別れ、そしていつもの日常へ
楽しい女子会を終えた翌日・・・
シュキさまがシンシャさま方ご一行に
フーリン国を案内するそうで、私もそれに同行させていただいた。
嫁いできてまだ浅い私の知らない名所もたくさんあり、
すっかり友だちのような関係になったメイリィさまと過ごした時間は、
忘れられない思い出になった。
そして、別れの時は、おのずと来るもので・・・
「ルティカさま、今度はツェイロン王国に来てくださいね!
姉妹がいっぱいいるので、また女子会をしましょうね!」
と誘われて・・・
「はい、是非ご一緒させてください!」
そう答え、再び船旅でツェイロン王国へと
帰られるご一行を、フーリン国勢で見送ったのだった・・・
その後・・・の、ことである・・・
「ルティカ・・・」
「はい、シュキさま」
「今回の・・・シンシャたちの訪国中・・・」
「何かありましたか?」
私は、女友だちとステキなお姉さまが増えた感じで、
とても楽しく過ごしていたのだが・・・
ひょっとして、何か粗相をしただろうか?
「ずっと・・・メイリィと・・・寝ていたな・・・」
「はいっ!すっかり仲良くなってしまい・・・
途中からはレツィアも誘ってしまって・・・
あ・・・シュキさまの騎士なので、まずかったでしょうか?」
「・・・いや・・・レツィアは・・・大公令嬢だし、
ルティカの、側付きにしたのだから・・・問題ない・・・
・・・だが・・・」
「はい・・・?」
他に何か・・・問題が・・・?
「・・・ルティカ・・・ルティカ成分が不足・・・している・・・」
「へ・・・?」
「・・・今日の夜は・・・一緒に・・・寝て・・・」
何か、すっごくふるふるしている・・・
「じゃないと・・・金鱗フル装備で山に向かって
猛攻撃したい発作を抑えられない・・・」
「どんな発作ですかっ!!
あと、お山がかわいそうなのでやめてください!」
「私は・・・私の寂しさはそれ以上だ・・・」
ふるふる・・・
「・・・もぅ・・・いいですよ。
もともと、いつも私のベッドにもぐりこんでくるじゃないですか」
「うん・・・ルティカと一緒に寝られなかったら・・・
寂しくて・・・寂しくて・・・私はねこになってしまうかもしれない」
・・・何だろう・・・?どう言うたとえなのか、よくわからない。
どちらかと言えば・・・わふたん・・・
狼種の獣人族である義母さまの血を引いているせいか・・・
わふたん・・・だと思う。
頭をなでなでしてあげると、何だか、後ろでしっぽをふりふりしている幻影が・・・
あれ・・・あのふりふり・・・本物?
ひょいっと、シュキさまの背後を覗いてみれば・・・
「あ・・・フェイくん」
「・・・よい、雰囲気だったので・・・」
「え・・・そんなっ!」
「・・・うん・・・思わず・・・ルティカがかわいくて、
部屋に閉じ込めたい衝動に・・・襲われた!!」
さらっと恐ろしいこと吐露した―――。
全く・・・天然なんだから・・・
「これから、夕食の時間なので、その後にしてください」
「わかった!!」
とってもキラキラした目で答えるシュキさま。
「え・・・やめてくださいよ・・・全く・・・」
「だめ・・・なのか?」
そして、ほんとにショックを受けたような顔をしないでほしい。
「一緒に寝てあげますから・・・今夜はそれで我慢してくださいね」
「うん・・・!わかった!」
そう答えると、シュキさまは何だか嬉しそうに私の手を取って、
フェイくんがその後をついて・・・
一緒に夕食へと向かったのだった。
(完)
※これにて、本編は完結でございます<(_ _)>
※この後もその後のお話や、伏線を拾っていきますので、
よろしければご覧ください。