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大好きなゲーム世界に転生出来たんだから、仲間とのんびり暮らしたい  作者: 廻り
第二章 イーサ町

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108 三人の王妃

 二人きりの生活も今夜で最後だ。


 夕食を済ませた後、俺はセーラに今世の記憶について話してみることにした。


 夢だと思っていた彼女は俺の話を聞いて初めは驚いていたが、俺の話す内容とセーラの夢の内容がほぼ一致したようなので納得してくれたみたいだ。


「そう……。私達、駆け落ちの途中だったのね」

「そのようだな。俺達、今まで無防備に振舞いすぎたが、ここが国境と正反対の位置だったのが幸いしたようだ」


 これより北に国はない。

 捜索は国境付近に集中していたようだから、リアム達もこの辺りに潜伏していたのだろう。

 俺達が転生するまでの数か月間は、どうやらあのダンジョンに隠れ住んでいたらしい。

 

「私の……セシリアの記憶だと、国王に暗殺されたと思っているようだけれど、実際はどうなのかしら」

「それは違うな。リアムの記憶によると、毒を放ったのは第三妃の手の者らしい。第三妃はリアム達の駆け落ちを手助けしたようだが、半年経っても国外へ出られずにいた三人を切り捨てたんじゃないかな」


 国王には三人の妃がいる。

 正妃は、第一王子の母親。

 第二妃は、第一王女セシリア――つまりセーラと、第二王子である洋介の母親。

 第三妃は、第二王女の母親だ。


 第二妃には他にも小さい子供がいるようだ。

 洋介がリアル王子だったのも衝撃だが、今はとりあえず妃の話だ。


 正妃は跡取りを産み、第二妃は隣国に嫁ぐ王女を産んだ。だが、第三妃には妃としての功績が何も無かった。

 第一王女と第二王女は半年違いで生まれたため、尚更悔しい思いをしていたようだ。


 それは第二王女も同じで、慕っている隣国の王子の元へ嫁ぐ権利を、半年先に生まれた姉に奪われたのを恨んでいたようだ。


 セシリアがオーガに襲われた状況は、不自然な点があった。

 ゲーム内でオーガは通常、オーガ数体の他にゴブリンを従えて現れる。それはこの世界でも同じようだが、セシリアが襲われた時はオーガのみの群れで、明らかに不自然だった。


 それを国王に報告したリアムは、国王から調査を依頼され首謀者が第三妃だと突き止めた。

 リアムは国王にそう伝えるが、国王は公爵家の娘である第三妃を処分することが出来なかった。


 なんとかセシリアが成人するまで守ってくれと懇願されリアムは騎士団に入るが、これによってセシリアとリアムの距離を縮めてしまったと、国王はだいぶ後に気が付く。


 アークドラゴンを打ち滅ぼした褒賞にセシリアを要求したリアムに頭を抱えた国王は、第二王女を差し出し全てを収めようと図った。


 リアムを第二王女の婚約者に据えれば、近くで第三妃親子を監視できる。

 愛するセシリアのためなら、貴族として騎士として役目を果たしてくれるだろうと国王は思ったのだろうが、リアムは貴族の型にはまるような男ではなかった。


 第三妃親子と利害が一致したリアムは、駆け落ちの計画に第三妃を引き込んだ。


 第三妃の協力のおかげで三人は王都からは楽に脱出できたが、旅慣れない二人を連れて国境まで向かうのは容易ではなかった。


 結局、国境にたどり着いた時にはすでに検問がはじまっていたようだ。


 森を抜け国を超える方法も考えたが、出国許可書がなければ他国ではすぐに捕まると、情報収集を請け負っていた第二王子に止められた。

 仕方なく三人は、捜索が打ち切られるまで潜伏することを選んだ。


 あの日は、食糧調達でエミジャ村へ行く予定だったようだ。

 怪しまれないよう、冒険者を始めたばかりの者が身に付ける装備に着替え、久しぶりにダンジョンを出たところを狙われてしまった。

 ダンジョンへ逃げ込もうとしたが、初めに第二王子が毒を受け倒れた。

 助けようとするセシリアを抱え上げリアムは走ったが彼も毒を受けてしまい、セシリアだけでもと逃げるよう促したが、結局は彼女も毒で倒れてしまった。


『とどめは刺さなくていいのか?』

『痛みなく殺せというのが、あの方からの指示だ。この毒は耐性が十割の伝説級のスキルでもなければ回避は不可能だ。毒が消えた後はスライムが跡形もなく溶かしてくれるさ。村人に見つかる前にずらかるぞ』


 第三妃の恩情というべきか、武器でとどめを刺されなかった事。そして俺達にはその伝説級のスキル毒耐性100%があったおかげで、この体に転生が成功したようだ。

 SSランクのスキルが残っていなければ、転生した瞬間に終了だったのかもしれない。


「カイト……私達、これからどうしたら良いのかしら……」


 セーラは不安そうに俺を見た。

 俺としては他国の王子なんかにセーラを渡したくないが、俺達は今のところ駆け落ちするような関係ではない。

 セーラが王女としての人生を選びたいなら、城に帰るべきなのだろうか……。 


「セーラはどうしたい?」

「私は城に戻って隣国の王子と結婚なんて嫌だわ。カイトとずっと一緒にいたいもの……」


 セーラは真面目だから、自分の役割を全うする方を選ぶ可能性も考えたが、すぐにそう言ってくれてとても嬉しい。


「俺もセーラとずっと一緒にいたいよ。もちろん洋介もな」

「ふふ、洋介は離れてと言っても付いて来るわ」

「あいつは、相当なシスコンだしな……」


 そうなると、選択肢は一つだ。

 ただ、ずっと隠れ住むのは難しい気がする。

 村のためには人口を増やしたいが、俺達が見つかるリスクも高まってしまう。

 すでにこの町で目立ちすぎてしまったし、これからどうしたものか。


 それにしても、俺の恋はまた難易度が上がったように思うのは気のせいだろうか。


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