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大好きなゲーム世界に転生出来たんだから、仲間とのんびり暮らしたい  作者: 廻り
第三章 エミジャ村の秋

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127 移住者到着

 ディデリクさん親子が帰ってからしばらく。

 村では、なんとか移住者が住む家の補修が終わった。


「室内はもう少し補修したい箇所もあるけど、屋根と壁はしっかり直したから冬が来ても大丈夫だよ!」


 今回は大工の娘ニーナさんが中心となって、家の補修をしてくれた。

 彼女の父親は、羊舎建設時に若者との体力差を痛感したらしく、今は新人の指導役となっている。

 指導に熱が入りすぎて、ニーナさんに怒られるという光景をよく目にする。

 木工Sランクの洋介は、婿に来ないかと事あるごとに親父さんに勧誘されているらしい。


 室内は、俺が見た限りではもう補修する必要もなさそうだが、これは彼女のこだわりなのかもしれない。

 あとは住んだ人から要望があれば補修するということで、住居は完成とした。




 それから数日後の夕方。

 いつものように露店を開いていると、商店街のほうからざわめきが聞こえてきた。

 なんだろうと思いそちらに目を向けると、見覚えのある幌馬車の御者台にセバスとナッシュさんが乗っているのが見える。

 ついに移住者がやってきたようだ。


 幌馬車に村人が乗り、その後ろにも牛を連れた人たちが歩いてくる。

 一行が広場へ到着すると、牛は喉が渇いていたのか水場の水をごくごくと飲み始めた。


 移住者は十四人。若者は重傷者だった男性三人と、ほかに女性が一人だけのようだ。


「やっと着いたべ」「いんやぁ!良い村じゃないべか」「おらたちの村よりりっぱだべさ!」


 ――おおう……。めちゃくちゃなまっている。


 同じ僻地民だが、エミジャ村はかつて冒険者で賑わっていたので、村人は普通に標準語なんだよな。


 セバスとナッシュさんも馬車から降りると、俺たちのほうへやってきた。


「旦那様、移住者をお連れいたしました」

「ありがとう、セバス。長旅で疲れただろう、屋敷に戻ったらゆっくり休んでくれ。ナッシュさんも、お疲れ様でした」

「なかなか楽しい旅でしたよ!セバスくんとも親睦を深められたし。なっ?」


 ナッシュさんがセバスの肩に手を置くと、セバスは大きく頷いた。


「はい!ナッシュ兄貴にはとてもお世話になりました」


 ――おおう……。気弱なセバスが少したくましく見えるぞ。


 セバスが兄貴と呼ぶほど、ナッシュさんとは信頼関係を築けたようだ。


 村長同士が挨拶を交わした後、うちの村長は仰々しく俺たちを紹介してくれた。

 移住者たちは主に、セーラに注目した。


「うちの若いもんが、大変お世話になったそうで。貴女様が聖女様でしょうか?」「神々しいのう」「なんまいだぁ、なんまいだぁ」


 感謝の印なんだろうが、拝まれてセーラはあたふたしている。

 っとうか、この国の宗教は仏教じゃないだろ。


「あっ、あの!聖女ではなく、セーラと呼んでください……」


 セーラは恥ずかしさが限界にきたのか、俺の腕に隠れた。

 腕じゃ全然隠れられていないが、可愛いので良しとする。


 今後の生活について話したいことはいろいろとあるが、まずは引っ越し作業が先だ。

 村人全員で手伝い、ナッシュさんとセバスがポーチから出した移住者の家財道具を各家に運び込む作業をした。


 俺たちからは家の片付けに専念できるよう、数日分の保存食を提供した。


「何から何まで準備してくださってありがとうございます。俺たち座って見ているだけなんて申し訳ないです……」


 重傷者だった三名には、家財道具をどの家に運べば良いか指示してもらうのに、広場で座ってもらっている。


「指示役も必要なんで問題ありませんよ。それより体の調子はどうですか?」

「体をかばうので変なところに力が入ったりして、あちこち痛くなることはありますね」


 セーラが最初に治した彼は、ロイスさんという名前だ。

 イーサ町にいた時とは違い、だいぶ自分の体を受け入れる心の余裕がでてきたのか、暗い表情ではない。

 家族に会って、少し安心したのかもしれない。


 三人とも杖というかただの木の棒だが、それを使って体を支えている。

 二人とは違いロイスさんは片腕もないので、より負担がかかっているようだ。


「無理をして怪我をしたら大変だわ。落ち着いたらすぐにでも、義足を作りましょう」

「そうですね。とりあえず寸法を測って試作品作成にでも取り掛かりますか」


 セーラと洋介は義足作りにとても気合が入っていて、これまでもどんなふうに作ったら良いか二人で話し合っていた。


 洋介は三人に両足を露出してもらい、じっくり観察し始めた。


「もしかして、観察しただけで寸法がわかるのか?」

「そうなんですよ。思った長さにカットできるなぁとは思っていたのですが、木彫りのクマを作った時に立体物の再現も可能だと確信しました」

「なるほど。あのクマは、洋介宅にあったものなんだな」

「あれは姉上が修学旅行のお土産に買ってきてくれたものなんです」

「見覚えがあると思ったら、やっぱりそうだったのね」


 つまりセーラからの古風なお土産を、洋介は細部まで再現できるほど記憶に留めていたらしい。

 セーラが高校生の時はまだ別々に住んでいただろうから、あまり会えない姉からのお土産がよほど嬉しかったということなんだろうな。


 そしてそれを再現して、アメリーヌさんにプレゼントしたのか。

 友達以上にはなれないとか言っていたが、これはもしかすると、もしかするのかもしれない。

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