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大好きなゲーム世界に転生出来たんだから、仲間とのんびり暮らしたい  作者: 廻り
第三章 エミジャ村の秋

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119 徴税の日

 仕事前に集まってきた村人に、村長から移住者について話してもらった。

 驚いている人も多かったが、全会一致で受け入れると決まった。

 僻地の村は外部の者を入れたがらない所も多いだろうが、ここは冒険者が頻繁に訪れていたので人の流入にはあまり抵抗がないようだ。

 見るからに怪しい俺たちだって受け入れてもらえた前例もある。


 移住者は六家族いると手紙に書いてあったので急遽、六軒分の修繕をすることになった。

 三人で住んでもらおうと思っていた一軒はほぼ完成したようなので、残り五軒。

 引っ越しにも準備に時間がかかるだろうし、なんとかなるだろう。


 それから、露店を開くなら何時頃が良いかアンケートを取った結果、一番多かった夕方に決定した。




 慌ただしく作業が進む中、徴税の前日の夜。


 セーラと付き合えたというのに彼女は最近、部屋に引きこもってばかりであまり俺の部屋にいてくれない。

 寝る時間までミシンの音が聞こえてくるので移住者の住居に必要な物でも作っているのだろうが、どうせなら俺の部屋で作業をしたら良いのに。

 寂しく思いながらも、セーラの部屋に入る勇気はない俺。


 今日も一人寂しく本を読んでいると、セーラの気配を感じたので顔を上げた。

 彼女は部屋の出入り口から顔を覗かせていた。


「悠斗、少しいいかしら?」

「ん?どうした?」

「あのね……、悠斗の服を作ってみたのだけれど……」


 そう言って彼女が差し出したのは、黒い上下の服だった。

 冬になったら服を作ってみたいとこの前採寸されたが。まさかこれを作ってくれるために、ずっと引きこもっていたとは。


「ありがとう夏帆!すごく嬉しいよ!」

「ふふ。悠斗ったら涼しくなってきたのに、まだその服を着ているんだもの。風邪を引いてしまわないか心配だわ」

「はは。ごめんな、忙しいのに」


 セーラが刺繍してくれた服をずっと着ていたくて、やせ我慢をしていたのは確かなので、長袖を作ってくれたのはとてもありがたい。


「いろいろデザインを考えたら楽しくて。これからも作って良いかしら?」


 セーラは考えたデザイン画を見せてくれた。どれもオレ好みで驚きだ。


「とても嬉しいが、こんなに大変じゃないか?」

「悠斗が私の作った服を着てくれるのは嬉しいもの」


 セーラは頬を染めて微笑んだ。

 そんな顔されたら俺、もう一生セーラの作った服しか着ない。


「そっ……そうか。一つお願いがあるんだけど、いいかな……。その作業、俺の部屋でやってくれないか?」

「ミシンの音がうるさくないかしら?」

「構わないよ。もう少し二人でいられる時間を増やしたいんだ……」

「うん……。私も悠斗と、もっと一緒にいたいわ」


 見つめ合った俺とセーラ。

 しかし、その後どうしたら良いのかわからず、お互いに焦りまくった。






 翌日。

 俺はセーラが作ってくれた服を身にまとった。

 これは強化の刺繍をしていないので、誰の前で着ていても安心だ。

 彼女はそれも考えて、今日に間に合うよう急いで作ってくれたのだろう。

 いつもながら、セーラには世話になりっぱなしだ。


 準備を整え、俺とエミリーは昼前に村へと馬車で向かった。


 ディデリクさんたちは、馬車二台連ねてやってきた。

 後ろの馬車のほうが豪華なので、あちらに神聖魔法使いが乗っていると思われる。

 広場を回って村長の家の前で馬車は動きを止めた。


 御者が馬車のドアを開け、まず最初に出てきたのは双子のちびっ子たちだった。


「カイトおにいさま、ごきげんよう!」

「セーラあねうえ、おひさしぶりです!」


 お兄様?姉上?


「やぁ!二人も来てくれたんだな」

「まぁ!アルベールくんとリリアーヌちゃんね。今日もとても可愛いわ」


 来る予定ではなかった二人の名前まで把握しているとは、さすがエミリー。


 続いてディデリクさんが馬車から降りてきた。


「申し訳ありません、カイト様。二人がどうしてもついてきたいと言うもので」

「いえ、二人には本物のスライムをみせてあげたかったので、歓迎しますよ」

「そういっていただけるとありがたいです。セーラ様、ご体調はいかがですかな?」


 ディデリクさんはエミリーに視線を向け、顔色一つ変えずに微笑む。


「えぇ。もうすっかり良くなりましたわ。イーサ町ではカイトがお世話になりました」


 エミリーはまるでイーサ町に俺たちと行ってきたかの如く、自然にディデリクさんとの雑談を繰り広げる。うちのメイドすごすぎるぞ。


 後ろの馬車のドアも開き、セーラよりも少し若そうな女性が降りてきた。


「あれがうちの長女、アメリーヌでございます」


 ピンクの髪の毛に、エメラルド色の瞳。

 とても整った顔立ちで、セーラが世界一可愛いと表現するなら、彼女はこの国で五本の指に入る可愛さと言っても過言ではない美少女だ。

 体型はとてもスレンダーで、清々しいくらいに上半身がすっきりとしている。

 そのことについては人それぞれ好みがあると思うので、俺からはコメントを差し控えさせていただきたい。


 その美少女が優雅に俺たちのほうへ歩いてくる……、途中でつまずいた。

 顔を真っ赤にしたアメリーヌさんはその場でうつむいてしまった。


「すみません!舗装されていないド田舎なもので、歩きにくいでしょう?」


 慌ててフォローするが、ディデリクさんが苦笑する。


「カイト様、ご心配なさらずともうちの周りも舗装されていませんので」


 俺のフォローを打ち消した父親にめげることなく、準男爵令嬢はすぐに気持ちを立て直して微笑んだ。


「大変失礼いたしました。ブリルブレイユ家の長女アメリーヌでございます」


 ムーア商会の息子との婚約を破棄した令嬢とはどんな人物だろうかと思っていたが、思っていたより普通。っというか今のつまずきで、とても和んだ。


 挨拶を終えると馬車からもう一人、女性が出てきた。

 貴族ともなると、外にでて挨拶を待ったりはしないようだ。

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