ペーーーーット!!
出落ちには……させない!
川原の傍で女騎士を拾った。まだ小さな女騎士は抱き上げると軽く、まともに食べていない様子が見て取れた。
「ダ メ で す ! ウチでは女騎士は飼えません! 捨ててらっしゃいな!」
母は僕と女騎士を見るなり一蹴。僕は仕方なく近くの公園で女騎士を飼うことにした。
「ゴメンよ、今日からココが君のお家だよ」
段ボールで拵えた簡素な家。雨風を凌げるように傘も取り付けた。
―――んほぉぉ……
女騎士は出来たての段ボールハウスで僕があげた食パンをかじっている。
正直、友達の家で血統書付きの女騎士を見たとき僕の中に嫉妬や羨ましさが無かったとは言えない……でも、だから君を拾った訳じゃ無いんだ。ただ、ボロボロになった君が……何となく僕に似ているような気がして…………
「また明日ね」
―――ひぎぃぃ……
女騎士は寂しそうな声で小さく鳴いた。僕は振り返らないようにそのまま走って帰った。
「ちゃんと捨ててきたの?」
「う、うん……」
「女騎士ときたら飯は食うわ、出す物出すわ、誇り高いわすぐ堕ちるわそのくせ頑固で意地っ張りで、気が付くとすぐアヘるから私嫌いなのよ!」
「…………」
どうやら母さんは女騎士が相当嫌いみたいだ。僕はその日、こっそりご飯を少し自分の部屋に持ち帰った。明日、女騎士にあげよう……。
次の日、朝早く公園へ行くとそこには段ボールハウスは無く、女騎士の姿も無かった。
* 女騎士を捨てないで下さい *
代わりに貼られた張り紙を見て僕は全てを悟った。捨て女騎士は何処でも酷い扱いを受けているのか…………
僕は女騎士を拾った川原の傍へと走った! するとそこには大きな檻を積んだ車が止まっており、複数の大人が女騎士を捕まえていた!
「待って!! その女騎士は僕の大事な―――!!」
「ん? 近隣の住民から通報を受けてね。食べ物を荒らす女騎士が居るから保健所に連れて行くんだが……この女騎士は君が飼うのかい?」
「……で、出来れば飼いたいのですが」
「ご両親は?」
「……反対されました」
「この女騎士は予防注射も受けていない。快楽堕ちの予防注射、二コマ堕ちの予防注射、負けフラグの予防注射、アヘ顔の予防注射、それから避妊手術もだ……少なくても20万以上は掛かるぞ? 君一人で払えるのかい?」
「えっ!? そ……そんなに…………」
僕は絶句した。女騎士を飼うのにそんなにお金が掛かるなんて知らなかったのだ。僕は悲しそうにこちらを見つめる女騎士を直視する事が出来なかった……
「現実は悲しいもんだ。オジサンも出来ればこの女騎士を君に託したい………ゴメンな。大人になったらいっぱい可愛がってあげてくれな」
檻に入れられ連れて行かれる女騎士。僕は走り去る車を呆然と見つめるしか出来なかった。
女騎士を飼える大人になっても、もうあの女騎士は居ない事くらい僕は知っている。だから……今飼いたいんだ。
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