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大好きなゲーム世界に転生出来たんだから、仲間とのんびり暮らしたい  作者: 廻り
第三章 エミジャ村の秋

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116 新築の羊舎

 広場まで行くと、近くの空き家前で薬草干しの作業をしていた村長を見つけることができた。

 村長にディデリクさんが来ることなどを話し、いつもはどうしているのかを聞いてみた。


「領主様がご訪問されるとは、驚きました。いつもはお昼ごろに徴税官と神聖魔法使い様が到着します。徴税と結界のかけ直しをしていただき、昼食後にはすぐに帰られますよ」

「随分とハードスケジュールなんですね」

「村はあちらこちらに点在しておりますから、村へ到着するたびに一泊していると時間がかかるそうですよ。最近は過疎化した村を町の近くへ移住させているようですが、ダンジョン近くの村は幸い存続が保証されております」

「へぇ。そんな取り決めがあるんですか」

「冒険者を減らさないためにも、ダンジョンは必要ですので」


 高ランクの冒険者は騎士団に召集されているから、ディデリクさんたち領主はなんとかダンジョンを維持して冒険者を増やしたいのかもしれない。


 とりあえず神聖魔法使いはすぐに帰るようなので、セーラと洋介は隠れていればなんとかなりそうだ。



 村長と別れて、広場中央の水場に繋いでおいた馬のところへ戻ると、そこにはレオくんとジェシーちゃんがいて、二人仲良く馬を眺めていた。


「あ!カイトさまたちだ!」

「皆様、こんにちは!」

「やぁ、こんにちは。二人とも馬が好きなのか?」

「洋介様が、いつも乗せてくれるのよ!」

「へぇ。洋介が……」


 大丈夫なのか?と疑問に思ったのは俺だけじゃなかったようだ。


「洋介、小さな子を乗せて怪我をさせていないでしょうね?」

「ゆっくり広場を一周しているだけですので、ご安心ください姉上」


 それを聞いて俺とセーラは顔を見合わせながらほっと息を吐いた。

 スピードさえださなければ、安全なはずだ。


「カイトさま!」

「ん?どうした?レオくん」

「おとうさんとおかあさん、かえってきたよ!ありがとう!」

「良かったな!これからは、ずっと村で暮らせるよ」


 レオくんは嬉しそうに手を上げた。

 そこには、リオさんが散々悩んでいたスライムヨーヨーが握られていた。

 これから毎日両親に甘えられるし、村で唯一の子供だったレオくんにもジェシーちゃんという遊び相手が戻った。彼にとっては良いこと尽くめのようだ。


「ジェシーちゃんはスライムヨーヨーを持っていないのかしら?」

「うん……。けど、たまにレオが貸してくれるわ」


 セーラがそう尋ねると、ジェシーちゃんは残念そうにそう答えた。

 あの時はまだお金に余裕がなくて、買ってもらえなかったようだ。


 スライムヨーヨーなら俺も一個買ったのでそれを渡そうかと思っていると、セーラはコレクションのスライムヨーヨーを各色取り出した。


「ジェシーちゃんに一つあげるわ。どの色がいいかしら?」

「わぁ……!本当にいいの?」


 セーラがうなずくと、ジェシーちゃんは「ママに聞いてくる!」と言って、薬草干しをしていたカーラさんの元へ走っていった。


「セーラ、コレクションが減っていいのか?俺のを渡したほうがいいんじゃないか?」

「私は一度揃えばじゅうぶん満足よ。あとは必要としている人に渡したほうが有効的だわ」


 セーラらしい考えだ。

 思えばコレクションのゲーム内アイテムも、俺たちのためにたくさん提供してくれていたんだよな。


「セーラのおかげで、これまで快適に暮らしてこられたよ。改めてありがとうな」

「ふふ、私のコレクションが役に立っているようで良かったわ」


 ジェシーちゃんにスライムヨーヨーを渡したあと、洋介はちびっ子たちを馬に乗せるというので、俺たちは家畜を見に行くことにした。


 村の奥の草原は、元々家畜の放牧場だったようだ。

 伸び放題だった草は綺麗に刈り取られ、今は牛と羊が放牧されている。

 刈り取られた草は家畜の餌にするためか、一ヶ所にまとめられていた。

 その手前に家畜舎が三つ建っていた。

 真新しい一つは、皆が建てた羊舎のようだ。


 何人かがその周りで仕事をしていたので、挨拶をして羊舎の中に入らせてもらった。


 羊舎の中は左に通路があり、右は柵に囲まれている。

 柵の中は藁が敷き詰められていて、これは家畜と一緒に運んでもらっていた藁だと思う。

 壁の上の方には、換気のための押し開き式の扉がついていて窓といえるものはそれしか無いが、それでも薄暗くないのは天井に見覚えのある灯りがついているからだ。

 どうやら洋介は、俺が購入して渡しておいた照明器具を、ここにも取り付けてくれたようだ。


「なかなか立派な作りですね」

「はい、洋介様が良い材木を提供してくれましたし、設計図通りに木材がカットされていて大工の父娘も驚いていましたよ」


 家畜農家の息子でジェシーちゃんのお父さんのアンディさんは、建設時の話をしてくれながら嬉しそうに羊舎の中を案内してくれる。


 洋介とセバスはチェーンソーでぶった切るだけで、必要サイズに木材をカットできる。

 それがなければ、一ヶ月では完成しなかっただろう。


「洋介はここでも頑張っていたようだな」

「ふふ、帰ったら褒めてあげなければ」


 セーラは弟の活躍が嬉しいようだ。


「それから、カイト様。親父が、羊の毛刈りはやはり秋に終わらせたいと言っているんです。春に毛刈りをすると、毛糸にするまでの作業をする暇がなくなると心配していて。親父が子供の頃は羊を飼っていたそうで、その頃は冬に糸を紡ぐ作業をしていたとか」


 俺も当初は冬の暇つぶしにと思っていたが、春だと逆に作業する時間がなくなってしまうのか。


「人間の都合を考えると、秋のほうが良いのか……。だが、羊に寒い思いをさせるのもなぁ……」

「カイト、羊にケープみたいなものを着せたらどうかしら。そういうのを見たことがあるわ」

「良い考えかもしれないな!セーラ、作ってくれるか?」

「えぇ。任せて!」


 今年はとりえず秋に毛刈りをして、セーラが作ってくれる羊用の服で様子を見ようということになった。


 移住者受け入れの準備に、毛刈りの準備、それから冬に向けての準備など。秋はいろいろと忙しいようだ。


誤字報告ありがとうございます!

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