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大好きなゲーム世界に転生出来たんだから、仲間とのんびり暮らしたい  作者: 廻り
第三章 エミジャ村の秋

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114 新たな朝

 翌朝はとても気分よく目覚めた。

 セーラと付き合って初めての朝。そう、まさに『新しい朝が来た』とはこういうことだ。俺の心は希望に満ち溢れている。


 幸せな気分のまま惰眠をむさぼりたいが、セーラが目覚める前に着替えなくては。

 彼氏が朝からだらしない恰好をしていたら、幻滅されてしまうかもしれない。

 いそいそと身支度を整えると、俺の彼女(・・・・)が部屋の出入り口から顔を覗かせた。


「おはよう、悠斗(はると)

「お……おはよう、夏帆(かほ)

「ふふ、なんだか照れるわね」


 セーラは頬を染めながら俺の部屋に入ってきた。朝からめちゃくちゃ可愛い。


 昨日のお茶会で、二人きりの時は本名で呼んでも良いと決めた。

 洋介も俺の本名は知っているので別に隠す必要もないが、単に本名呼びを聞かれるのが恥ずかしいだけだ。

 お互いのキャラ名も気に入っているので、強制はしない方向だ。


「今朝は俺たちが朝食当番だよな?一緒に行こうか」


 セーラは頷くと俺の手を握って微笑んだ。


 ――はぁぁ、幸せすぎる!


 今まで屋敷の中で手を繋いだことはなかったが、これからは堂々と手を繋いでいいんだよな。

 なんなら抱き寄せたって……いや、それはまだ早いか。

 急にべたべたして嫌がられたら、俺は死んでしまう。




 二人で厨房へ行くと、エミリーがすでに準備を始めていた。


「おはようございます!マスター、セーラ様。今朝は何をお作りいたしましょう?」


 セーラから当分の間、お菓子作りを禁止されたエミリーは素直に従っているようだ。


「そうねぇ、エミリーちゃんはフルーツと野菜のサラダをお願い」

「まぁ!フルーツは食べてもよろしいのですね!マスター、畑からいただいてもよろしいでしょうか?」

「あぁ、好きなだけ。と言いたいところだが、一個づつにしておけよ」

「かしこまりました!それでは、行ってまいります」


 イーサ町へ行く前に一通りの果樹を植えておいたので、今は選び放題となっている。


「大変!洋介を起こすのを忘れていたわ。カイト、悪いけれどお鍋を見ていて」

「あぁ。任せてくれ」


 さっきは二人でここへ来てしまったので、洋介を起こすのを忘れていたようだ。

 セーラはパタパタと厨房を出て行った。


 俺はポーチの中から、鳥つくねの材料を取り出した。

 今日はセバスとナッシュさんのお弁当も必要だから、その一品にも加えてもらう予定だ。


 昨日、ナッシュさんと話し合った結果、善は急げということで今日出発してくれることになった。

 セバスには一日しか休みをやれなくて申し訳ないが、彼自身は馬車の旅が気に入ったようだ。




 朝食を終えてから、俺たちは忙しなく準備を整えた。

 今回はセーラが持っていた幌付きの荷馬車を使う。十人くらい余裕で乗せられる大型の馬車だ。

 それに食料と煮炊き用の道具、毛布や着替えなんかを積み込んだ。


「これだけで結構な荷物ですね」

「そうだな、マジックポーチのありがたさを改めて感じるよ」


 この世界にはゲーム内にはなかった村もあり、彼らはその村出身らしい。

 イーサ町からは馬車でも一日半かかるそうで、野営道具は必須のようだ。

 旅人ならもっと少ない荷物で良いのだろうがセバスは人間初心者なので、必要そうなものはなんでも積み込んでみた。


 そのため、迎え入れる三人の荷物を運ぶためにもポーチは必要だろうという話になり、セバスとナッシュさんには冒険者登録もしてきてもらうことにした。

 リアムの記憶によると、冒険者登録は役場で書類手続きをするだけで良いらしい。

 昔は適正検査などがあったそうだが、今はポーチ目的の人が多いので緩和されたらしい。


「セバス、お金落とさないように気をつけるんだぞ」

「はい、マスター。ナッシュさんに教わり、腰に巻きつけました」


 大金を運ぶ時はそういうふうにするらしい。リアムも昔はそうしていたようだ。

 地球でいうと海外の危険な地域に行くときの感覚と同じだ。


 ナッシュさんは恐縮した様子で俺を見た。


「俺までポーチをいただくなんて、申し訳ないです」

「いずれは各家に一つは欲しいと思っていたんです。村長の家は宿屋の代わりもしてもらっていますし、食材保存にポーチはあったほうが便利でしょう?」

「最近は宿泊者もちらほら来るんで助かります」


 準備が整うと、二人は屋敷を出発した。

 帰ってくるのは一週間後くらいだろうか。それまでに三人が住む場所を整えておく予定だ。


 一応、家族も一緒に移住したい場合は受け入れることになっているが、逆のパターンもあり得る。

 彼らはお荷物になるから故郷に帰れないと言っていたが、意外と家族と対面したら受け入れてもらえるかもしれない。

 そうなればセバスとナッシュさんは徒労に終わるが、彼らのためにはそのほうが幸せだと思う。


「さて、僕は午後から村を見てきますね。お二人はまだゆっくりしていてください」

「あぁ。洋介、少し話があるんだがいいか?」

「そういえば、そんなことを言っていましたね。お昼までは特に用事はないので大丈夫ですよ」


 のんきな声で答えた洋介を連れて、俺たちは俺の部屋へと向かった。




「まぁ、座ってくれよ」

「広間で話せばいいのに。エミリー嬢には聞かれたくない話なんですか?」

「まぁ、いずれは話すが。まずは洋介だけと思ってな」


 俺の向かいに洋介が座り、セーラは洋介を気遣うように隣に座った。


「どうしたんです?姉上」

「大丈夫よ洋介。一瞬で終わるわ」

「え?なにか始まるんですか?」


 セーラの話によると、俺が今世の記憶を取り戻して苦しんだのは、ほんの一瞬だったらしい。

 その後ぽっくり倒れたようだが、セーラに呼ばれてすぐ目覚めたようだ。

 俺にとっては長い時間に思えたが、そうではなかったらしい。


「セーラ頼む」


 彼女は頷くと、洋介の手を取った。


「いくわよ、洋介」

「えっ?ちょっとまって!先に説明してよ姉さん!」


 洋介の訴えをスルーして、セーラはコホンと小さく咳ばらいをした。


「フェルナンド!お勉強ばかりしていないで、お庭で遊びましょう」


 どうやらこれは、セシリアの口真似のようだ。


 それを聞いた洋介は、うめき声を上げながらその場にうずくまった。


お金の表現方法を変えさせていただきました。


今まで…… 大金貨一枚 = 一万円相当

これから…… 一リル = 一円相当


この表現方法で第二章を改稿中です。



これまでのあらすじまで誤字報告いただけるとは!ほんと、頭が上がりません!いつもありがとうございます!

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