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突然の知らせ、招かれざるもの


浮気バカ男の処遇が決まったのですか?」

その日、私は休憩がてらシュキさまとお茶をしていたら、

思わぬ知らせを耳にしたのだ。


「あぁ・・・今朝がた、リヤム王国からの親書が届いた。

あの浮気バカ男の王太子位の剥奪、廃嫡を進言してきた」


「まぁ、そりゃぁそうなるでしょうね。で、具体的な処罰と言うのは・・・」


「国外追放を提案してきている」


「いや、何でもかんでも国を追い出せばいいってわけじゃないですよ。

周りは宗主国のフーリン国、そしてその属国従国です。

リヤム王国はフーリン国域の中央に位置するんですから・・・

さすがに国外追放で他の国々に立ち入られたら、それこそ迷惑です」

リヤム王国の周囲の国々には、私の大切な友人や、

お世話になっている方々、そしてソラノシア連合王国の家族もいるのですから。


「・・・確かに、宰相もそう言っていた」

シュキさまの側近である、アルオさんのお父さまだ。


「リヤム王国が生み出したバカは、

是非リヤム王国内で処理してもらいたいものです」


「確かにな・・・父上も、頭を悩ませていた。

王太子位剥奪と廃嫡については、即時認めるそうだが、

具体的な処罰については父上から追って沙汰を申すらしい」


「陛下・・・いえ、義父さまがみずからですか・・・

何だか大騒動になってきたような気がします」


「父上は、未来のかわいい義娘であり、

王太子の婚約者であるルティカのためにも、

あと、フェイのためにも厳正な処罰を言い渡すつもりだ」


「ふぇ・・・フェイくんも・・・何かあのバカから被害を・・・?」

はて・・・あの浮気バカ男と一緒に参加したパーティーなどでは、

シュキさまに挨拶した時には、

特にそんなことはなかった・・・

そもそも、フェイくんとは、

フーリン国での夜会などでは挨拶したことはあるはずだけど、

そんな大騒動はなかった気が・・・


「フェイが幼い頃・・・の、ことだ」


「は・・・はい・・・」

きっと私が、あの浮気バカについて外交に赴く前の話だろうな・・・


「フェイのことを、汚らしい獣人族だと卑下した」


「な・・・何ですと!?」

仏頂面だけどもめちゃ“くぅ~ん”って甘えてくれそうな、

かわいい弟属性を持つ、フェイくんを!!

しかも、幼い頃のフェイくん・・・絶対かわいいはずだ!!


ケモ耳しっぽのちびっ子だよ!?

シャーラとニオくんのちっちゃい頃の

写真を見せてもらったことがあるけれど・・・

むっちゃくちゃかわいかったし!!


「その時は、あのバカも子どもだったし、

リヤム王国国王が、きちんと教育をし直すと懇願したから、

父上も許したし、王太子として相応しく育てると誓ったから、

リヤム王国の王太子としても認めた」


「そんな経緯があったのですね」

さすがに知らなかった・・・


「だからこそ、此度の問題を起こした以上、

父上はリヤム王国国王を直接呼出すそうだ」

リヤム王国国王陛下が、こちらに直接こられる・・・か。


お会いした感じは、とてもお優しい方だったと思うけれど・・・

言い方を変えれば・・・“甘い”のかもしれない。

そしてその手綱を握っていたのは、大公で、

リヤム王国国王陛下の弟であるかつての父だった・・・


家では後妻に逆らえない、ダメダメだったけれどね・・・


そんな話をシュキさまとしていた時だった。

アルオさんが、突如部屋に飛び込んできたのだ。


「アルオ・・・どうした」


「あぁ・・・実はな・・・城下街まちで騒ぎを起こした者を、

衛兵たちが捕らえたのだが・・・」


「あぁ・・・何か問題があったのか」


「“自分はリヤム王国の王太子だ”

“ルティカに会わせろ”と、叫んで暴れているらしい。

牢に入れたということだったが・・・一応、こちらにも報告がきた」


ぬあ・・・っ


ま・・・マジで・・・?


「・・・リヤム王国からは、

新しい立太子の候補者の話は聞いていないな・・・」


「そんなバカやるひと、現リヤム国王陛下の

御子おこの中ではひとりしか知りませんよ」


次の王太子候補は、

順番で言えば、恐らく第2王子のロッタ殿下になるのだろうけど。


「私、会いますよ?これ以上、

フーリン国のみなさまを困らせるわけにはいきません」


「なら、私もいく」

シュキさまも頷いてくれる。


「そうだな・・・小娘ひとりで行かせて、

余計な揚げ足取りをされてはかなわんからな」

くわっ!!

と、アルオさんが私を睨む。


うぐ・・・っ

相変わらず口が悪い・・・


「ルティカ、兄さんは、本当は、

“ふん、ルティカひとりでは心配だから

ついて行ってやらんこともない”と、

ツンデレっているだけ。問題ない」

と、いつの間にかアルオさんのとなりに

ささっとレツィアが現われる。

さすがはアルオさんの妹・・・

兄のツンデレをものの見事に訳した!


口は悪くとも、レツィアの通訳を聞いている私は、

最近はそんなに悪いひとなわけではなく、

やはりツンデレってるだけなのだと感じている。


「よ・・・余計なことを・・・っ」

と、言いつつそっぽを向くアルオさん。

・・・やっぱ、ツンデレだ、このひと


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