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シュキさま不在の日、そして謎の宿題を渡された

※ちょこっと回想追記しました(''◇'')ゞ※


「いや・・・いくら、留守にするからと言ってもねぇ・・・」

私は、竜帝国域のエルフ族の王国・エストランディスに向かう、

シュキさま、久々に邂逅したクロウさま、ナディ一行を見送り、

ひとり私室で、シュキさまから手渡されたノートを開いた。


「ルティカ・・・それ・・・何?」

赤紫色の髪に、オレンジ色の瞳を持つ、

クールな美少女・レツィアが覗いてくる。

レツィアは、私の側付き兼大事なお友だちのひとりで、

フーリン国宰相閣下のご令嬢。

更には、宰相閣下はシュキさまの叔父にあたるので、

シュキさまの従妹でもある。


今回の遠出はお忍び・・・と言うことで、

シュキさまの側近中の側近で、

レツィアの兄であるアルオさんが陰ながら同行しているそうだ。


他には、シリンズランドの護衛の方々もいるが・・・

シュキさまとアルオさんがいれば・・・

多分百人力以上だから、何の心配もないか。


しかも、私の大事な友だちであり、

シリンズランドの王女・ナディには、

その婚約者のクロウさまがついているのだ。

クロウさまはナディ大好きだし、強いし、

クロウさまを含め、シュキさま、アルオさんが揃えば、

もう恐いものなしだろう。


そのため、レツィアや他のシュキさまの部下の方々は、

こちらに残ってそれぞれのお仕事や、訓練をなさっている。


と言うことで、レツィアはいつも通り、

私の側に控えてくれているのだ。


「1日1枚読むように、そして、その返信を

こちらのノートに書き溜めておいてくれ、と」

謎の指示をいただいたのだ。

もちろん、魔法で手紙を出すこともできるのだが・・・

エストランディスはツェイロン王国よりもはるかに遠くにあるため、

時間も魔力もかかる。

私は魔法が使えないので、

それは他のひとに迷惑がかかると丁重にお断りした。

その結果が・・・これである。


「ほぅ・・・」

レツィアは、自身の従兄で、上司であるシュキさまが書いた、

日記を、興味深げにまじまじと見ている。


「書いてあることが毎日おんなじなんだけど」

いや、正確には違う。

けれど、要約すれば、ほぼ一緒。

ルティカかわいい、ルティカ世界一、ルティカ閉じ込めていい?

最後のはまぁ、見なかったことにして・・・


「私は普通に日記を付ければいいと思うんだけど」


「うん・・・私もそう思う。

因みに、シュキさまは部下に交代で、

ルティカ観察日記をつけるよう申し送りしていた」


「・・・え、何それ・・・束縛体質?」

まぁ、薄々感じてはいたのだけど。

天然っ気が多いため、そこら辺を感じにくくなっている。


「そんなシュキさまは・・・いや?」

レツィアが首を傾げる。


「・・・う~ん・・・何と言うか、

他のひとだったら嫌だけど・・・シュキさまは・・・

後ろをいつもくっついてくる子狼って感じだから、

まぁ、悪い気はしないかも」

ふふっと、苦笑すれば・・・


「うん、ちびわふたんは・・・かわいいね。

因みに、フェイも、ちったい頃は、めちゃかわ」


「ええぇぇぇっ!?見たかった!」

シュキさまの弟・フェイくんは、母方の獣人族の見た目が濃く出ている。

狼耳しっぽをもつ、かわいい義弟だ。

しかも、無表情っ気で見つめてくるところがたまらなくかわいい。

何故か、ついつい、“くぅ~ん”と言う効果音が聴こえてしまう。


「見る?写真」


「もっちろん!」


そして私は、フェイくんの小さな頃がいかにかわいいか、

ふわもふわふたんか、やっぱ子狼最高・・・

などなど、今日のステキな出来事を日記に書き連ねたのだった。


因みに、今日の私観察日記も、

参考までに見せていただいた。


ふむふむ・・・


朝起きた時間・・・

朝食のメニュー・・・

日中やったこと・・・

読書、日記をつける、

フェイくんの写真を見て和む、

フェイくん観察日記をつける・・・

いや、これ、単に小さな頃のフェイくんについて、

書き連ねただけなんだけども。

あとは、昼食やお茶、夕食のメニューとか、

そこでどんな話をしたか・・・


そして・・・


「お風呂でどこを先に洗ったかは、書かなくていいです。

あと、風呂、覗いたのですか?」


「いえ・・・まさか・・・!くじ引きで決めました!」

と、騎士の方。

何故、くじ引きで。

まぁ、覗かれていなかったのは幸いだけども、

今日の観察日記担当の騎士さんが、

レツィアも含めた女性隊員たちに、

総出でボコられたのは、言うまでもない。




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