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開通式、そして道は開かれた


「・・・どうしてこうなったのですか?」


「うん・・・!これも全て、ルティカのおかげだな!」

魔帝陛下・・・ルダさまが満足げに頷く。


「・・・ルダさま・・・素晴らしいです」

そんなルダさまの傍らには、奴隷であるヤタくんがいる。

彼は黒髪に、浅黒い肌、赤い瞳を持つ、

私と同い年の少年で、頭からは、

小さめの白い魔族角が生えている。


彼は、第1シリーズの隠し攻略対象だったが、

そんなフラグとか何もなく、

偽ヒロイン・マキアによる強襲もずばっと跳ねのけ、

相変わらずルダさまにべったりで、

ルダさまを心底敬愛していた。

そこには、ゲーム時代に見た、彼の暗い過去など微塵も感じさせない。


「ほぅら、開通の記念に、ヤタ、私からあ~ん、されるがよい」


「はい、あ~ん」

と、ルダさまはヤタくんにケーキをあ~んし、

他の連れてきた見目麗しい奴隷たちにもあ~んしてあげていた。


彼にとって、スイーツは人生。

スイーツ魔帝陛下・・・私は心の中でそう呼び、

“お慕い”申し上げている。

そう、呆れてない。

慕っている。ここ、重要。

私もスイーツは好きだし、スイーツ流通が良くなったことは、

私にとってもこの上ない歓び。


そして、ルダさまにとってもスイーツは至高の趣味。

趣味、スイーツのルダさまは、

自身の奴隷たちにスイーツをあ~んして、

スイーツ好きを分かち合うのが大好きなのだ。


それゆえに・・・


「それにしても・・・さすがはルティカだ。

年が明けてまだ数か月・・・でも、これほどまで整備が進み、

開通するとは・・・やはり、シュキ殿に取られたのは惜しいな」

と、ルダさま。


「ルティカは・・・私のルティカだ」

むぎゅ~~~っ。

相変わらず嫉妬欲全開のシュキさま。

最近は、何故か・・・


ぎゅむ~~~っ。


「レツィア・・・?」


「ルティカは・・・シュキさまの嫁になる・・・

そうすれば・・・私はずっとルティカのお側付き・・・!」

最近は、何故かレツィアにもぎゅむ~~~されている。

そのせいか、アルオさんにめちゃくちゃ睨まれるのだが・・・

私のせいじゃないんだけども。


「ふむ・・・そこまで溺愛されていれば、私もあきらめざるを得ないか・・・」


「早く結婚してください、ルダさま」

と、ヤタくんにかされる始末。


「私は・・・スイーツと結婚したい」


「それよりも、開通式ですよ、開通式」

これ以上、魔帝陛下の威厳がスイーツ三昧に変わる前に、

ちゃっちゃと開通式である。


このたび、ソラノシア連合王国と、魔帝国、フーリン国を結ぶ

交易路が整備された。

これにより、ソラノシア連合王国からフーリン国への

交通の利便性が増し、

また、このことは、シリンズランドとしても、喜ばしいことらしい。

もし、リヤム王国側の交易路がなくなれば、

ソラノシア連合王国とシリンズランドはロディア王国を回って、

遠回りをしてフーリン国へ行かなければならない。

さきのリヤム王国での騒動もあり、

また問題起こしたら、そのルート潰して、

経済制裁するぞ、と言う脅しでもある。


今後は、このふたつの道を使うことになる。

特に、行きの場合は魔帝国を介したほうが、

フーリン国へのアクセスが容易になる。


リヤム王国から行くと、モロ山登りに近いから。

結構大変なのだ。

馬車必須。こちらは馬車がなくてもアクセスが可能なので、

馬車を持たない旅人や商人も行き来できるようになる・・・


そして・・・


「スイーツ交流も生まれたしな!」

そう、スイーツ好きの魔帝陛下により、

この交易路の周辺には、スイーツ店も多く出店され、

それは、ソラノシア連合王国からシリンズランドまで続いている。


「うん・・・私も・・・お菓子を・・・得やすくなった」


「そうですね・・・私は、菓子パンが食べられるのが嬉しいですね」

米も好き・・・

フーリン国では米を食べられる。

だが、リヤム王国では基本、小麦が主食で、

パン食が多かったのを思い出す。


あぁ・・・ひとり寂しく部屋で食べた硬いパン・・・


学園に通うようになって、友人から始めて菓子パンと言うものをもらったのだっけ。

今思い出しても泣けて・・・いやいや、何でもない。


「それでは、シュキ殿」


「あぁ、ルダ殿」


ふたりが、フーリン国域、そして魔帝国域の宗主国代表として、

この場に呼ばれている。

特に仲のいいこの魔帝陛下と王太子が、

交易路の開通式で、道の入口に張られたリボンをカットすれば・・・


見事に・・・開通したのであった。


その後は、開通式に参加したひとたちと、

記念のお菓子を頬張り、なんだかんだで楽しい開通式を終えたのであった。


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