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大好きなゲーム世界に転生出来たんだから、仲間とのんびり暮らしたい  作者: 廻り
第三章 エミジャ村の秋

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129 あちらの村の特産品

 かなり年下だと思っていたから大人びた顔立ちだと認識していたが、これで二十一歳なら幼い顔立ちと表現するのが相応しいだろう。

 認識修正をしていると、サシャさんの視線は一点に固定された。


 今度はなにを見つけたのだろうと思いそちらに視線を向けると、そこには洋介の姿があった。

 子供っぽい彼女も、しっかりとイケメンには目が行くようだ。


「洋介が気になるなら呼びましょうか?」

「ひぃ!?おらなんて、釣り合わないからむりだべ……です」


 かろうじて最後だけ標準語に直したつもりの彼女は、恥ずかしさを隠すようにスライムヨーヨーで遊びだした。


 釣り合わないということはないと思うが。

 肩まで伸びた茶色い髪の毛と、同じく茶色のぱっちりとした瞳。

 シンプルなワンピースの上からエプロンをしており、幼い顔に反してエプロンの上のほうは丸みを帯びて膨らんでいる。

 田舎っぽい雰囲気はあるが、普通に可愛い子。ではなかった……、可愛い女性だ。


 洋介も中身は田舎出身だし、意外と気が合うんじゃないかと思う。

 まぁ、アメリーヌさんの件もあるのでお節介を焼きすぎるつもりはないが。


 だがせっかくなので村人同士、仲良くなるくらいは良いだろうと思っていると、洋介のほうからこちらへやってきた。

 後ろに、村長と副村長を連れている。


 副村長とはあちらの村の村長のことだ。

 エミジャ村の村長があちらの顔を立てて、副として役職を残したらしい。


「カイト殿、副村長から良い提案を受けましたよ」

「お?なんだ?」


 洋介に促された副村長が俺たちのテーブルの前に進みでると、手に持っていた皿をテーブルに置いた。


「村で作ったチーズなんですが。どうぞ、皆さんで試食してみてください」


 皿の上にはスライスされたチーズがのっている。

 ふちがベージュで中は乳白色。一つ取ってみるとチーズの濃厚な香りが漂ってくる。

 味も濃厚なのかと思ったが、濃厚な味わいではあるがそれほど癖は強くなく意外と食べやすい。

 チーズには詳しくないので種類を言い当てられないが、それほど硬くないチーズだ。


「うん、なかなか美味いですよ」

「ありがとうございます。これはそこにいるサシャが作ったんです」

「へぇ!サシャさんはチーズ作りが得意なんですか」

「そっそんな……まだまだ半人前だ……です。じっちゃんに教わって、去年やっと一人で作れるようになりました」


 半人前と自分を評価しているようだが、褒められて嬉しいのかサシャさんの顔はゆるゆるになっている。


「カイト殿、このチーズは暖炉で溶かして食べるともっと美味しいらしいですよ」

「なに……?それはもしかして、アルプス的なアレか?」

「確かにラクレットのような味がするわ」

「セーラは食べたことがあるのか」

「えぇ、何度か洋介が食べに連れて行ってくれたわ」


 セーラと外食か。洋介はつくづく、羨ましいリアル生活を送っていたようだ。


「姉上の言う通り、その可能性は非常に高いです。なので、ひとつ購入させていただきました」

「ひと塊かよ、やるな洋介。その色を見ただけで美味そうなのが伝わってくる」

「それは……、塩水に浸した布で拭きながら熟成させる……です」

「そうなんですか。そうだ、洋介。彼女はサシャさんって言うんだ。彼女からチーズの作り方を聞いておいてくれないか?」

「突然ですね。まぁ、良いですけど」


 洋介をサシャさんの隣に座らせて、とりあえず最初の目的は達成されたので、俺は副村長に視線を戻した。


「それで、ご提案とは?」

「カイト様は加工品を作る予定と聞いたんで、わが村のチーズも加えてもらえないかと思いまして」

「それは、ありがたいご提案だ!このチーズならイーサ町でも人気なんじゃないですか?」


 地球でもラクレットは、映えると人気の料理だ。料理店へ安定的に納品できるならありがたい話だ。

 そう思ったが、副村長の顔色はあまりよろしくない。


「それが、その……。田舎者が作った臭いチーズとして昔から有名で……。サシャの祖父が何十年もかけて改良を重ね、昔ほどきつい匂いではなくなったんですが、世間様にはすっかり昔のイメージが定着してしまって……。だけど、この伝統的なチーズを絶やしたくないんです!どうか、お願いしますカイト様!」


 必死な表情で訴えてくる副村長は、このチーズに誇りを持っているようだ。


「うーん、イメージか……。それは売り込み方次第でどうにでもなると思います。今でも作り続けているということは、全く売れないわけではないんですよね?」

「好んでこのチーズばかりを買うお客様もいるとは聞いています」

「それなら、これからも作り続けましょう!作る量に関しては少し考えさせてください。俺たちでも少し売り方を考えてみます」

「ありがとうございます、カイト様!貴方の言う通りでしたよ、村長。話してみて良かった」


 どうやらこの提案の発案者は村長のようだ。彼は良かったとうなずいている。

 この様子なら村長と副村長は、うまくやっていけそうな気がする。

誤字報告ありがとうございます!

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