明らかになった真実
※語り手は前回と同じです※
俺は、雪山の中で、黒髪に、赤い瞳を持つ少年・・・
シュティキエラ・・・略して、“シュキ”に助けられ、
フーリン国のお城で保護されていた。
彼に、俺の父さんがくれたお守りを見せると、
不意に驚いた表情をした。
そして、今度、城で宴が開かれるから、
その時に会わせたいひとがいると言われた。
その宴の日、俺はシュキに言われて、
とある一室にいた・・・
シュキが連れてきたのは、父さんの面影を感じつつも、
けれど違う存在・・・
俺とシュキは10歳だったけど、
そのひとは、多分、16歳くらいだったと思う・・・
アッシュブルーの髪に、群青色の瞳・・・
そして、ダークブラウンのずんぐりとした、
父さんにそっくりな角を持っていた。
「クロウ、例のお守りを見せて欲しい」
シュキに言われるがまま、俺はそのお守りをそのひとに見せた。
そのひとは、目を見開きながらも、何故か涙を浮かべ、
そして、俺を優しく抱きしめてくれた。
そのひとは、魔族の少年で、名前を“ルダ・エル・レヴィエス”と言った。
俺が持っていたお守りは、代々、彼の家に伝わるものだった。
俺の父さんの名前は、“カヤ・エル・レヴィエス”。
魔族の姿を持ちながらも、人族の血を引いていたがために、
彼の家から認められず、辺境に追いやられて暮らしていたのだと・・・
彼にとっては叔父にあたり、彼の父が、とても大切に思っていた弟で、
彼の父は、ずっとそれだけを危惧しつつ、
最期には病でなくなったのだと言う・・・
彼が家督を継いですぐに、俺の父さんを探したが、
かつて流されたとみられる辺境の地で、
特徴のよく似た魔族と人族の混ざりものの男性の遺体が、
見つかったそうだ・・・
そして、俺の父さんに贈られたと言う、
このお守りがなかったことから、
その行方を捜していたらしい・・・
俺は、自身の身にあったことを話すと、
彼はその人族に、怒りを燃やしていた。
そして、必ず仇は討つと・・・
―――
それから数か月が経ったある日、
再び、彼・・・ルダが俺に会いに来た。
彼が統治すると言う、“魔帝国”の国境付近で、
密出国しようとした人族が、捕まったらしい・・・
彼らは、“カロン”と言う国の者らしい・・・
その特徴を聞いた俺は、
父さんを殺したやつらで間違いないと頷いた。
彼らは、その後処刑すると、ルダは語った・・・
俺の復讐は終わった・・・
ルダが、解決してくれた・・・
俺は、何もできないままだった・・・
けれど、ルダは、
俺が復讐を背負いながら生きるよりはいいと笑ってくれた・・・
最後に、ルダの国へ来るかと誘われた。
ルダの国は、魔族の国だ。
けれど、俺は魔族らしい特徴などない。
そして、俺のことを良く思わないものだっているはずだ・・・
それで父さんは、追放されたのだから・・・
だけど、父さんを殺した人族の国には行きたくなかった・・・
だから、母さんの国に行ってみたい・・・
そう言うと、シュキは少し驚きながらも、
フーリン国からの留学と言う形で、手配を済ませてくれた。
―――
フーリン国に属する国の中に、
エルフ族の国・・・シリンズランドがある。
シリンズランドには、亡くなったエルフ族の王妃と、
その後に輿入れした、人族の王妃がいると言う。
その王妃は、フーリン国内の、サウザンランドの出身で、
人族ではあるが、海の民とも呼ばれるらしい。
“人族”と言う響きに、俺は思わず竦んでしまった・・・
けれど、シュキと一緒に赴いたシリンズランド城で出会ったのは、
俺が見た、人族とはまるで違い、
とても優しい顔をした美しい王妃。
そして、とてもかわいらしい人族の王妃の娘は、
名を、“シェンナディア”と言った。
俺がルダの甥だと言うことは、フーリン国側から、
シリンズランドの国王陛下夫妻に話が通っていた。
だから、俺の出生の秘密からも、
俺はシリンズランド城に預けられた。
表向きには、俺がルダの甥と言うことは伏せられていたので、
魔族の血を引いていることも伏せられた。
他者から見れば、俺は人族である。
そして、エルフ族の血を引いていることから
シリンズランドで暮らすことになった・・・
表向きには、そう言う事情になっている。
自然と同じ年ごろのシェンナディアと一緒にいる時間が多くなった・・・




