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大好きなゲーム世界に転生出来たんだから、仲間とのんびり暮らしたい  作者: 廻り
第二章 イーサ町

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71 様子がおかしいセーラ

 おどおどしているセーラは、顔が赤い。朝から度々、顔が赤くなっている場面に出くわすが、もしかしたら熱があるのかもしれない。


「セーラ具合が悪いのか?無理しないで宿屋で寝ていた方がいいんじゃないか」

「え?大丈夫よ」

「そうは見えないが。ずっと顔が赤いし風邪でも引いたんじゃないか?」

「あの……あのね、そういうのではないの……昨日はその……」


 また昨日の話か。昨日は馬車で大変な目にあったし、王女に間違われたりもしたから、体調を崩したっておかしくはないんだよな。


「ちょうど昼食の時間だし一度宿屋へ戻ろうか。途中の店でテイクアウトするか、隣のレストランからルームサービスを頼むか、どっちがいい?」

「カイト……私、本当に大丈夫よ?」

「無理しなくていいよ。店の中だと騒がしいから、静かな部屋で二人きりの方が落ち着くだろう?大丈夫そうならまた午後から出かければ良いし。な?」

「ふっ……ふたっ……り……」


 ますます赤くなってきたな。この様子ではテイクアウトしている余裕はなさそうだ。早く宿屋へ戻って休ませなければ倒れてしまうかもしれない。


「とりあえず、宿屋へ戻ろう」


 俺はカゴに入っている商品を取り置きしてもらえるよう店主に頼んでから、セーラの手を引いて食料品店を出た。


「カ……カイト、手を離して……私もう無理……」


 セーラに言われて手を離すと、彼女は顔を手で覆ってしまった。これはかなり重症の予感。


「大丈夫か?歩けないなら、背負っていくよ」

「ちっちっ違うの!ちゃんと歩けるわ。その……もし風邪なら、カイトにうつしてしまうと思って……。私、大人しく宿屋に戻るわね。カイトは私に構わず買い物を続けて」


 こんな時まで俺の心配をしてくれるのか。天使過ぎるだろう、俺の設定上の嫁。


「わかった。宿屋まで送るよ」

「いいの……一人で戻れるわ」

「それくらいさせてくれよ。部屋に戻ったのを見届けないと、心配で買い物が出来ない」


 セーラは少し迷う様子を見せてからこくりと頷いてくれたので、宿屋まで送り届ける事にした。妙に二人の間が空いていたのは、セーラが俺に配慮してくれたからだと思う。


 今度は中央広場を通ったので、宿屋へはさほど時間がかからずに到着出来た。


「送ってくれてありがとう、カイト」


 部屋に到着すると、セーラは先ほどよりは顔の赤みが取れた状態で微笑んだ。少しは落ち着いたようで良かった。


「二時間後くらいに様子を見に来るよ。ちゃんと寝ているんだぞ」

「えぇ。それまでに心を落ち着かせておくわ……」


 ――心を落ち着かせる?


 取り乱すほど具合が悪かったのか。もっと早くに気が付いてやれなくて申し訳なかったな。

 一人にするのは少し心配だが、寝るなら静かなほうが良いだろうと思い、俺は部屋を出て買い物の続きをする事にした。


「さて、あと買わなければならないのは……」


 ポーチからメモ紙を取り出して確認をする。

 村人から頼まれたのは、石鹸と蝋燭だ。どちらも日用品を売っているような店に行けばありそうな気がする。


 それっぽい店は、町の南の方にあった。

 中に入ってみると、掃除道具や調理道具などが所狭しと置いてある。雑貨屋と金物屋が混ざったような店だ。

 店内を見て回ると、石鹸と蝋燭は無事に見つけられた。

 それを頼まれた個数の二倍カゴに入れながら、少し疑問に思った。


 宿屋の灯りは、俺達が使っているハウジングアイテムと似たようなものだったし、酒場の灯りはランプだった。蝋燭なんて、この世界でも時代遅れなんじゃ。


 俺はそれを確認するためカゴを持って、カウンターにいるご婦人の元へ向かった。


「いらっしゃいませ!」

「すみません、少しお尋ねしたいのですが、この町の一般住宅では夜の灯りは何を使うのが一般的なんでしょうか?」


 カゴの中身を会計してもらいながら聞いてみると、おしゃべり好きそうなご婦人は壁についているバレーボールくらいの大きさがある丸い玉を指さした。


「最近は魔力で動く灯りが主流さ!うちも最近設置したんだけどね、ランプよりも何倍も明るいんだよ!」


 そう言いながらご婦人は灯りの元へ行って実際に灯りをつけて見せてくれた。本当に設置したばかりなのか自慢げに解説してくれる。

 解説によるとこの灯りは、周囲に満ちている魔力を吸収して動くため、使う人間の魔力は消費しないらしい。地球にあるソーラーライトのような物のようだ。


「兄さん、その様子だとここより田舎から来たのかい?」

「そうなんです。蝋燭を買ってくるよう頼まれたのですが、こちらの灯りのほうが便利そうだと思って」

「便利だけど、高いよ!うちも、貯金してやっと買ったくらいさ!」

「そうなんですか。参考に見てみたいのですが、どこへ行けば売っているのでしょうか」

「南ゲートの近くの店に売ってるよ。金額を見て驚かないように気を付けなよ!」


 どうやら魔力で動く物は、この世界では高級品のようだ。

 会計を済ませ商品を受け取ると、ご婦人にお礼を言って店を出た。


「ここからは近いようだし、とりあえず行ってみるか」

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