表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大好きなゲーム世界に転生出来たんだから、仲間とのんびり暮らしたい  作者: 廻り
第二章 イーサ町

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/173

110 エミジャ村へ到着

 イーサ町の北ゲートを抜け森に入ると、馬車は一気に大空へ上昇した。

 セバスの操縦は素晴らしく、熟練のパイロットのような安定感で飛行した。


 セーラも今回は安心した様子で乗っているのは良かったが、抱きついてもらえないのが少し残念だ。

 毎回抱きついてもらえる期待をしていたが、あれはあの時だけの奇跡だったようだ。


「ところで洋介、手紙に大切な話があると書いてあったが、村で何かあったのか?」

「村は問題ありませんが、屋敷が少々……。僕達、お二人がいないとダメなようです……」


 セーラと再会した時にも似たようなことを言っていたが、単に寂しかったという意味では無かったのか。


「洋介については想像がつくわ。寝たいだけ寝て、規則正しい生活が出来なかったのでしょう?」


 セーラがため息交じりにそう言うと、洋介は照れ笑いしながら頷いた。


「ははは。情けないことに、姉上のご想像通りです。一日三十時間ペースで過ごしていました」

「おいおい……、それで村の指揮は取れていたのかよ……」

「昼間に起きれない日はセバス殿に指示しておいたので、その辺りは滞りなく作業が進みました」


 セーラでなくては起こせないというのは、ネタではなかったようだな……。


「なぁ……、洋介が大学に入るまでは別々に暮らしていたんだろう?それまではどうしていたんだよ」

「それはもちろん……」

「私が電話で起こしていたわ」

「筋金入りだな……」


 毎日セーラからのモーニングコールなんて、羨ま……しくないか。起こし方的に。


「セバスは察しがつく。俺が渡したメモのメニューしか食べなかったんだろう?」

「まさにその通りで、途中で材料が切れた時はマスターの指示を遂行出来ないと泣かれました」

「すまん……。そこまで頭が回っていなかったよ」


 洋介が村へ帰る時は、セーラの事で頭がいっぱいだったから、セバスとエミリーのことまで考えてやれなかった。

 日常生活の知識に乏しい二人と暮らすのは、大変だったかもしれない。


「エミリーちゃんは、臨機応変に自分で行動できるわよね?」

「それこそ、ご相談したかった案件です。あの臨機応変さには、僕もお手上げです……」

「どういうことだ?」

「彼女、スイーツが大好きじゃないですか。栄養が偏るといけないと思い、何とか他の物も食べさせようとしたのですが、上手く交わされ完敗しました」

「もしかして、三十日以上スイーツしか食べていないのか?」

「その通りです」

「それは、大変だわ。きっと体に支障が出ているはずよ」

「そうなんです……。姉上はうまく他の物も食べさせていましたよね。帰ったらなんとかしてあげてください」

「そうね、同じ見た目同士ですもの。何とかしてみせるわ」


 そういえばエミリーは、セーラの言う事は素直に聞くんだよな。

 セバスも俺の指示を最優先にしているようだし、NPCにも好みがあったのかもしれない。

 あくまで信頼度としての意味だが。

 



 空がオレンジ色に染まり始めた頃、俺たちは無事にエミジャ村の手前までたどり着いた。

 馬車が着陸し少し進むと、村を囲っている柵が見えてきた。


「お!柵が綺麗に直っているな」

「はい、この辺りが荒れたままだと訪問者ががっかりするでしょうから、早めに直しておきました」


 俺たちが村を出る前は、あちこち壊れて朽ち果てるのも時間の問題のような状態だったが、今は真新しい丸太で作られた柵で綺麗に囲われている。


「訪問者といっても、郵便の配達員くらいだろう?」

「それが、そうでもないんですよ。女性グループの訪問が二回と、冒険者の訪問が一回ありましたよ」

「洋介、遊びに来てと宣伝していたものね」

「ははは、まさかこんなに早く来るとは思いませんでしたけどね」


 確かに、こんなド田舎まで本当に会いに来るとは思わなかった。よほど洋介のことが気に入ったんだな。

 本人はまだ知らないが、恐るべしリアル王子……。


「冒険者は何をしに来たんだ?」

「商会に売ったスライムの皮がお祭りの露店で売られていたそうで、それを見て懐かしくなって来てみたそうですよ」

「へぇ。意外なところで宣伝効果があったんだな」


 スライムの皮の値段を見れば、穴場と思う人はいるかもしれない。

 そういう人が増えれば、宿屋とかも再開できるんだけどなぁ。 


 そんな話をしているうちに、馬車は村の広場へ到着した。

 広場には村人全員が集まっているようだ。どうやら俺達の帰りを待っていてくれたらしい。

 出稼ぎに行っていた人達も戻ってきたので、村の人口が一気に増え賑やかな雰囲気だ。


「皆さん、ただいま戻りました!」


 俺たちが馬車から降りると、わー!っと歓声が上がった。

 最近どこへ行っても大歓迎されてしまうが、ここでの歓迎はほっと安心できる。

 やっと自分たちの居場所に帰って来られたような気分だ。


「カイト様セーラ様、おかえりなさいませ。セーラ様、ご体調はいかがですか?」


 代表して村長がそう述べると、セーラは柔らかく微笑んだ。


「この通り、すっかり元気になりました。皆さんには心配をかけてしまったわ、ごめんなさい」

「とんでもございません。お二人が戻られた時に再生した村を見て頂こうと皆、張り切って作業をしておりました。ご体調が整われましたら、ごゆっくりご見学くださいませ」

「ふふ、楽しみにしています」

「そうだな。村を見て回るのは後日にして、今日は休ませてもらおうか」


 ヒールで体は回復したとはいえ、いろいろな事があったから精神的に疲れたはずだ。

 あまり無理をさせるなと医師にも言われているので、数日はゆっくり休ませたい。


 挨拶を終え、俺たちは再び馬車に乗り屋敷へと戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ