女子会
「わぁ・・・っ!本当に雪の妖精さんみたいなのです!」
たれ耳狼耳しっぽの姉妹・シャーラは、
初めてのメイリィさまに、目を輝かせて、
わふわふとしっぽを振っている。
「・・・シャーラさま・・・めっちゃかわいいです・・・
あぁ・・・もふちゃんを思い出します・・・っ!」
「もふちゃんって?」
ナディが首を傾げると、メイリィさまが、
その“もふちゃん”を、描いてくれた。
「こんな感じで・・・わふたんと言うよりは、
狐さんなんですが・・・」
「はうー、ソラノシア連合王国の姉妹姫のお姉さまにも、
狐さんお耳にしっぽのお姉さまがいるのです?」
「まぁ、そうなのですね!
竜国域では、狐耳しっぽと、猫耳しっぽの獣人族が特に多いんですよ」
「逆にこちらでは、猫耳しっぽの獣人族が少ないのです!
獅子や虎のお耳にしっぽの獣人族ならいるのですが!」
確かに!定番の猫耳しっぽの獣人族の方には出会ったことがなかった。
国域によって、いたり、いなかったりするわけか。
まぁ、猫系はいるのだけど。
「そうだわ、シリンズランドで最近はやっているお菓子があるのだけど」
と、ナディがかわいらしい菓子箱を開けてくれる。
それを見た瞬間、私たちの目が輝いた。
『かわいぃ~~~っっ!!!』
それもそのはず、中に入っていたのは、
大きな猫型の、お饅頭だった。
白猫、黒猫、虎猫、そして三毛猫の4種類。
私たちも4人なので、数的にもちょうどいい。
「何故か・・・猫にしちゃったんだけど・・・
かわいいからいいわよね」
「もちろん!ナディ、ありがとう!」
「いいえ、みんなも選んで」
「でも・・・かわいくて逆に食べられなさそうですね」
と、メイリィさまがおどおどしつつも、
白猫饅頭をてにとる。
私は三毛猫饅頭、シャーラが黒猫饅頭、
ナディが虎猫饅頭を選んだ。
「でも、ルティは、わかいい菓子パンは普通に食べるわよね?」
「あ・・・そうだった・・・」
私は、お饅頭をはむはむしつつも、
みんなに菓子パンを披露する。
「外交官のお友だちが、女子会をやると言ったら、焼いてくれまして。
一応誘ったのですが、姫さまばかりで恐縮だと言って、
これだけくださったのです」
「まぁ、みんな姫やら妃よね。シャーラさま以外」
と、ナディ。
「そう言えば、シャーラは誰かいいひとでも?」
と、聞いてみれば。
「ひゃうっ!?そ・・・それは・・・その、
何故かなかなか決まらなくって・・・モテないのです?」
『いいや、違う、それは絶対逆!!』
私たちは一様に叫んだ。
むしろ、人気がありすぎて、どうせニカ義父さま、
ニオくん、お姉さま方が暴走して、
なかなか決まらないのだろう・・・
「もし、嫁入り先が決まらなかったら、ウチの兄さまとかどう?」
と、ナディ。
さらっと言っているが、その“兄さま”とは、
シリンズランドの王太子・ヴィーラさまのことだ。
「ひゃうっ!?」
シャーラは驚きつつも、首を振る。
「父さまが、夫は絶対婿って言ってるのです?
ヴィーラさまは王太子なので無理なのです」
あぁ・・・こりゃ絶対、過保護組が、
ソラノシア連合王国から出さないつもりだ・・・
私は、確信した。
まぁ、私もその過保護組に入っているのだろうけど。
まぁ、気を取り直して・・・
「このうさちゃんパン、かわいいですね」
もぐもぐ。
メイリィさまはクリームの入ったうさちゃんパンが気に入ったようで・・・
「メロンパン・・・初めて食べたけど、メロンの味はしないのね」
と、ナディ。
「おさかなのパンおいしいのです」
もひもひ食べるシャーラは、今日もかわいい。
「ソラノシア連合王国からは、栗羊羹を持ってきたのです」
と、お次はシャーラが栗羊羹を出してくれる。
「わぁっ!羊羹!私、好きなんですよ!」
と、メイリィさまが飛びつく。
「他にも、いろんな羊羹があるので・・・よかったらお土産にどうなのです?」
「わぁいっ!是非いただきますね!」
メイリィさまは羊羹を自分でお作りになるほど好きなようで。
そしてメイリィさまは、竜帝国の帝都でもおいしいと評判の、
チョコレート菓子をたくさん持ってきてくださった。
「わぁ、色んな形がありますね!」
ハート、星、アーモンド形とか・・・!
「味も色々とあるんですよ」
と、メイリィさま。
「どれにするか迷うわね~」
と、いいつつ、ナディは四角いチョコレートをぱくり。
「んんっ!これ、口の中でとろける!」
「生チョコと言うのだそうです!最近、竜帝国ではやっておりまして。
冷蔵魔法がないと、あまり持ち運べないのですが、
今日は納豆と一緒に持ってきました!」
と、メイリィさま。
「あぁ・・・ルティがはまっているって言う・・・あれ?」
そうそう。
因みに、冷蔵魔法は高性能で、匂いうつりはしないようになっているため、
納豆の匂いはしない。
私は納豆の匂いも好きだけど。
「おいしいのに、ナディったら食べないの」
「だってねばねばしてるし・・・」
「でも、ヘルシーですよ?」
と、メイリィさま。
「う~ん・・・なら、今度ご馳走してもらおうかな?」
「安心して!ナディ!明日の朝ご飯は、納豆よ!」
「相変わらずねぇ、ルティったら」
納豆談義をしながらも、トリはやはりパフェ。
フーリン国流あんみつパフェを食べながら、
女子会は楽しく進んでいった。




