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大好きなゲーム世界に転生出来たんだから、仲間とのんびり暮らしたい  作者: 廻り
第二章 イーサ町

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91 ファイアワイバーン

 セーラは後ずさりながら「あの……人違いです!」と叫ぶと、俺達の方へ逃げてきた。


「カイトぉ~~~」


 俺の後ろに隠れると、背中にしがみついたセーラ。


 ――かっ、可愛いいいい!


 って、何を考えているんだ俺は。

 襲われている人がいないとはいえ、早く外の人達を助けてあげなければ。


「それじゃ、始めるか!セーラ、今日は補助魔法盛り盛りで頼む!」

「ふふ、任せて」


 セーラは俺の後ろから顔を覗かせて微笑んだ。


 ――かわっ……、ごほんっ。


 俺達はDランクになったので、セーラも一通りの魔法は使える魔力になっているはずだ。


 各自ポーチから武器を取り出していると、セーラは今まで戦闘では使ったことがない肩掛けカバンを取り出した。


「セーラ、それは?」

「この中にポーションを入れておけば、すぐに飲めると思って」


 そう言いながら、魔力ポーションをポーチから取り出すとごっそりカバンの中へ入れる。


「うわぁ……それ全て飲む前に終わらせたいですね……」

「何を他人事みたいに言っているのよ洋介。今日は自力で回復してね」


 セーラはカバンをもう一つ取り出すと、同じく大量の体力ポーションを入れて洋介に渡した。


「やっぱりそうですよね……」


 洋介は顔を引きつらせながら、そのカバンを受け取った。

 彼は弓使いなので遠くから攻撃したほうが有利なため、俺達とは離れて戦う事になる。


 準備が整うと、セーラは三人まとめて補助魔法をかけ始めた。


「攻撃速度強化、回避率強化、防御力強化、攻撃力強化、命中率強化」


 言葉通りそのままの性能なので、説明は割愛する。

 セーラは一通りの補助魔法をかけると、ポーションを一本飲んだ。


「よし!行くぞ!洋介、一匹釣ってくれ!」


 上空にいるモンスターは地面まで来てもらわなければ、俺は攻撃出来ない。

 ワイバーンをこちらへ引き付けるには、洋介の攻撃が一番だ。


「お任せを!」


 洋介は矢筒から矢を一本引き抜くと、上空で旋回しているファイアワイバーンに狙いを定めた。


「あ……お前の矢、それだったんだよな……」


 洋介は、以前作った羽根無し矢を使っている。

 ターキーの羽根は入手したが、そのまま町へ来たので組み立て作業を忘れていた。


 これには洋介も苦笑いだ。


「ははは……まさか町で戦うとは思わなかったもので。姉上に命中率強化をかけてもらいましたし、なんとか当たるでしょう……」


 そう言いながら放った矢は、幸いな事にワイバーンの翼に命中した。


 俺達を見定めたワイバーンは一気に急降下しながら襲い掛かって来る。

 洋介が後退するのと入れ替わりに俺は、ワイバーンに向かって走り出した。


 攻撃範囲に入りそうな所で、思い切り地面を蹴ってジャンプした。

 パッシブスキルのジャンプ強化があるので、自分の背丈の二倍くらいまでなら飛び上がることが可能だ。


 ワイバーンの顔の高さと同じくらいに飛び上がると、そのままワイバーンの脳天めがけて槍を振り下ろした。


 Dランクになったので、武器は木の柄の槍から鉄の柄の槍に変わっている。

 前より重くなったが振り下ろしの威力は上がっているはずだ。


 ワイバーンと共に地面へ落ちながらもう一発、脳天にお見舞いする。

 脳震とうを起こしているのか、地面にドサッと崩れ落ちたワイバーンの額に槍を突き刺す。

 そして、スキルを発動させた。


「ピアススピア!」


 これは強力な突き攻撃ができる単体攻撃だ。


 カッと見開いたワイバーンの瞳はそのまま輝きを失い、絶命したようだ。


「嘘だろう……」


 さすがにスキル一発で倒せるとは思わなかった……。ワイバーンってこんなに弱かったろうか。

 いや、俺達が強いのか……。


 三秒過ぎると次のスキルが発動できなくなる。俺は慌ててスキルを唱えた。


「ターゲットギャザー!」


 これでパーティーメンバーがモンスターに敵として認識されても、攻撃は俺に集中する。

 ランクが低いとこちらへ向けさせる確率が低いが、SSランクだと100%こちらへ攻撃を向けさせることができる。


 パーティーメンバーを守る盾の役割をする者が使うスキルで、戦士系の職業は全て使える。

 槍使いは盾役には向かないが、俺達は三人パーティーなので主に俺がその役割を担っている。


 これを叫んだと同時に洋介のガストアローが、まるで噴火花火のように夜空へ放出された。

 洋介が攻撃した敵を、全て俺に集めるためだ。


 ワイバーンが俺に向かって、大量に降下してくる。

 上に向かって槍を構えた俺は、スキルを発動させる。


「クラッシュスピア!」


 頭上のワイバーンの群れに向かって突き上げるように移動しながら攻撃を仕掛け、俺は夜空へ躍り出た。

 そのまま体をくねらせ、再びワイバーンの群れに向かってクラッシュスピアを発動させた。


 微妙に倒しきれなかったワイバーンが、翼をバタつかせながら落ちていく。


「インパクトスピア!」


 それに向かって槍を突き立てると、衝撃波で虫の息だったらしい数体が巻き込まれ息絶えた。

 セーラは俺が地上へ降りた隙を狙ってヒールをしてくれる。

 

 再び降下してくるワイバーンに向かって、クラッシュスピアで攻撃しながら西ゲートを確認してみると、大人数が動いているのが見える。

 救出が始まったようだ。


 俺達はワイバーンを攻撃しつつ、北ゲートを目指して移動を始めた。

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