表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大好きなゲーム世界に転生出来たんだから、仲間とのんびり暮らしたい  作者: 廻り
第三章 エミジャ村の秋

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

132/173

128 歓迎会

 移住者が引っ越してきて二日後、家の片付けもあらかた済んだようなので、今日は広場で歓迎会を開くことにした。

 夜に飲み会でもできれば良かったが、夜はもう寒くなってきたので昼の開催となった。

 今後のことを考えると、全員で集まれるような公民館みたいなものがあっても良いかもしれない。


 今日のメイン料理は、延び延びになっていたイーサ町のお土産だ。

 ボアの丸焼きと巨大スライムのお菓子を出すと、皆集まってきた。


「昔はよく、冒険者からボアを買い取っていたわ」「子供の頃に食べたことがあるぞ!懐かしいなぁ」「これが噂のスライムの皮だべか」「ぷるぷるしていて美味そうだべ」


 それからセーラは大人買いしたお菓子屋のケーキ全種、俺はビールの樽を取り出すと、一段と歓声のボリュームが上がった。

 移住者は村人のテンションに若干乗り遅れているが、喜んではいるようだ。


 ケーキ全種はエミリーへのお土産にと買ったものだが、彼女があの状態になってしまったので本人の許可を得て今日のデザートに加えたようだ。


 そんなエミリーもセーラと毎日ジョギングをがんばったので、今はセーラより少しぽっちゃり程度に戻っている。

 今日はそのご褒美としてケーキを一つだけ食べても良いと、セーラから許可が出たようだ。


「奥様!ケーキを好きなだけ食べるのも幸せでしたが、たくさんの中から一つを選び出すのもわくわくしますわね!」

「ふふ、そうね。ケーキ屋さんでどれにしようか選ぶ時間は、とても幸せだわ」


 どうやらエミリーは爆食い以外の楽しみも覚えたようだ。


 二人がケーキを楽しそうに選んでいると、ナッシュさんがやってきた。


「エミリーさん!イーサ町でお菓子のお土産を買ってきたんです!良かったらどうぞ!」


 ナッシュさんはお菓子の箱を差し出しながら、九十度頭を下げた。

 そういえばエミリーを紹介すると約束していたが、俺たちがいない間にしっかりと知り合っていたようだ。


「まぁ!とても嬉しいですが、どうしましょう……?」


 エミリーはセーラにお伺いを立てるように視線を向けた。

 セーラは頷くと小声で「一日一個までよ」と付け加えた。


「はい、奥様!ナッシュさん、ありがとうございます!」


 お菓子を受け取ってもらえたナッシュさんは、ほっとしたように頭をあげた。


「エミリーさん、えっと、その、良かったら今度デートしませんか?」

「デートですか?一度も経験がないのですが、なにをしたら良いのでしょうか?」

「え?うーん、そうだな。一緒に散歩したり、おしゃべりしたり、ご飯食べたり、二人で楽しくすごせたらなんでも良いと思いますよ」

「楽しくですか……。そうだわ!わたくし、毎日ジョギングをしていますの。ナッシュさんも一緒にいかがですか?」

「ジョ……ジョギング?うん……そうだな!ジョギングしましょう!エミリーさんと親睦を深めるためならなんでもするぞっ!」


 ナッシュさんが思っていたデートとはだいぶ違うと思わるが、気のいい彼はエミリーの提案を受け入れてくれるようだ。

 中途半端な知識しかないエミリーと心を通わせるのはなかなか大変そうだが、ナッシュさんならうまくやれるんじゃないかと思える。




 俺とセーラは最後の準備として、レオくんとジェシーちゃんの元へ向かった。


「二人には特別メニューがあるんだ」


 なんだろう?と不思議そうに見つめる二人に、ポーチからお子様ランチを取り出して二人の前に置いた。


「わぁ!お子様ランチだわ!ありがとう、カイト様!セーラ様!」


 すぐにわかったジェシーちゃんは目を輝かせた。


 これはあの酒場のお子様ランチだ。

 ジェシーちゃんが毎回食べていたので、お土産に良いかもしれないと思ってテイクアウトしたものだ。


「これが、おこさまランチ……」


 存在だけは知っていたらしいレオくんは、驚きの表情でお子様ランチを見つめている。

 どうやらサプライズは成功したようだ。


 二人が喜んで食べている姿を見るだけで、俺の腹も膨れてしまいそうだ。


 満足しながら眺めていると、横から視線を感じた。

 そちらに目を向けると、移住者の若者で唯一の女性だった子がじーっとお子様ランチを眺めているではないか。


 ――もしかして、食べたいのか?


「お子様ランチならまだあるんで、食べますか?」

「ふぇ!?おら……私も食べで良いのですか?」


 あちらの村娘の一人称は『おら』らしい。

 彼女はいつも誰かの陰に隠れていてあまり目立たなかったので、話すのは今日が初めてだ。


「どうぞ、そちらに座ってください」


 ジェシーちゃんの隣に座らせお子様ランチをポーチから取り出すと、彼女は驚いた表情でポーチを眺めた。


「お料理まで出てくるなんて、本当にすごいカバンですね……」


 どうやら冒険者もあまり訪れない村だと、マジックポーチも珍しいようだ。


 彼女はレオくんやジェシーちゃんと一緒になって、美味しいと言いながらお子様ランチを頬張った。

 洋介くらいの歳に見えるがお子様ランチで喜ぶとは、大人びて見えるだけでもっと若いのかもしれない。


「そういえば名前をまだ聞いていなかったな。俺はカイトだ。よろしくな」

「私はセーラよ。よろしくね」

「ぼくはレオ!」

「わたしジェシー!」

「おら……私は、サシャです。あの、ロイス兄さんを助けてくれてありがとうございました」

「サシャはロイスさんの妹なのか」

「はい、兄さんと一緒に移住できてとても嬉しいです。ところで、それは……」


 サシャはレオくんたちの横に置いてあるスライムヨーヨーを指さした。

 内向的に見えるが、好奇心は旺盛なようだ。


「こうしてあそぶんだよ!」

「面白いでしょ!」


 レオくんとジェシーちゃんがスライムヨーヨーをびよんびよんさせてみせると、サシャはそれに合わせるように何度もうなずいた。


 ――これはまた、セーラの出番だな。


 そう思っていると、案の定セーラはスライムヨーヨーの束を取り出して一つプレゼントした。


「ありがとうございます。せいじょ……セーラ様」

「ふふ、二人と遊んであげてね」

「はい。ぜひ」


 頬を染めながらスライムヨーヨーで遊ぶ姿は、素朴な可愛さがある。


「ところで、サシャは何歳なんだ?」

「おら……私は、二十一歳です」

「そうだったんですね……サシャ……さん」


 まさかの年上。

 敬語を使うべきでした。申し訳ない。


 遊び相手認定していた様子のレオくんとジェシーちゃんは、ちょっと残念そうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ