②謎の不気味な絵
ヨインター、新板、記ノ松は、一番奥の研究開発室のある部屋を抜け、そこからさらに奥に着くと、この階では一番広々とした廊下がある通路に着いた。目の前にはまるでホテルのような造りをした、黒いハートが描かれたソファーとハートが描かれた黒い猫脚のテーブル、さらにその奥にはテレビがあった。またテレビの後ろは、ピンクのカーテンとレースがかかった窓が4つほどあった。左側にはピンクに黒いハートのシーツが目立つピンクのレースカーテン付きベッドが並ぶように2つほどあった。天井には、クリスタルの大きなシャンデリアがぶら下がっていた。そして、その部屋を挟むように両側には壁に埋め込まれた、ハートが描かれたドアがあった。そことこの廊下が仕切り無くつながっていた。
「何ここ?」
「まさか、アメリカンギャングボーイにこんな場所があるなんて。」
「もしかして、この部屋リビングと寝室じゃない?でもここだけ争った痕跡がなくてきれい。何で?」
「恐らく、2年前の僕同様にあまりにも奥にあるからトリックマンも気付かなかったに違いない。僕が2年前も潜入した時から見る限りでは、アダソン兄弟の別荘らしき建物が無かった。もしかして、アメリカンギャングボーイは工場施設とアダソン兄弟の別荘施設が一緒にあるのかもしれない。」
「じゃあ、ここはアダソン兄弟の別荘施設の一部ということ?」
「たぶんそうだ。とりあえず、念の為麻薬がないかどうか探そう。このリビング寝室には無さそうだから、まずはこの左隣りのドアがある部屋だ。」
ヨインター、新板、記ノ松は、その部屋に入った。しかし、入った先にあったのはピンクをバックに黒いハートが描かれたタイルが貼られていて、そこにはハートが描かれたピンクのカーテン付きのシャワー風呂があった。またその前には、トイレと洗面所があるだけだった。
「何だ。ここはただのお風呂だ。麻薬とか無さそうだ。」
「リビングを挟んで、右側にあった部屋は何があるんだろう?」
「とりあえず、そっちにも行ってみよう。」
ヨインター、新板、記ノ松は、その右側の部屋にも入った。入るとその部屋は、窓が1つもなく暗かったため、新板は電気をつけた。つけるとそこにはマック自身が開発したと思われる麻薬用の点滴機器、注射器などの麻薬用のキッドや麻薬を体内に取り入れるための医療機器があった。また、ヘッドホンも完備された特殊なオーディーオー機器も置かれ、マックが出版した麻薬関連の本がたくさん入った棚や麻薬服用でリラックスするためのベッドや椅子やソファーがあった。また、すぐに入って振り向くと入ったドアの両側には大きなキャンパスに描かれた絵が1つあった。その絵には、銀のカチューシャをしたピンク色のロングヘアでピンク色の目をした2人の少女と2人の目に似たピンク色の目の絵が片目ずつ2つ描かれていた。しかし、2人の少女は同一人物であるが、左右で雰囲気が全く異なっていた。微笑んでいる左側の少女に対して、右側の少女は怪しげに髪が風でなびいており、顔から泣いているかのように血を流し不気味に見える。手でその血を拭うかのように口を手で抑えているが、その手と腕、そして服も血まみれになっており、少し困った顔をしていた。また、その血まみれの少女の目とその下にある目の絵は、左側の少女の目とその近くにある目の絵とは全く違い、怪しげな悪に染まるようなギョロ目に変わっていた。 そして2人の少女の周りには、まるで幼稚園児が描くような落書きもそれぞれ描かれていた。左側の少女の近くの黒いマーカーやクレヨンで描かれた落書きに対して、右側の少女の近くには赤いマーカーとクレヨンで描かれた落書きがあり、そこから下は斜めに黒いグラデーションがかかっていた。また、左側の少女の後ろには、なぜか赤とオレンジの薔薇が描かれていたが、右側の血まみれの少女と黒いグラデーションの下にはポピーと大麻草が描かれており、不気味な絵だった。その絵の右側の下には金色のプレートに『「光と闇」マック・アダソン 202?年作』と英語で書かれていた。『その謎の不気味な絵』の前には、大麻煙草用の灰皿台があった。その絵も含めこの部屋だけは全てにおいて部屋のデザインに対して特に似つかわしくない不気味な物ばかり置いてあった。また、この部屋はついさっきまで誰かが煙草を吸ったためか大麻煙草の匂いが蔓延していて臭かった。誰かが使ったと思われる覚醒剤専用の注射器と覚醒剤が入っていたと思われる使い切った注射液の瓶が1つのテーブルの上にそのまま置きっぱなしだった。
「『この不気味な謎の絵』は、何かを誰かに伝えたい思いと物語性があるような気がするが、一体何を意味しているんだろう?少女が血を流してギョロ目になって血を流している。見るからに不気味な絵だ。そういえば、先輩Iが最後の無線でも『不気味な絵』のこと言っていたこと覚えている。もしかしてこれのことかな?」
と記ノ松は、疑問に思って言った。
「その絵の著者が、マックと書いてある。202?年に描かれたということは、アメリカンギャングボーイがちょうど創立した年だ。でも何でマックが書いたんだろう?もしかして・・・。」
「エージェント1。思い出した!マックは、ミッション指令書にも書いてあったけど麻薬学者と大学の先生だけではなく、世界中で麻薬画家の活動もしていて、『麻薬心理宗教』という謎で不気味な宗教組織の教祖もしている!2年前にも僕が潜入しているときにもマックが言っていた。マックは自分自身も麻薬を服用し続けていて幻覚、妄想、興奮作用を起こし、その作用によってマックは不気味な絵の数々を描いている。きっとこの『謎の不気味な絵』もそのうちの1つだ!アメリカンギャングボーイがちょうど創立した年にマックが描いたとすると、それより過去にマックだけあるいはアダソン兄弟に何かがあったのかもしれない。『その出来事』を元にしてマックは描いたんだと思う。まあいい。奥の方に麻薬やキッドなどがあるから、早く駆除しよう。」
「そういえば、この部屋入ったときから大麻臭くない?テーブルの上に使い切った覚醒剤と注射器があった。」
「確かに臭い。ただ今は、絵や匂いよりも麻薬駆除だ。」
ヨインター、新板、記ノ松は、麻薬やキッドなどを駆除するためにそれがある場所に向かった。だが向かう途中、記ノ松は、再び不気味なものを見つけた。この部屋で唯一1つの椅子と机だけが骸骨の骨を象ったデザインになっていた。その机の上には、不気味なドクロが描かれた分厚い本と溶けかけの白い蝋燭が1本刺さった骸骨の頭の蝋燭スタンドがあった。その椅子と机のすぐ近くに、顔が見えなくなるほどのフードが付いた黒いマントが掛かけられたハンガーラックがあった。記ノ松は、思わず気になって机の上に置いてあった不気味なドクロが描かれた分厚い本を開いてみた。開くと、どのベージも全てぎっしりと、誰かが羽ペンで何語かもわからない誰にも読むことができないであろう、不気味な文章が長々と書かれてあった。
一方で、ヨインターと新板は既に麻薬やキッドなどを駆除するための特殊なゴミ箱をだして麻薬を駆除していた。
「エージェント5、そこにずっと立っていてどうしたの?」
「早く俺たちと一緒に麻薬駆除しようよ。」
「エージェント1と4、ごめん。今ここに妙で不気味な本があって思わず気になって見ていていた。」
「その本俺たちにも見せてくれないか?」
「わかった。」
ヨインターと新板もその本を見たが
「何これ?なんて書いてあるかもわからない文章ばっかり。」
「見るからに気味の悪い本だ。それにしても、この部屋は大麻臭いし麻薬だけではなく不気味な絵やそこにある不気味な椅子、テーブルなど不気味なものばかりだ。一体この部屋は何の部屋なんだ?」
「この部屋は僕が見る限りでは、マックが麻薬服用するための麻薬の人体実験するための部屋に違いない!タバコの吸い殻箱やテーブルの上に使い切った覚醒剤と注射器があるし、そうに違いない!」
「ええ!でも何でそれがわかる?」
「『謎の不気味な絵』がこんな一番奥にある部屋にあるということは、きっとアダソン兄弟が相当大切にしているに違いないからだ!それに、この階は研究開発室がメインにあるから、そこで完成した麻薬や研究用の麻薬をマックがここで最終的に服用するためにあるのだと思う。」
「じゃあ、もしかすると早くここにある麻薬とかを駆除しないとマックが来るかもしれないということ?」
「きっと、そうに違いない!またそうでなくても、ジェイムズが前回同様に自分のIT技術を使って僕たちがいないかどうか監視しているかもしれない!」
「まずいよ!それは!」
「エージェント5、俺とエージェント1の2人で麻薬を駆除するからそれが終わるまでエージェント5は、この部屋の外でマックや誰か来ないかどうか機関銃を構えて見張っていてくれ!」
「わかった!」
記ノ松は、機関銃を構えて外で見張ることにしたが、駆除が終わるまでの間誰も来なかった。その後、その部屋の麻薬の駆除が終わったヨインター、新板、記ノ松は、その本を置いてその部屋を後にした。そして、再び争いに参加しているふりをしてアメリカンギャングボーイ、AIIBSO、トリックマンの研究員や構成員たちを倒しながら今度は麻薬庫に行き、そこにある麻薬を駆除する作業を始めたのであった。