③大変だ!2つの諜報機関が!
次の日、エージェントたちは年に2回ある定期訓練のため訓練管理官に呼び出された後、33階のフィトネスルームでジャンプスーツを半分脱ぎ ランニングマシーンで走りながら話しをしていた。エージェントたちからは太平洋が一面見渡せていた。
「僕には、初めてここ使う。」
と紀ノ松は言った。
「ここ海一面見渡せるからいいよね。」
「確かに。」
「SSB時代は、海の代わりにロンドンの街並みが見渡せていた。どこの階も。」
などと話していた。
しかし、フィットネスルームの外にあるエレベーターホールの近くでは、職員がエージェントたちに何かを伝えたくて落ち着きがないかのように、うろうろしながら何やらごちゃごちゃと話し始めた。
「MFSPとKAJは、ミッションを挫折したらしい。」
「そのミッションに出ていたエージェント全員重傷。」
「どうなるのでしょうね。」
「さあ。」
などと、話しているとエージェントたちは気になってそこから出て、その話に混ざったのだ。その中でも、なぜか1番気になっていたのは新板だった。
「どうしましたか?」
「MFSPとKAJは、イギリスにある。2つの麻薬製造工場にそれぞれ潜入していましたが、重傷を負った影響により余儀なくミッションの挫折をしてしまいました。」
「それはなぜですか?また、ジェイムズの主技ですか?」
と新板が言った。
「いや、もしかすると1つ目の麻薬製造工場は、ジェイムズと関与している可能性があるとMFSPが言っていました。2つ目の麻薬製造工場は、争いをしていてそれに巻き込まれたようです。」
新板は、何かを思い出すような感じで話を続ける。
「MFSPとKAJが、ミッション中に麻薬製造工場同士の争いに巻き込まれた・・・。あー!思い出したぞ!」
「エージェント4、どうしたの?急に?」
「前回のミッション前にMFSPのエージェント4がKAJと一緒に混ざってその2つの組織に潜入すると話していたぞ!」
「そんなことも話していたの?」
「俺とお互いミッションの内容話していたんだ!という事は、MFSPのエージェント4も大ケガを負っているはずだ!急いで見舞いに行こう!」
新板は、大急ぎでMFSPの組織ビルへ向かう所を見て、ヨインター、ミュージ、横田は慌てて
「ちょっと、待ってよ!」
「置いて行かないで!行くから。」
「あんなに慌てちゃって。」
しかし、紀ノ松だけ心の中で冷静に何かを思い出しそうな感じで推理し始めていた。
「ん?イギリスの麻薬製造工場と呼ばれているところ、ジェイムズがその組織に関与している・・・?何かな・・・?そして、もう1つの麻薬製造工場か・・・。」
「エージェント5、どうしたの?みんな行ったよ。行くよ。」
と横田が言った。
「いや、何でもない。行く。」
新板は大急ぎで、隣にあるMFSPの組織ビルに行き、入室許可書をもらってから素早くエレベーターに乗って30階の医務室に着いた。
そこに着くと、何やらMFSPの医療部員らは手が空いてないほど忙しく、騒がしい状態が続いていたのだ。
「エージェント5人とも、意識不明!」
「刃物で刺された後もあります!」
「1人骨折!」
などと言っていた。
そんな中新板は、
「お忙しいところ、すみません。NMSPのエージェント4の者です。MFSPのエージェント4の見舞いに来ました。」
と言って、1人の看護師が
「MFSPのエージェント4ですか?治療のためベッドにいます。案内しましょう。」
案内され右奥に向かうと、いくつかガラス張りの個室があった。その真ん中辺りに向かうと
「こちらが、MFSPのエージェント4の部屋です。」
と看護師が言って、個室の電気を付けてからドアを開けてくれた。
中に入ると新妻がベッドで横になり、裸にされ体のあちこちに包帯が巻かれていた。また、特殊な医療機器が取り付けられていたのだ。
「お前、大丈夫か?見舞いに来たぞ。死んでほしくない。看護師さん、どうなのです?状態は?」
「まだ詳しい容態はわかっておりません。医者がいうには、KAJエージェントと全員と同じように、危険な状態かもしれないとのことです。」
「死んでほしくない!生きていてくれ!NMSPの職員も話していましたが、争いに巻き込まれたとはなぜですか?俺は、MFSPのエージェント4が前にミッション内容を話していてわかってはいましたが。」
「潜入中に2つの麻薬製造工場が、麻薬の奪取争いが始まってしまいそこに両諜報機関のエージェントは、巻き込まれてしまったのです。」
「つまり、それで大ケガを負ってミッションの挫折を余儀なくされたというのですか?」
「そういうことです。」
看護師と話していると、ヨインター、ミュージ、横田、紀ノ松がやってきた。
「先に行かないでよ。」
「ひどい傷だな。」
「こいつが、そうなのかエージェント4?」
「そう、俺と話したMFSPのエージェント4だ。」
「職員の話はほんとだったんだ。」
「この傷、俺がジェイムズに刺された時の状態と似ているな。」
紀ノ松だけは、さっきに引き続きまだ心の中で推理していた。
「この話は、ほんとだとわかったから・・・。何かこれ・・・。」
「どうしたの?さっきから変だよ。エージェント5。」
と横田がまた、紀ノ松を見て不思議そうに言った。
「いや、何でもないよ。でも何かこの話を聞いてから、過去の記憶が蘇りそうなんだ。」
「今日は変なエージェント5だな。」
新板は、治療中の新妻に向かって言った。
「必ず治ってくれ。お前。俺祈っているからな。エージェント1、2、3、5。用事は済んだし、帰ろうか。」
「もういいの?」
「うん。看護師さん。大変失礼しましました。」
「いえいえ。とんでもないです。」
エージェントたちは、帰ったがその間、紀ノ松は推理していた。