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望まぬ再会、決別の予兆


早速シュキさま、アルオさん、レツィアと一緒に、

私は王城の牢屋にやってきた。

その中では、うるさいほどに声が響いており、

牢屋版の方々も辟易しているようだった。


そして、例の浮気バカ男らしい者が収監されている牢の前に行くと、

案の定、あの浮気バカ男・・・いや、

リヤム王国の元王太子殿下がいらっしゃいましたとも。


更に、私の顔を見て、ぱあぁっと、顔を輝かせる。

それを見て思わず、うわぁ・・・と悪寒を覚えてしまった。


そして私の隣から、明確な殺気を感じた・・・

うわぁ・・・シュキさまめっちゃ怒ってる・・・

それでよくあんなに嬉しそうな顔をできるものだ。

鈍感にもほどがある。


「ルティカ!やっと会えた!

私とよりを戻す権利をやろう!

国外追放の件は反故になった!

さぁ、私と一緒に国に帰って、

私の婚約者になるがいい!」


はぁ・・・?

何言ってんだ、こいつ。

バカじゃないの?

てか、私はもうシュキさまの婚約者だし・・・

国籍ももうリヤム王国にはない・・・

国籍を変えて、新たにルティカ・ランとなった。


だから、リヤム王国側から、私に命令する権利はどこにもない。

もし、どうしてもと言うことなら、宗主国を通じて話をする必要がある。

尤も、そんな話は聞いていないし、

そもそも既にこの浮気バカ男は、王太子をクビになったのだ。

しかも、廃嫡。既に平民である。

国外追放などの処罰についてはまだ保留だが、

私とよりを戻したからといって、

この浮気バカ男が得るものなど何もないし、

私だってこんな浮気バカ男の婚約者など二度とごめんだ。


私は、私を家族として迎え入れてくれた

ソラノシア連合王国の家族のために生きるし、

そして、私の命を救ってくれた、

シュキさまの将来の伴侶となることを決めた。


もう、この浮気バカ男はお邪魔虫でしかない。


「貴様・・・ルティカは私の婚約者だ・・・」

そして、隣から物凄い低い、殺気のこもった声が聞こえた。

思わず私でもびくりときてしまう・・・


「そのような讒言を振りかざすとは・・・覚悟ができていような」


「はん・・・っ!お前らなんて、この私の敵ではない!」

数多くいる種族の中で、最も非力なのは人族だと言う。

獣人族は身体能力が優れている。

サクル皇国の竜人族は武力に秀でている。

山の向こうの竜帝国の竜人国は魔法と武術共に優れており、

フーリン族と並ぶ豪傑だ。

更に、エルフ族は魔法・・・特にヒーリング魔法に優れており、

魔法弓の扱いも優れている。

海の民は・・・ちょっと特殊なのでおいておいて・・・

魔族は言わずもがな、特に魔法に置いては優れていると言うレベルではないし、

肉体も丈夫である。

そして、そのどの種族よりも強いのが、フーリン族だ。


そんな最強の種族に対し、最弱の種族・・・人族であるこの元王太子・・・

ソルはよくもそのようなことが言えるものだ・・・


「言ってくれるな・・・それは我らがフーリン族への侮辱か?」

ほら・・・こうなるのだ。


「知ってるんだぞ!お前には、汚らわしい獣人の血が流れているとな!

何が世界最強だ!お前は獣の王妃から産まれた半獣人じゃないかっ!」

え・・・?何言ってるの・・・?

獣人を汚らわしい・・・?

しかも獣の王妃って・・・まさかシュアン義母さまのこと!?

フェイくんだけじゃなくって・・・シュアン義母さままで・・・


それは、シュアン義母さまとフェイくん・・・

そして、私を受け入れてくれた、“家族”すらも卑下する言葉だ・・・


ソルがバカなのは・・・十分知っているつもぢだったけど・・・

まさか・・・獣人族のことを、そんな風に思っていたなんて・・・

リヤム王国国王陛下は、そんなソルの意識を正すと、

かつてフーリン国国王の義父さまに誓ったのではなかったのか・・・?


あの優しい・・・いや・・・甘々な国王陛下は、

結局ソルを一人前の王太子・・・

人族に育て上げることもできなかったのか・・・


「言ってくれるな・・・」

シュキさまの低い声が再び耳を穿うがつ・・・


見れば、周りの騎士や、牢屋番たちからも、殺気が漏れ出ている。


「それに・・・私はお前の弱点を知っている!」

はい・・・?シュキさまの弱点・・・?


「この私と勝負するがいい!そして、私が勝った暁には・・・

ルティカは私のものだ!!」


は・・・はぁ・・・?

最早、開いた口がふさがらない・・・


「・・・いいだろう・・・私のことだけではなく、

・・・我らフーリン族と、

私の家族を卑下したこと・・・後悔させてやる・・・

ルティかも・・・貴様のようなものには、決して渡さない・・・」


「・・・シュキ・・・」

シュキさまの恐ろしすぎる怒気のさなか、

アルオさんがシュキの名を呼ぶ。


「止めるな・・・アルオ・・・一度、叩きのめさねば気が済まん」


「ふ・・・っ!私を叩きのめすなど・・・10年早い!」

いや・・・ソルがシュキさまに触れるだけでも、

10年ではとても足りないと思うのだけど・・・


「決闘の場をくれてやる・・・」


シュキさまがそう言うと、ソルが何か企んでいるように、にいぃっと嗤った・・・


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