し始めていた。さらなる捜査のために僕が前に所属していたSSBがこの2つの組織それぞれにある麻薬やその材料を駆除して、壊滅させるためのミッションに出ていた。それによって、彼の暗躍であることがわかった。潜入していたら・・・。」
2年前
紀ノ松は当時24歳だった。紀ノ松にとって先輩エージェントだった、猪村 博文(エージェントI)当時33歳と紀ノ松と同世代の相川 宇野(エージェントA)の3人で、この2つの麻薬製造工場に何度も潜入していたのだ。
ある日のことで、ミッションが始まってから2度めとなるアメリカンギャングボーイに潜入することが決まり、3人は訓練を終え、話をした。
「お疲れ、KとA。かっこよかったよ。」
「いえいえ。先輩Iこそお疲れ様でした。」
「Kがそう言ってくれるとうれしいよ。それにしても今まで見ていてKは、狙撃を凄腕にするんだな。」
「え?そんなことありません。」
次に相川も声をかける。
「私もそう思うよ、K。」
「Kのフレーズ作ってもいいかな?」
「そう言われるなら、仕方がありません。いいですよ。」
「凄腕のスナイパー何かどうかな?」
「凄腕のスナイパーか。いいですね。僕も気に入りました。ところで、ここ近年何者かの暗躍によって、若者を中心に麻薬がじわじわと世界中に広がっているという深刻な事態が起きていますが、前回初めてのアメリカンギャングボーイへの潜入で、まさかあの世界中で知られている麻薬学者マック・アダソンの暗躍だとわかるとは思いませんでした。」
「K、僕もアメリカンギャングボーイや麻薬学者のマック・アダソンは、聞いたことがあったが、アメリカンギャングボーイはだだの彼の研究所だと思っていた。まさかあそこは麻薬を製造して世界中に流通されるための工場だったとは・・・。」
「一体彼は、何者で何を目的に麻薬を世界中に広げているのかそこがまだわかっていません。今回は、アメリカンギャングボーイに潜入なので麻薬駆除と彼の目的を明かしていきたいと思います。」
「麻薬やその材料を駆除だけではなく壊滅もさせないといけないし、トリックマンもアメリカンギャングボーイのその目的に関わっているかどうか調べなくてはならない。K。」
「そうだねA。」
「壊滅までは、時間がかかると思う。」
「先輩Iもそう思いますか?」
「そう。」
「先輩Iから、フレーズをもらったので大丈夫です。今まで僕がこのメンバーを助けて来たので僕が何とかします。」
「ありがとう。いつも何だか、Kに助けられてばかりのような気がするな。」
「そんなことありません。先輩I。僕もすごいですが、Iも剣の腕前がすごいと思います。」
「褒められると照れるな・・・。」
潜入日となった当日になり、紀ノ松は相川と猪村に声をかけた。
「今日の作戦はと研究開発室と倉庫にある麻薬全てを駆除することと、麻薬研究栽培室にある栽培機を壊すこと、マックの真の目的を調べることだ。」
「KとA。準備はいいか?」
「はい。」
「では、潜入するぞ!」
潜入すると白衣とゴーグルを装着したアメリカンギャングボーイの研究員(構成員)が行き交うように数人歩いていた。記ノ松と相川と猪村の3人は、その人達に見つからないように壁角に隠れていた。しかし、場所によってはどうしても研究員(構成員)が邪魔で先に進めない場所もあった。
「I、研究員がいっぱいいて、この先進めません。どうしましょうか?」
「ここを通らないと研究開発室や麻薬研究栽培室、麻薬倉庫に辿り着けない。」
「Iお任せください。僕が拳銃で倒します。」
「わかった。頼む。」
記ノ松は研究員(構成員)に見つからないようにして拳銃で撃った。
バン!バン!バン・・・!
「わあ!」
「ぎゃあ!」
といって研究員(構成員)たちは倒れた。
「Kはやっぱりすごいな。百発百中の凄腕のスナイパーだ。」
「ありがとうございます。先輩I。」
だが、喜んでいるのもつかの間だった。次の瞬間英語の管内アナウンスで
「緊急事態発生!緊急事態発生!侵入者発見!排除せよ!」
と英語で流れた。
「もしかして、今ので、見つかった?」
「どこかに防犯カメラがあったんだ!」
「機関銃に持ち替えだ!」
その館内アナウンスが鳴ってすぐに、今度はAIIBSOらしきエージェントたちが機関銃を持って3人に襲ってきた。
「いたぞ!」
「撃て!!」
「ドドドドドドドドドドドドドドド・・・!」
銃撃戦が始まり、
「こんな人達、前潜入した時はいなかった!」
「そんなことより、今は応戦して前に進むしかない!」
「そうですねI。こっちもだ!くらえ!」
「ドドドドドドドドドドドドドドド・・・!」
しかし相手は手強く、猪村と相原は撃っても、撃ってもなかなか命中しなかった。でも紀ノ松だけは、狙い撃ちがとても上手なため、命中していたのだ。
「やっぱり、Kはすごい!機関銃の使いこなしが!」
「ありがとうございます。先輩I。」
そして、紀ノ松の活躍のおかげで全員倒し、またしつこく出てきての繰り返しで進んで行った。その後、銃を撃ちながらそれぞれ3箇所にそれぞれ分かれて、麻薬の駆除と情報収集を行った。
しかし、それが終わり集合場所と指定された玄関出入り口に戻ったが、
「A、そっちは、倉庫全て駆除できた?」
「もちろん。できた。しかし、マックの真の目的だけはどうしてもわからない。」
「僕は麻薬研究栽培室で栽培されていた麻薬植物を全部抜いた。でも、こっちもマックに関する有力な情報は見つからない。先輩Iは麻薬研究開発室担当だけど、まだ来ていない。どうしたのだろう?」
「一応、このトランシーバーで連絡してみようか。こちらエージェントK。I聞こえますか?」
と連絡した瞬間猪村から
「マック!一体『この不気味な絵』は何を意味する絵だ!」
「侵入者のお前には、知る必要はない!『兄』罰としてこいつの始末をどうするか検討して下さい。残る仲間もどこかにいます。」
「待ってくれ!入る部屋を間違えただけだから、許してくれ!残る仲間には手を出さないでくれ!」
「うるさい!黙れ!」
「ぎゃー!」
「マック博士。この日本人は前も見かけましたが、一体何者なのでしょうか?」
と言う女性らしき声を最後にトランシーバーからは何も聴こえなくなってしまったのである。
「今の悲鳴は何だったのだろう?女性の声も聞こえたけど。」
「ま、まさかIに・・・。K!大変だ!Iを早く探さないと・・・!」
「僕もそう思っていた。先輩Iを探そう!」
2人は、また機関銃を構えながら猪村を探した。しかし、そう簡単には見つからなかった。
しばらくそうしていると、1階と2階が繋がっている部屋に辿り着いた。2階の奥は、ピンクのカーテンとレース付きのボス部屋だった。アメリカンギャングボーイの組織内は、どの部屋にもピンクと白と黒が使われている。壁もピンクと白のストライプであり、シャンデリアもある。また、あちこち中にハートをモチーフにしている家具などもたくさんあるのだ。その目の前の階段上に2人から見て左には、紺色のスーツ、白いワイシャツ、赤いネクタイをした金髪の白人系米国人男性がいた。そう。この組織のボスマック・アダソンである。
また、その隣にボスと全く似た人がいて、猪村は跪かされていた。折り畳み式の剣を持って猪村の首に押し当てていたのだ。その、ボスとよく似た人は、クリーム色のスーツ、白いワイシャツ、パステルカラーの緑の斜めストライプ柄のネクタイ姿だった。その人物は折りたたみの剣を猪村の首に押し当てていたのだった。
「ボスの隣にいる、ボスそっくりなその人は、一人は誰だ?」
「そんなことより、仲間を返せ!さもなきゃ撃つ。」
「撃ったらダメだ!」
と猪村が言った。
「黙れ!君たち3人仲間か。そこにいる2人、発砲せず銃を捨てろ。さもなければ、こいつがどうなるかわかっているだろうな?」
とクリーム色のスーツの人が英語で言った。
「捨てたら返してくれるんだろうな?」
「ああ。もちろん。」
紀ノ松と相川は仕方なく機関銃を床に置いた。と次の瞬間
「ぎゃあー!」
クリーム色のスーツの人が、自分の剣で猪村の腹部を深く刺してしまい、気が付くといつの間にか、面倒見の良い先輩であった猪村が物言わぬ姿になっていた。紀ノ松と相川が呆然と階段の下から見つめた。そしてその人物は死んだ猪村を足で蹴って、階段から落とした。
「K。悪いニュースだ。」
「そんな・・・。さては、騙したな!ボスが2人!お前らは兄弟?」
と紀ノ松が言うと、クリーム色のスーツの人が次の事を話した。
「騙してなんかはいない。ちゃんと仲間を返したじゃないか。私の名前は、ジェイムズ・アダソン。こっちが、マック・アダソン。私の弟だ。つまりアダソン兄弟。」
「前回の潜入で、アメリカンギャングボーイの主技でこの近年麻薬が世界中にじわじわと広がっていることを知ったぞ!マックは一体何が目的で麻薬を広げ、一体アダソン兄弟は何を企んで、君たち兄弟は何者だ!」
「教えてあげよう。その前に私の助手側近を呼ぶ。」
とマックが言って自分が装着しているアップルウォッチを使って誰かを呼んだ。
しばらくすると、頭に水色のカチューシャを付けている長い黒髪をもつ日本人女性がマックの隣に来た。彼女は水色のシャツにマックより少し濃い紺のスーツ姿でスーツの襟部分には、アメリカンギャングボーイのロゴのピンバッチを付けていた。また首には、アメリカンギャングボーイのロゴマークと大麻草とポピーが描かれたスカーフを巻いていた。
紀ノ松と相川がその日本人女性を見て
「彼女は、まさか・・・。」
「日本のテレビ番組で、マックと一緒に出ている日本人だ。」
「こんにちは、侵入者が、あと2人がいたとはね。しかし、ここはマック博士の指示により関係者以外立ち入り禁止。」
と日本人女性が日本語で紀ノ松と相川に言った。
「改めて、紹介しよう。君たちも私の存在を知っているようだが、私は世界中に知られている麻薬学者マック・アダソン。私の横にいるのは、私の助手東崎 南だ。私は南君と呼んでいる。また、私が日本のテレビ番組に出演する時や日本の大学の授業など私の日本での活躍は、毎回彼女が通訳係になっている。私は、南君とともに麻薬の研究などをしながら、世界中の公の場で麻薬の素晴らしさを世界中に知らせ、麻薬を流通させている。そして、世界を完全に麻薬社会に変えて人類を麻痺させ世界征服をするつもりだ!そして麻薬社会になった時の私は、『麻薬王』となり南君と結婚し私の妻と后なるのだ!つまり、私と兄と南君の3人だけで生きていける悪に満ちた世界を作り上げるのだ!」
マックのそのセリフを横で聞いていた東崎 南は、少し心苦しい感じがしていた。
「そんなことをしたら、人類が破壊してめちゃくちゃになるぞ!止めろ!」
「黙れ!次に兄の話を聞け!兄からの命令だ!」
次にジェイムズが話した。
「ここの組織は、私達兄弟がトップである米国国際情報局秘密組織(AIIBSO)という諜報機関の裏の顔であり、弟の率いる組織だ。本部はフィラデルフィアに置いている。ここは、君たちが来た時に気づいたと思うが、その英国支部敷地内にある。AIIBSOは中央情報局(CIA)と国家安全保障局(NSA)に並ぶアメリカ三代国際諜報機関の内の一つだ。私と弟は、もう一つ計画していることがある。それは、AIIBSOを再び世界一の諜報機関に育て上げるため、いつか君たちのいる国際秘密防衛会社を乗っ取り、国際秘密防衛会社を乗っ取り壊滅させ、私たちの支配下に置く。」
「私たちの組織は存在が極秘にされていてわからないはずだ!どうしてわかった?」
「そんなの考えてみれば簡単だ。君たちが前回侵入していると弟が話して、私と構成員が何者なのか最新技術を使って知った。また過去に私達のAIIBSOにも国際秘密防衛会社の他の諜報機関が潜入していた。その時も何者かを調べた結果、私たちの組織を世界で2番目に優秀な諜報機関へと2番目の諜報機関へと転落させた組織だった。ここ3年もずっとだ。これは私たちが最も優秀な諜報機関に戻るための計画だ。また、私たちの組織は、創立当初から現在に至るまで世界各地の先進国に支部を置いてきた。だが、残すは君たちの日本1か国のみだ!ついでに、お前らのISDCの本部を私たちの日本支部に変えるつもりでいる。どうだね?裏切ってアメリカの国家公務員試験を受けて、私たちの構成員にならないか?私たちの組織には、南君同様に日本人もいる。試験に合格できて、英語が話せる日本人なら誰でも大歓迎だ。君たちもそのうちの1人だ!」
紀ノ松は怒りを露わにし、剣を構えて声を上げた。
「そんな事をしたら、国家機密侵犯法で死刑などの重い罪に罰せられるぞ!裏切るつもりなんかはない!よくも仲間を殺したな!そんな恐ろしい企み絶対実行させない!お前、いや、ジェイムズ!今までの中で、最も極悪非道な人物だ!ここで倒す。」
「兄、私が行きましょうか?」
「いや、南君とともに下がっていてくれ。私があいつを始末する。裏切る気がないなら仕方がない!いいだろう、相手になってやろう。」
そして数分間対決が続いて、紀ノ松はやられっぱなしで、血が出て全身傷だらけになってしまった。
「やるな、お前。」
「ジェイムズ!今までの中でも強敵だな!」
「そうだ。強敵だ。これでお前もおしまいだ!」
紀ノ松は、床に叩きつけられもうダメだと思ったら、耐えて剣を受け止めて身を守った。
「・・・その後、帰還命令が出されて帰還した。またその後も、Iの代わりが他の人になって今度はトリックマンに潜入した。僕はIが殺された時からずっと対立して来た。しかし、SSBがこの2つの組織はとても危険な組織と判断したためミッションは挫折を余儀なくされた。」
「ジェイムズの顔や名前見た時に、少し違うと思いつつも通りでどこかで見たことあると思ったらやっぱり、兄弟?と思ったんだよね・・・。」
「世界中で知られているあんな優秀な麻薬学者でもあり麻薬画家が悪のエリート科学者だったなんて・・・。」
「ISDCがいつの間にかAIIBSOに狙われていることもそこから始まったの?」
「そう、SSBがこの事態が起きたことにより、ISDCの最高責任者である間ケ部にAIIBSOが襲撃しに来るという事と伝えてISDC中に広げた。」
「AIIBSOの話はどこの諜報機関から来たのか今まで知らなかったけど、SSBだったのか。」
「でも、麻薬がじわじわと世界中に広がっているのもAIIBSOの主技であることとマックがジェイムズの弟であることは、ミッションが途中で中断になったことにより、SSBが他の諜報機関などに知らせるのを諦めてしまっていた。また僕が当時、アメリカンギャングボーイに潜入していた時、マックの横にいた日本人女性はマックの企みである世界を麻薬化社会になって世界征服することを恐れていたような感じがしていた。」
「そうなの?」
「同じ仲間なのにどうしてだろう?」
「僕にもわからない。きっと彼女、何か心残りがあるのかもしれない。」
「そう言えば、エージェント6はほんとに狙撃が上手だったの?」
と横田が疑問に思って言った。
「SSB時代は、よくそう言われていた。でも前回はミッションで自分が凄腕のスナイパーであることをエージェント1〜4には隠していた。」
「次のミッションで、凄腕のスナイパーを証明してくれ!」
「わかった。がんばるよ。」