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終幕


















さて、マキアとロティスが処刑された後、

大公家に乗り込んだ騎士たちより、

産みの父・・・リヤム王国元宰相である大公と、

その妻・・・私にとっては継母、つまりロティスの妻が処刑されたと、

報告が入った・・・


そして、王城内をくまなく捜索したところ、

地下牢に幽閉されていた元第2王子ロッタ殿下を保護したとの連絡を受けた。


ロッタ殿下は、あと少し発見が遅れれば危なかったと言うほどに

衰弱していたが、フーリン国からの増援を中心に、

リヤム王国城では刻々と新体制に向けた準備が始められている。


もちろん、先王やその王子、マキア、先代大公一家に関わる悪事も

国民に向けておおやけにされる運びとなった。


いきなりの宗主国からの強襲に、

文句を垂れる官吏も少数はいたものの、

宗主国への裏切り行為をした場合、

宗主国であるフーリン国には、

絶対的な権力が産まれるのだ・・・


私がロッタ殿下だけは助けて・・・と、シュキさまや、

フーリン国王である義父さまに訴えたことで、

リヤム王国の王族の命はつながった・・・

だが、そうでなければリヤム王国の王族はすたれ、

完全にリヤム王国は滅亡の道を辿っていただろう・・・


暫くは私もシュキさまと一緒に、

リヤム王国が宗主国に無断で行った所業の数々の

尻拭しりぬぐいをし、他属国への越権行為を即座に撤回させた。


数日後、起き上がれるまでに回復したロッタ殿下に、

私はシュキさまと一緒に面会することができた。


事の次第をロッタ殿下に話したところ、

ロッタ殿下は自分も処刑されるべき王族だと、

シュキさまにこうべを下げた。


しかし、ならば二度と同じことを繰り返さず、

リヤム王国を治めよと命じた。

それが、フーリン国王・義父さまの意思でもあるらしい。

宗主国としても、いたずらに属国が混乱することは望まないそうだ。


ロッタ殿下が良く国を治め、

そして、宗主国に再び忠誠を誓うよう、

フーリン国王である義父さまの言葉を伝えた。


それにロッタ殿下は涙していた。


それにしても、ロッタ殿下だけ、生き残れたのは・・・何故・・・?


それについて、ロッタ殿下は心当たり・・・を、

教えてくれた・・・


なんでも、マキアから、“攻略対象だから”と言われたことを教えてくれた。

本当に・・・中身は魔族だったが・・・マキアは、

この世界を乙女ゲームの舞台にするつもりで、

逆ハーエンドでも望んでいたのだろうか・・・


リヤム王国がフーリン国の属国である時点で、

そんな乙女ゲームの設定は崩壊していたというのに・・・


そして、フーリン国はリヤム王国が最も嫌がる提案を呑ませた。

荒れたリヤム王国を、当分、ロディア王国に任せる・・・と言うものだ。

これより、リヤム王国は散々見下したロディア王国の支援にて、

国を建て直していくことになる。


まぁ、ロッタ殿下・・・いえ、もう、ロッタ陛下は、

ロディア王国の王太子・フィル殿下と仲がいいし、

決してロディア王国のことを見下していないので大丈夫だろう。


そして、シュキさまたちと一緒にフーリン国に戻ってすぐ、

ソルの処刑が執行されたそうだ・・・

ことの顛末を聞いた彼は、最期に「そうか」とだけ呟いたらしい・・・


それにしても・・・


「シュキさま、あのマキアの正体を明らかにした魔法は・・・一体・・・?」

シュキさまが手をかざせば、

瞬時にマキアの正体が魔族であることが目に明らかになった。


「あぁ・・・あれは、私のスキルのようなものだ。

そのものがウチに秘める力を顕現させる。

フーリン族の中にも、混血だと金鱗きんりんを出すのに、

てこずることもある・・・私はそれを手助けしたり、

あのように他者の姿をかたるものから、真実の姿をさらさせることができる」


「そうだったのですね」


「あぁ・・・フェイもそうだった・・・」

フェイくんも、混血だ。

そして、フェイくんも金鱗を持つのか・・・

他種族との混血の場合、金鱗を持たないことが多いが、

稀に金鱗を持つのだそうだ。

人族との混血だと受け継ぎやすいが、

他種族との混血だと受け継ぎにくい・・・と言われている。


そして、獣人族との混血の存在であるフェイくんは、

そんな稀な存在・・・

更に、そんなフェイくんを、シュキさまがサポートしてたのか・・・


「何だか、とっても仲のよい兄弟で、羨ましいです」


「ルティカにもいるだろう・・・?」

そう、シュキさまに見つめられれば・・・


「そうですね・・・私にも、素晴らしい姉妹と弟がおりますから」

私は、私を捨てた元の家族たちと本当の意味で決別した。

新たな、私を受け入れてくれた家族のために、

前を向いて歩いていこうと、新たに思うのだった。



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