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大好きなゲーム世界に転生出来たんだから、仲間とのんびり暮らしたい  作者: 廻り
第三章 エミジャ村の秋

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124 木彫りの動物

 戦利品の巨大スライムの皮は後でお土産として渡せるように、ほどよい大きさにカットしてからポーチに収納した。


 子供たちは興奮した様子で俺とセーラに、ここへ連れて来てくれたことを感謝してくれた。

 スライム好きの双子の希望は叶えられたし、村にいるとあまり楽しみがないレオくんとジェシーちゃんも刺激的な冒険となったようだ。


 再びリヤカーに皆を乗せて村へ戻ると、広場には露店待ちの村人が集まっていた。


「皆さんお待たせしました。今日はお土産があるんで、買う人も買わない人も良かったら並んでください」


 村人たちはなんだろうと言いながら、素直に並んでくれる。

 俺はその間に露店用のテーブルを出して、セーラがその上に皿を並べた。

 それから先ほどカットした巨大スライムの皮をのせていく。


「今日は子供たちと力を合わせて巨大スライムを倒してきたんです。皆さんに食べてもらいたいそうなんで、ぜひ持ち帰ってください」

「あら!巨大スライムの皮なんて何年ぶりかしら?」「よーく味を染み込ませたら美味しいのよね!」「うちのお父さんがこれ大好きなのよ!」


 並んだ村人から歓声があがる。食材購入の列なのでご婦人が多い。


 俺が食料の販売をし、子供たちには巨大スライムの皮の贈呈をしてもらった。


「おかあさん!ぼくも、いっしょにたたかったんだよ!」

「まぁ!レオも?すごいわねぇ、帰ったらお父さんに自慢しましょう!」

「ママ!わたしも、がんばったんだから!」

「すごいわジェシー!これで、あなたの好きな料理を作りましょうね」


 最後に残ったララさんとカーラさんに、一生懸命今日の出来事を報告する二人。

 母親二人は、俺たちに今日のお礼を言ってくれてから、子供を連れて家へ戻っていった。


 その様子を遠くから見学していたディデリクさんがこちらへ向かって来ると、双子もディデリクさんの足に抱きつきマシンガントークを始めた。


「おぉ!わかったわかった!後でゆっくり聞くから落ち着きなさい。カイト様セーラ様、子供たちをわざわざダンジョンまで連れて行ってくださりありがとうございます」

「俺たちも楽しかったですよ」

「ふふ、そうね。初心にかえった気分だったわ」


 ディデリクさんも村の視察は終わったようなので、全員揃って屋敷へと馬車で戻った。




 屋敷に戻るとすでにお茶会は終わったようで、洋介とアメリーヌさんは庭にいなかった。

 中だろうかと思い屋敷へ入ると、広間で談笑している二人を見つけた。


「おかえりなさい、皆さん。ディデリクさんお久しぶりです」

「洋介様、ご無沙汰しております。娘とお茶会をしてくださったそうで、ありがとうございます」

「いえいえ、動物トークに花を咲かせた楽しいお茶会でしたよ」


 やはり双子の助言を受けて、動物トークで彼女の緊張を解いたようだ。


「そうでしたか。アメリーヌ、洋介様のお心は射止められそうかな?」


 ディデリクさんが冗談っぽく言うと、アメリーヌさんは顔を真っ赤にさせた。


「べっ、別に……私は、洋介様とお友だちなりたかっただけですわ……」


 本心を知ってしまったので、なんとも反応しにくい。


 アメリーヌさんは顔を隠すように、手に持っていた木彫りのクマを口元に当てている。

 どこから出てきたんだ、このクマ。


「アメリーヌさん、それは?」

「この子ですか?洋介様が作ってくださったんです」


 アメリーヌさんは宝物でも扱うように木彫りのクマを抱きしめると、クマの頭をなでた。


「彼女、本物のクマを見たことがないというので作ってみました」

「へぇ。器用だな、洋介」


 さすがは木工Sランクだ。細部まで丁寧に彫られたクマは鮭を咥えていて、その鮭も今にも跳びはねそうなリアルさだ。


 ――って、なんで北海道土産なんだよ。令嬢が抱きしめるクマとしてはおかしくないか?


 しかし、土産品として有名なそれを知らないアメリーヌさんは、とても幸せそうだ。


「いいな!あねうえ!」

「うらやましいです、おねえさま!」

「そう言うと思ったわ。あなたたちの分も洋介様が作ってくださったのよ」


 アメリーヌさんはテーブルに置いてあった木箱を双子に渡す。

 なんだろうと思い一緒に木箱の中を覗いて見ると、中には木彫りのスライムがいくつも入っていた。

 双子はそれを取り出して歓声を上げた。二人の手のひらにちょうど収まる良いサイズだ。


「重ねたり並べたりして遊べるように作ってみました」


 俺も一つ取って見てみる。

 雫が潰れたような形のスライムなので、重ねられるように底に窪みがある親切設計だ。


「これ……土産品として売れるんじゃないか?このくらいなら村人でも作れそうだ」

「ほう。それは良い考えかもしれませんな。お土産を見た人がエミジャ村に興味を持つかもしれませんよ」


 ディデリクさんも一つ手に取り、関心した様子で見ている。

 セーラは俺の手に持っているのを覗き込んだ。


「子供のおもちゃとしても良いけれど、部屋の置物としても可愛いと思うわ」

「なるほど。現状、エミジャ村へ来る客層で多いのが若い女性だし、実験的に村長の家にお土産コーナーでも作ってもらおうか」


 その売れ行きを見て、好評だったら冬の暇つぶしに村人に作ってもらおう。

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