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大好きなゲーム世界に転生出来たんだから、仲間とのんびり暮らしたい  作者: 廻り
第三章 エミジャ村の秋

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122 午後のお茶会

 「午後はお庭でお茶会を開きましょう」


 広間へ戻ってセーラがそう提案すると、アメリーヌさんは祈るように両手を組み合わせて喜んだ。


「まぁ!素敵ですわ、セーラ様!あのような素晴らしいお庭でのお茶会に、お誘いいただくのは初めてですわ!」


 すっかりセーラに心酔しているような表情のアメリーヌさん。

 洋介といるのが恥ずかしいからセーラといただけかと思っていたが、懐いていたのも本当だったようだ。


 急いで準備を整え、六人でお茶会を開いた。

 エミリーはSランクの馬鹿げた速さで、お菓子を用意してくれた。


「とても美味しい桃のケーキですわ!エミリーさん、今日は村でのお仕事もありましたのに、私たちのためにケーキまで準備してくださりありがとうございます!」


 アメリーヌさんはとろけそうな顔でケーキを堪能している。


「お褒めいただきありがとうございます。どうぞ、ごゆっくりとおくつろぎくださいませ」


 エミリーはメイドらしく、慎ましい態度で少し離れた場所に控えた。


 このお茶会はエミリーの目に毒だな。昼食後にデザートを食べさせておいて良かった……。


「皆様は毎日エミリーさんの料理が食べられるのですね。うらやましいですわ!」

「姉上も、料理はプロ級なんですよ。姉上、夕食後にデザートを皆さんに振る舞ってみてはいかがですか?」

「あ……あの!そんな……、申し訳ないです……」


 今までハイテンションで話していたのに洋介が会話に入った途端、顔を真っ赤にして消え入りそうな声になってしまったアメリーヌさん。

 これは重症だな。


 俺はケーキを食べ終えた双子を連れて、庭の散歩へ出た。

 ほどよく離れた花壇の陰に隠れると、二人も真似して隠れる。


「二人に相談があるんだが、いいかな?」

「なんでしょうか?」

「ひみつのそうだんね」


 小声で尋ねると二人とも小声で返してくれた。


「二人とも生きているスライムは、見たくないか?」

「みたいです!」

「みたいわ!」

「よし。アメリーヌさんの元へ戻ったら、スライムが見たいと俺に言ってくれないか?そうしたら二人を連れ出せるから」

「ふむ、よめましたよ」

「おねえさまと、ようすけさまを、ふたりきりにするのね」


 なんと優秀な子たちだ。五歳児にして察する能力がありすぎじゃないか。


「そうだ。協力してくれるか?」

「カイトあにうえの、たのみでしたら」

「きょうりょくしますわ、カイトおにいさま」

「ありがとう、助かるよ。ところで、なんで俺が兄なんだ?」

「あねうえが、そうよぶようにと」

「しょうらい、しんせきになるよていなので」


 ――おおおいっ!洋介くん、外堀を埋められているぞ!


 まともに洋介と話もできていないのに、そこまで予定を立てているとは……。




 三人でお茶会の席に戻ると双子は早速、作戦を実行に移してくれた。


「カイトあにうえ!ぼく、すらいむがみたいです!」

「わたしもみてみたいわ!カイトおにいさま!」

「俺も二人に見せたいと思っていたんだよ。アメリーヌさん、二人を森に連れて行っても良いですか?危険はないので安心してください」

「まぁ!ありがとうございます、カイト様!この子たち、スライムに出会えるかもしれないととても楽しみにしていましたの。二人とも、カイト様のご迷惑にならないようにね!」

「きもにめいじます!」

「いいこにしますわ!」


 アメリーヌさんの許可も得たので俺たちが立ち上がると、セーラは心配そうに俺を見た。


「カイト、スライムは安全でも山道で転んだりするかもしれないわ。ヒールが必要なるかもしれないから私も一緒に行くわね」

「あぁ、頼むよセーラ」


 打ち合わせ通りにセーラの同行も決める。


「あ、あのっ!、セーラ様が行かれるのでしたら、私も……」


 不安そうな視線をセーラに向けたアメリーヌさん。

 セーラはその不安を取り除くように、優しく彼女の手を包み込んだ。


「アメリーヌちゃんは洋介をお願い。弟はこうみえて、とても可愛いのよ。子犬だと思えばきっと楽しいわ」

「姉上……、僕をそう認識していたのですか?」

「あら、小さい頃からいつも私の後をついてくるじゃない。とても可愛い弟だわ」

「残念ながら、それについては否定できません」


 洋介が苦笑する横で、アメリーヌさんはぽぅっと宙を見つめた。


「洋介様の、お小さい頃……」


 どうやら妄想の海原へダイブしてしまったようなので、その間に俺たちはお茶会を退席した。




 ディデリクさんちの御者さんに頼んで馬車を出してもらい、屋敷が見えなくなった辺りで一度止めてもらった。

 道路脇の林に入り、屋敷の庭を見渡せる位置に陣取った。


「なんとか二人で話しているようだな」


 俺は双眼鏡を覗きながら二人を確認した。

 これはイベントアイテムで何個か集めるとレアアイテムと交換できたものだが、普通に双眼鏡としても使えるようだ。


 覗き趣味はよろしくないが、事態が急変していたらフォローへ戻らねばならないので仕方ない。


「逃げ出してしまわないか心配だったけれど、大丈夫そうで安心したわ」

「ようすけあにうえには、ひっしょうほうをでんじゅしましたので!」

「おねえさまは、どうぶつがだいすきなの!」

「身振り手振りが大きいから、動物の話でもしているのかな」


 セーラは洋介を子犬と表現していたが、彼女もアメリーヌさんが動物好きだと情報を得ていたのかもしれないな。


 どうやら戻る必要はなさそうなので、俺たちは再び馬車に乗り村へ向かった。

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