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大好きなゲーム世界に転生出来たんだから、仲間とのんびり暮らしたい  作者: 廻り
第三章 エミジャ村の秋

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130 ラクレット試食

 歓迎会も終わり、夕方。

 俺たちは屋敷に戻り、五人全員が厨房へ集まっていた。


「これがチーズでございますか?とても大きいですわね!」


 カットされたゲーム内アイテムのチーズしかしらないエミリーは、その大きさにとても驚いたようだ。

 俺もスーパーでこの大きさを見ることはないので、物珍しいことには変わりない。


「あちらの村にはこのチーズが十個もあり驚きました」


 春と秋に町へ売りに行っていたようで、売る前のチーズがちょうどあったらしい。

 半年で十個しか売れないのは微妙だなと思ったが、それも全て売れるわけではなく、余ったものは村人の食料になっていたようだ。


「まずはスライスしたものをパンに乗せてオーブンで溶かしてみましょうか。姉上、パンはありますか?」

「おっ。それなら、イーサ町で買ったフランスパンがまだ残っているぞ」

「それは良いですね。ラクレットにはフランスパンが合うと思います」


 そういえばこのパンは、店での表記もフランスパンだったな。

 この世界にフランスはないがフランスパン。

 バゲットもバタールもフランスパン。

 とてもシンプルでわかりやすい。

 

 ほどいよい大きさにカットしたフランスパンを並べ、その上に洋介がスライスしたチーズをのせていく。


「あとはオーブンに入れるだけですね」


 洋介はオーブンレンジに入れてから、ぴっぴと設定してスタートボタンを押した。


「おおお、溶けてきたぞ!そろそろいいんじゃないか?」

「まだです!こういうのは焦げる一歩手前が美味しいんですから」

「なるほど。おっ!きつね色になってきたぞ。そろそろいいんじゃないか?」

「もう少し我慢してください、カイト殿。ゴールは近いですよ!」

「ふふ、二人ともオーブンの窓にくっついて子供みたいだわ」


 妙にテンションが上がってしまって、セーラに笑われてしまった。恥ずかしい。


 洋介の裁量で完成したラクレットは、チーズの形が崩れフランスパンからはみ出した部分がとろりと垂れている。

 真ん中辺りは彼の望み通り、焦げる一歩手前の絶妙な焼け具合だ。


「さぁ皆さん、熱いうちにいただきましょう!」


 このとろとろ具合を堪能するには、食堂へ運ぶ時間すら惜しい。

 セーラは素早く五人分の椅子を取り出した。


 五人同時に口へ運ぶ。

 とろりと濃厚な味わいが口いっぱいに広がり、五人同時に「美味い」という趣旨の言葉を発した。


「やはりこれは、ラクレットチーズという認識で良さそうですね」

「えぇ、ラクレットチーズと同じくらい、とろりとしていて美味しいわ」

「俺は食べたことがないが、これは美味い!」


 これにはビールが、とても合う気がする。

 早速ビール樽を取り出すと、セバスが俺の元へやってきた。


「マスター、私もいただいてよろしいでしょうか?」

「おう、いくらでも飲んでいいぞ」


 セバスは優しい味しか受け付けない体質なのかと思っていたが、意外とビールは好きらしい。そして結構飲める。

 屋敷で唯一、まともに飲める飲み友達だ。


 ちなみにエミリーは一口挑戦して、顔をしかめたので口に合わなかったようだ。

 甘い酒ならいけるのかもしれないが、あいにく俺はビールしか持ち合わせていない。


 それから俺たちは、他の食材も試そうとあれこれ試した結果、どれも美味くて腹がはち切れそうなほど食べてしまった。


「あまりにも美味しくて少し食べすぎてしまったわ。エミリーちゃん、明日はジョギングを少し長めにしましょう」

「はい!食べるのも好きですが、ジョギングも楽しいですもの!」


 ナッシュさんをジョギングに誘ったのは、彼女自身がそれを楽しいと思ってのことだったようだ。


「美味しいのはよくわかりましたので、あとはイメージの改善ですね。やはり映え重視であのやり方でしょうか」


 洋介は半分にカットしたチーズを取り出し、断面を見つめた。

 あのやり方とは、断面を熱して溶けた部分だけをそぎ落とす方法のことだろう。


「そうだな。すでに溶けたチーズを見せられるよりは、溶ける過程を見せたほうが食欲はそそりそうだ」

「ハウジングアイテムにラクレットオーブンはないけれど、どうしたら良いかしら?」

「ラクレットオーブンを作るなら、カイト殿の分野でしょうか」

「そうだな。地球のものをベースに考えてみようか。オーブンを作るなら、そぎ落とすナイフも必要だな。それはセバスに頼もうか」

「お任せください!マスター!」

「それからフランスパンがもうないから、それはセーラにお願いしたい」

「えぇ、任せて」


 パン作りはエミリーでも良いが、単に俺がセーラの作ったパンを食べたいだけだ。


「僕はラクレットオーブン用の台でも作りましょうかね」


 次々と分担が決まっていく中、一人残ったエミリーも期待を込めて俺を見た。


「マスター!わたくしは何をお手伝いいたしましょうか?」

「うーん……そうだな」


 どうしよう……、あと必要な物が思い浮かばない。


「エミリーはラクレットを思う存分食べられるように、ジョギングを頼む……」

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