そして、増えた
相変わらず、フェイくんのふわもふわふたんしっぽを
堪能しているシュキさま。
そして、何故か私たちはしりとりをしていた。
「ルティカは世界一かわいい」
「えぇと・・・異世界連合組合」
「では・・・俺は、いつももふってくれる兄さんが大好き」
「・・・フェイ・・・フェイも、世界一かわいい」
「・・・」(←※私)
「ルティカ、次、“い”だよ」(←※シュキさま)
尻とってないし。
何だろう・・・このカオスなしりとりは。
コンコンッ
そこへ、救いの御手のようなノックがして・・・
「シュキ、入ってもいいか」
シュキさまを・・・呼び捨て・・・?
そう言えば、シュキさま専属の、
近衛騎士団長のアルオさんも呼び捨てにしていたけど・・・
何となく・・・感じが違うような・・・
「はい、構いません」
あれ・・・シュキさまも・・・敬語・・・?
まさか・・・とは思うけど・・・
とっさに、居住まいを整えようと腰を上げれば・・・
ひょいっ
何故か腰を掴まれ、シュキさまの体に引き寄せられ、
ぴったりとくっつけられてしまった。
え・・・何で・・・?
そして、扉が開き、多分・・・なひとが来てしまうっ!!!
「嫁を連れてきたと聞いた」
ばーんと扉を開いて入ってきたのは・・・
予想通りのお方・・・
以前、フーリン国を訪れた際に、見覚えがある・・・
いや・・・モロシュキさまにそっくりだから、
わからないはずがない・・・
シュキさまとお揃いの漆黒の髪は、
シュキさまよりも少し長く、首筋にほんのりかかっている。
瞳は切れ長の赤いルビーのような色。
耳はシュキさまと同じく尖っており、
その色白の肌も、整った顔立ちもそっくり。
シュキさまをそのまま大人にしたらこんな感じかな・・・と言う感じ。
ただ、シュキさまよりも若干、目元と口元が微笑んでいるように見える。
耳に金色の耳飾りを付けており、
黒い内着の上の衣は白で、袖の袂や裾に、
ほんのり紅葉模様が浮かんでいる。
どうしよう・・・この態勢・・・
お・・・怒られないだろうか・・・
「その娘が・・・嫁か」
嫁って・・・その・・・まだ、婚約者ですらない。
「はい、父上」
シュキさまがそう呼ぶってことは・・・うん、
わかりきっているけど、この方はフーリン国の国王・・・
シェイルラムカ・カムイ・フーリン国王陛下・・・
「・・・そうか・・・その・・・」
何だろう・・・私の方を見て・・・
居住まいをただそうとしても、
シュキさまに腰をぎゅむっと引き寄せられているので、
身動きが取れない・・・っ
これって、ピンチなのでは・・・?
「・・・かわいい娘に・・・“父さま”って、呼ばれたい」
へ・・・?
「娘は・・・“父さま”って、呼んでくれる」
「えっと・・・その、私は・・・婚約もまだ認められていない身で・・・」
「・・・嫁に・・・来てくれないの?」
うぉっふ・・・っ!!
そんな悲し気な瞳で見ないでください・・・っ!!
「えぇと・・・私なんかで、よければ・・・
望んでいただけるのなら、喜んで」
「うん・・・では・・・嫁で」
「・・・はい」
「ルティカ・・・婚約期間を置いて・・・
あと、リヤムの問題を解決したら・・・式挙げよう」
と、シュキさま。
え・・・もうそんなに計画進んでいたの?
「え・・・えぇ、嬉しい・・・です」
「じゃぁ・・・“父さま”」
と、陛下。
えぇと・・・呼んだ方が・・・いいんだよね・・・?
「と・・・とぉさま・・・?」
・・・疑問形になってしまった・・・
「・・・うん・・・」
そう頷いた陛下は・・・いえ・・・
ちょっとお先に、父さまは・・・
少し照れていると思われるオーラを纏いながら、
もじもじしている・・・
こんな感じのひと・・・よく知っているような・・・
あ・・・
横を見て、思い出した・・・
あぁ・・・何だかシュキさまが増えたみたい。
いや、正確には逆なのだけど。