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大好きなゲーム世界に転生出来たんだから、仲間とのんびり暮らしたい  作者: 廻り
第四章 王都

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168 結婚式

 俺たちの結婚式は、王都の中心部にある大聖堂でおこなわれる。

 王都では、王城の次に巨大で目立つ建物だ。

 ゲーム内ではクエストを多く受けられる場所として馴染みがあり、俺とセーラがゲーム内で結婚式を挙げた思い出の場所でもある。


 大聖堂に到着し、アーリとは別れてトム爺と控え室へ向かった。


「カイト殿、おはようございます」

「おはよう洋介、昨日はありがとな。寝不足にさせてしまって申し訳ない」


 深夜にセーラが会いに来てくれたわけだが、彼女が王城へ戻るためには移動目標が必要なので、洋介がその役目を請け負ってくれていたようだ。


「いえいえ、姉上は僕の声が耳に入らないほど幸せそうでしたよ」

「そっ、そうか」


 俺は幸せすぎて、あのあと夢見心地で部屋へ戻ったが、セーラも同じく思っていてくれたのなら嬉しい。


 あまりのんびりもしていられないので、俺はすぐに式で着る衣装に着替えた。

 俺は騎士なので、結婚式も騎士団の儀礼服だ。


 着替えを終えた俺は洋介とトム爺とも別れ、べつの部屋へと通された。


「こちらでお時間までお過ごしください」


 そう教会の人に言われて中へ入ると、そこはまるで別世界のようだった。


 部屋の中にいたのは、純白のウェディングドレスを身にまといレースのベールで顔を覆った女神。

 これから俺の妻となる女性だ。


 あまりにも神々しくて、どこかに消えてしまわないか心配になった俺は、彼女の元へ駆け寄り手を取った。


「セーラ、とても綺麗だよ」

「ありがとう、カイトもとても素敵だわ」


 頬を染めて俺を見つめるセーラは、夢でも幻でもなく本物の彼女だ。しっかりと掴めた手の暖かさを感じながら妙に、ほっとした気分になる。


「カイト、緊張はしていない?式の前に、ヒールをしたほうが良いかしら?」

「緊張は少ししているんだが、ヒールよりこちらのほうが良いかな」


 俺はセーラのベールを持ち上げて、顔を潜り込ませた。


「ごめん、口紅が取れちゃったな」


 セーラは顔を真っ赤にして首を横に振った。


 深夜に一歩前進したばかりだというのに我ながら大胆だとは思うが、セーラの反応が見たくて何度でもしたくなってしまう。




 式の時刻となり、大聖堂の扉が開かれた。


 この世界では新郎新婦が一緒に入場する。俺とセーラはそろって大聖堂に足を踏み入れた。


 王都の住民が集まり祈りを捧げるこの場は、奥の祭壇がぼやけて見えるほど広い。

 ドーム型の天井もとても高く、壁にはステンドグラスがはめ込まれている。

 幻想的な雰囲気の中、参列者に見つめられながら俺たちは祭壇へとゆっくり歩いていく。


「セーラ大丈夫そうか?いざとなったら、俺が抱えて祭壇まで連れてくが」


 セーラのウェディングドレスは、裾もベールもとても長い。

 第三王女と第四王女が後ろを持ち上げてくれているが、それでも歩くのが大変そうだ。

 俺もセーラの裾を踏んでしまわないか、ヒヤヒヤしている。

 いっそ、抱き上げて連れていったほうが気が楽だ。


「ふふ、大丈夫よ。無事に祭壇までたどり着いて見せるわ」


 セーラは自身に満ちた表情で答える。どうやら緊張もしていないようなので、安心する。


 参列者に視線を向けると、後ろの席にいるのは俺の部下が多い。

 今日は騎士団長が部下全員を休みにしてくれたので、皆参列してくれている。


 それからアーリとトム爺が見え、ディデリクさん一家も来てくれている。

 エミジャ村の皆にも来てほしかったが、残念ながらあそこは今、陸の孤島と化している。


 貴族のゾーンを抜け洋介が軽く手を振るのを確認した後、俺とセーラは無事に祭壇へとたどりついた。


 金ぴかな衣装の聖職者が、聖書を読み上げる。

 彼は確か、褒賞式のとき聖女を他国に差し出すわけにはいかないと叫んでいた人だ。


 俺たちも誓いの言葉を述べると、次は指輪交換。この辺りは地球とさほど変わらない。


 指輪は二人で考えた結果、ゲーム内の結婚指輪をそのまま使うことにした。

 この指輪を作るにはとても長いクエストがあり、何日もかけてやっと二人でクリアした思い出の品でもある。


 お互いに指輪をはめ終えると、セーラは頬を染めて微笑んだ。


「やっと本当の夫婦になれたわね」

「あぁ、今度こそ本当の結婚指輪だ」


 ゲーム内ではステータス目的という言い訳で作り、転生したときは夫婦設定という名目で使用し、今回が三度目の正直。

 お互いの気持ちを確かめ合った俺たちには、もう設定も言い訳も必要ない。


「では最後に、オーブに誓いを」


 金ぴかの聖職者がそういうと、バレーボールくらいの大きさのオーブが運ばれてきた。


 俺はセーラの顔にかかっているベールを上げた。

 そして、二人でオーブに片手で触れると、俺はもう片方の手をセーラの頬に添えた。


「セーラ、愛している」


 それだけで顔が赤くなるセーラに唇を寄せた。


 周りからは「おお!」と歓声があがる。

 ゆっくりとセーラの唇から離れて目を開けてみると、大聖堂内は光り輝く蝶が舞う光景に変わっていた。

 オーブからは次々と蝶があふれ出している。


「これは……」

「とても綺麗ね。これほど多くの蝶が舞うのは記憶の中で初めてよ」


 記憶の中でとは、セシリアの記憶を指しているのだろう。

 リアムは安定の記憶なしだが、結婚式の恒例のようだ。


 だが、俺にも記憶はある。これはゲーム内で結婚が成立したときに出るエフェクトだ。

 まさか、こういう形でこの世界にも存在していたとは。


 金ぴかの聖職者によると、蝶の量は愛の深さに影響するらしい。

 俺たちは歴史に名を残す愛し合うカップルだと興奮した様子で聖職者に宣言され、神聖な場所とは思えない歓声が巻き起こった。

 こういう名の残し方は恥ずかしいんだが……。

次回で本編完結の予定です。

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