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大好きなゲーム世界に転生出来たんだから、仲間とのんびり暮らしたい  作者: 廻り
第一章 エミジャ村の夏

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36 再びダンジョンへ

「カイトさまたちだー!」


 俺の名前を呼んで走り出した割に、向かっている方向は確実にセーラだ。

 ませガキがセーラに抱きつく一歩手前で、俺は彼を拾い上げた。


「やぁ、レオくんおはよう。朝から元気だねー」

「カイトさま、おはよう!」


 昨日、各家にスライムの皮を渡す際に知ったのだが、彼はレオくんと言うらしい。


 高い高いしてやるとキャッキャと喜び、すっかりセーラに抱きつく目的は忘れたようだ。

 

 ――ふっ。さすがは子供、ちょろいな。


 レオくんをセーラがいる位置とは逆側の小脇に抱えて、広場へ辿り着くと彼の祖母に預けた。


 初めて会った時は彼の母親だと思っていたが、実は祖母だったらしい。これも昨日、知った事実だ。

 村人たちは皆、歳より若く見えるがこれはもしかしたら、スライムの皮による美肌効果なのかもしれない。


 広場を見渡すと村人全員が集まっているようだ。


「皆さん、おはようございます」

「おはようございます、カイト様、セーラ様、洋介様」


 口々に挨拶をしてくれるが、いつの間にか俺達は様付けになってしまったようだ。


 挨拶を終えると村長が前に進み出てきた。


「カイト様、昨日のご依頼ですが予定通り、村人全員でお受けすることにいたしました。皆が一言お礼を申し上げたいと、皆様が通られるのをお待ちしていたのです」

「そうでしたか、こちらこそありがとうございます皆さん!夕方に薬草を持ってきますね」


 それから村長は、作業の分担などについて話してくれた。

 専属の作業要員として、各家から一人ずつ出すそうだ。他の人達は家事や畑仕事を皆で分担して行うらしい。

 その為、報酬は家ごとに支払ってほしいと言われた。

 きっちり人数で割らない辺り、この村の人間関係は良好なようだ。


 八人が専属で働いてくれるのなら、結構な量の薬草や皮を渡しても良さそうなので、夕方までみっちりダンジョンに籠ろうと思う。




 ダンジョン前で着替えをして、今日はサンタ服一式に加えてセーラが刺繍をしてくれた外套を羽織る。


「外套のおかげで後ダンジョン一周か二周すれば、スキル二回は使えそうだ」

「僕も同じくらいですね。ただ昨日、試し射ちで体力を減らしすぎた状態を経験してしまったので、あまり体力を減らした状態ではいたくないですが……。男爵服に多少体力の強化はされていますが、あの時はかなりギリギリだったのではないかと思います」

「あら、そんなことがあったのね」

「そうなんですよ。カイト兄上が助けてくれなくて、危うく倒れるところでした!」

「はは!悪かったって」「洋介……!」


 俺とセーラの発言が重なった。

 セーラに視線を向けると、彼女は慌てている様子だ。『兄上』呼びに戸惑っているのだろう。俺はすでに朝の時点で、経験済みだ。


「どうしました?姉上」

「……何でもないわ」


 頬を膨らませてそっぽ向いたセーラが、めちゃくちゃ可愛いんだが。

 この表情は初めて見たな。我が設定上の弟よ、よくやった。




 本日、ダンジョンの主役は洋介だ。ひたすらガストアローで一掃してもらい、俺は皮を拾うだけの楽なお仕事だ。


 昨日作った羽根無し矢は、威力は落ちているだろうが全体攻撃に影響はないようで、昨日と変わらない様子で倒せていた。


 そんなこんなで、あっという間に十部屋抜けてボスの部屋だ。

 部屋の入り口からは、赤い巨大スライムが見える。


「今日は寝ていませんね」

「めちゃくちゃ機嫌が良さそうだな」


 昨日の巨大スライムに比べると、とてもやる気に満ちているように見える。久しぶりに冒険者が来たので喜んでいるのだろうか。


「ぷるぷるしていて、何だか美味しそうだわ」


 セーラの指摘通り、まるでゼリーを揺らしているかの如くぷるぷるしている巨大スライムは、正に巨大ゼリーのようだ。


「どちらが倒しますか?カイト殿」

「洋介頼む。その矢で単体攻撃をしたら、どの程度当たるのか見てみたい」

「分かりました。ではここから射ちましょう」


 洋介は矢筒から矢を一本引き抜くと部屋の入り口に立ち、巨大スライムに向かって弓を構えた。


 彼が今から使おうとしているのは、ボスの部屋の端から端まで射程に収まるほどの遠距離攻撃が可能なスキルだ。ちなみにボスの部屋は雑魚の部屋よりかなり広い。


 射程が長い分、照準を合わせるのに時間がかかる。

 羽根が無いせいか、洋介はゲームより二倍ほどの時間をかけて照準を合わせた。


「いきます。フリーズアロー」

「ヒール」


 洋介の放ったフリーズアローは、氷の矢になって巨大スライムに突き刺さった。

 氷の矢が突き刺さった場所から放射線状に凍り始め、三秒ほどで巨大スライムは完全に凍ってしまった。


「おー!さすが氷属性、本当に凍らせられるんだな」


 近くまで行って見てみると、巨大スライムの周りには冷気が漂っていて、ちょっとやそっとじゃ溶けないんじゃないかと思えた。


「倒せたってことでいいんだよな?」

「おそらくは……。氷の矢は消えてしまいましたがこの辺りにほら……、皮を突き破った跡があります」

「これどうするの?カイト」

「そうだな……何かに使えるかもしれないし持って帰るか」

来週は引き続き、ダンジョンに籠ります。

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