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大好きなゲーム世界に転生出来たんだから、仲間とのんびり暮らしたい  作者: 廻り
第二章 イーサ町

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94 冒険者の現状

 右手を上げ、グオオオオオン!とうめき声を上げながらのけ反ったファイアドラゴンは、その体勢のまま上半身の動きを止めた。


 何事かと注視していると、翼の付け根や肩の辺りから凍り始めているのが見える。


「洋介か!」

「フリーズアローを撃ってくれたのね!」


 さすがにSランクボスを完全に凍らせるのは不可能なようで、凍る現象はドラゴンの右肘と翼の途中で止まった。


 だが、俺にはそれで十分だ。

 すかさず走り出した俺は、ドラゴンの腹を二回突き三回目は思い切り振り下ろしながらジャンプした。


「ピアススピア!!」


 槍を大きく一回転させ、心臓があるであろう位置にスキルを突き刺した。


 ドラゴンは最後のうめき声をあげると、前のめりに倒れ込んだ。

 それをジャンプして回避し、突っ伏したドラゴンの顔の前に着地した。

 ドラゴンを見上げると、瞳の輝きが消えている。


「ふぅ……なんとか倒せたな」


 セーラは大丈夫だろうかと後を向くと、彼女は嬉しそうな顔でこちらへと駆けてきた。


「カイトぉ~!」

「セーラ、おつか――」


 れ。と言う前に、セーラは思い切り俺に抱きついてきた。


「セ……セーラさん!?」

「おつかれさま、カイト。ヒール」


 ――はぁぁぁ、なんて至福のヒールなんだ。暖かくてやわらかくて力が抜けてしまいそうだ。


「とてもかっこよかったわ、カイト」

「そっ、そうか?セーラのホーリーシールドも聖女みたいだったよ」

「もう……聖女なんて恥ずかしいわ……」


 怪我人に囲まれた時を思い出したのだろうか、頬を染めて俺の胸に顔を埋めた。

 撃破後の高揚感なのかもしれないが、大胆過ぎませんか?セーラさん。


「お二人ともお疲れ様ですー」

「お疲れ様、洋介」

「お、洋介おつかれ。フリーズアローありがとな。あれが無ければ俺達は今頃、丸焦げになっているところだったよ」

「とんでもありません。もっと早くに撃ちたかったのですが、なんせあの矢なもので……。尻尾が動くたびに照準がそれて困りましたよ。ブレスでやっと尻尾の動きが止ったんです」


 そう苦笑する洋介。いつまた襲われるか分からないし、村へ帰ったら早急に羽根つき矢を作る必要があるな。


「俺達が良いおとりになれたようだな」

「とても助かりましたよ、ありがとうございます。ところで、姉上……随分と大胆なことをしていますね」


 洋介の指摘に、セーラは「え?」と首を傾げる。


「抱きつくのは結構ですが、皆さんに見られていますよ?」


 皆さん?と思いながらセーラと二人で町の方を見ると、ディデリクさんと町長、その他大勢の方々が俺達を遠巻きに見ていた。


「きゃっ!ごめんなさい、カイト!」


 セーラは慌てて俺から離れた。


「いっ、いや……別に構わないよ……」


 構わないと言いつつも、これはさすがに恥ずかしい。俺まで顔が熱くなってしまう。


 思わず町の皆に背を向けると、ドラゴンの顔がでかでかと目の前に現れた。


 早く回収しなければ消えてしまうのだった。

 俺は一度ポーチへ収納してから、もう一度ドラゴンを取り出した。これで皆もゆっくり見られるはずだ。


「皆さん!どうぞ、近くでご覧ください!」


 声を掛けると、皆わらわらとドラゴンを囲むように集まってきた。ドラゴンを見るのは初めてなのか興味深々だ。


 俺達の元へは、ディデリクさんと町長がやってきた。


「皆様、本当にありがとうございました!おかげで救出作業も無事に終わりました」

「それは良かったです!ディデリクさんたちには、危険な作業をお任せしてすみませんでした」

「とんでもございません。皆様のおかげで、ワイバーンに襲われる事も無く安全に作業を行なえました。それにしても、皆様のスキルには驚かされました……。あれは一体……?」


 今回は、Bランクでは言い訳出来ないスキルを使ってしまった。特に洋介の攻撃範囲にはさぞ驚いたことだろう。

 なるべく人には知られたくなかったが、今回は仕方がなかった。


「申し訳ありませんが、詳しくはお話し出来ません。ただ俺達はこれからもエミジャ村で静かに暮らしていたいです。無理とは思いますが出来る範囲で構いません。この事は内密にしていただけませんか?」

「何か事情がおありなのですね。分かりました、町をお救い頂いた皆様には出来るだけの事はさせて頂きます。騎士団に知られれば召集されるでしょうから、何とか伏せてみましょう」

「ありがとうざいます。無理を言ってしまい申し訳ありません」

「今の騎士団のやり方に不満を持っている者は多いですから、きっと協力してくれます。地方町村は、高ランク冒険者の召集で困っている所ばかりですから。皆様がとどまってくださるととても心強いです」


 エミジャ村の村長は単に、東の大河に航路ができたから冒険者が激減したと思っているようだったが、それだけではなかったようだ。

 ディデリクさんと宿屋で会った時に、名のある冒険者は騎士団で重用され爵位を与えられていると言っていたし、今の言い方だと高ランクの冒険者は強制的に集められているようだ。


 それを見かねた行方不明という英雄騎士隊長が、この町に騎士を置いてくれたのだろう。

 だが、今回のように事件が起きて王都へ召集されてしまうのでは、全く意味がないな。

 俺達がたまたま居合わせなければ、今頃この町は滅びていた。

 かなり予定外の戦闘だったが、町を救えて本当によかった。

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