①指令本部へと帰還したエージェントたち
指令本部に帰還すると堀口が最初に、エージェントたちにこう話した。
「ミッション、お疲れ様でした。」
「ありがとうございます。」
「無事2つの組織を壊滅させることは出来ましたが、アダソン兄弟は構成員と一緒に逃げてしまいました。」
と紀ノ松が言った。
その次に滝永が、
「今後、私たち訓練管理官も今回のミッションの様子を見てアダソン兄弟を足止めさせる訓練も行っていきたいと思います。」
と少し反省した気持ちで言った。
「わかりました。」
とエージェントたちは返事をした。
「エージェント全員、疲れていると思いますので。この支部にある宿泊施設で1泊して下さい。明日の朝、そこを出て帰国の準備のほどお願いいたします。」
「はい。」
エージェントたちは、そこへ行くことにしたが、紀ノ松だけは行きたい所があった。
「エージェント1~4。ごめん、先に行っていて。」
「どうしたの?急に?」
「ひょっとして、SSBの組織ビルに行きたいのか?」
「そうだよ。もう明日には、ここを出るし、お別れを言いに行きたいんだ。」
「わかった。」
「行っていらっしゃい。」
「ありがとう。済まないね。」
「大丈夫だよ。」
紀ノ松は、エージェントたちにそう言うと、嘗ての居場所だったSSBの組織ビルへと向かった。入室許可をもらい、エントランスロビーに行くと、
「エージェント5、また会ったね。ミッション終わったの?」
と相川が言った。
「2年前は壊滅させることは出来なかったけど、僕たちの活躍で壊滅させることが遂にできた。」
「さすがNMSP!すごいじゃないか。」
「まあ、僕のおかげだとNMSPのみんなが言った。」
「やっぱり、NMSPはこの国際秘密防衛会社を代表する諜報機関だ。」
「ありがとう。何だかそう言われると、SSBにいたのが大分昔のようで、ずっと僕がNMSPのエージェントであるとしか感じられなくなってきた。つい、最近だったのに・・・。」
と紀ノ松は、少し悲しげに言った。
「そうか。」
と話していると
「あれ?紀ノ松じゃないですか。」
とSSBの長官である岩村がやって来たのだ。
「長官、お久しぶりです。」
「どうして今日はここにいるのですか?」
「2年前のこと覚えていますか?あの2つの薬物犯罪組織に今回、NMSPで潜入して無事壊滅させることが出来ました。」
「さすが、元エージェントKですね。この諜報機関では成功させることが出来なかったミッションを、成功させてしまうNMSPはすごいと思います。」
「ありがとうございます。坂本長官にも、お伝えしておきます。」
「NMSPのエージェントとは、うまくやっていけているのですね。」
「はい。もちろんです。」
「副長官にも、エージェント元Kの様子をお伝えしておきます。」
「ありがとうございます。それでは、僕はこの辺で失礼します。さようなら。」
「さようなら。」
「バイバイ、エージェントA。」
「バイバイ、これからもNMSPで頑張ってね!」
「もちろん、頑張る。」