第001話 富士の戦いの2年前、平凡な日常
女子生徒A:「あっ、カイト君よ♪」
女子生徒B:「成績優秀、スポーツ万能、おまけに実家はお医者さん!」
女子生徒A:「お兄さんもお医者さんらしいよ」
女子生徒C:「お嫁さんにしてくれないかなぁ~」
校内の廊下を歩いていると、どこかしらと噂話を耳にする。
僕は海南高校2年のカイト。
去年、高1ながら全国高等学校剣道大会で個人3位を取り、そこから異常に周りの扱いが変わった様に思える。
剣道は小学校低学年の頃から初め、今では高2で3段の腕前である。
今年は全国優勝も不可能ではないと皆が口を揃えて言う。
女子生徒D:「あの、カイト君。良かったら付合って下さい」
同級生の子かぁ。名前なんだったっけ?
カイト:「あの僕、剣道の練習と勉強で忙しいし、君の事あまり知らないので、、、ごめん」
女子生徒D:「そ、そうよね。ごめんね」
女子生徒は走り去って行った。
めぐみ:「カイトおっはよー!」
後ろから幼馴染のめぐみがカバンをぶつけてくる。
カイト:「痛っ!!めぐみ何すんだよ!」
めぐみ:「か弱き乙女を泣かせちゃいかんぞ!」
カイト:「見てたのかよ」
めぐみ:「モチのロンよ!」
カイト:「ダッサ。(笑)死語だろそれ」
めぐみ:「何を!」
同級生さとみ:「朝から夫婦喧嘩ですかぁ~?犬も食わぬぞぉー」
めぐみ:「さとみ聞いてよー。こいつがさー」
カイト:「お前から絡んで来たんだろ」
さとみ:「はい、はい。夫婦共、その続きは家でやれー」
めぐみ:「さとみー(怒)」
さとみとめぐみは仲が良い。
僕も含め、3人共同じクラスの2年A組である。
タカヒデ:「気に入らね」
ヒロシ:「アイツのせいで俺達3年が大会に出れねえし」
タカヒデ:「なぁ、1回絞めるか」
ヒロシ:「そうだな、気に食わなねぇって思ってるヤツ数人いるよ」
タカヒデ、ヒロシは剣道部の先輩で2人共団体戦では補欠である。
校内では少し評判が悪い。
逆に人気のあるカイトの事を気に要らない連中もいるようだ。
タカヒデ:「なぁカイト」
カイト:「先輩、何ですか?」
タカヒデ:「今日、練習終わってから話しあっから屋上に来てくんないかな?」
カイト:「はい、分かりました」
"キーンコーンカーンコーン"
チャイムが鳴る。
カイト:「教室に行きますね」
タカヒデ:「あぁ」
カイトは教室に向かった。
タカヒデ:「ヒロシ、今日"あいつら"を集めとけ」
ヒロシ:「剣道部とは関係無いぜ?」
タカヒデ:「カイトの事を気に要ら無い連中なら誰でもいい」
ヒロシ:「了解。」
~ 放課後、剣道場 ~
顧問:「地稽古始め!」
カイトとタカヒデが地稽古を始めた。
タカヒデ:「ヤァー!」
カイト:「ヤァ!」
カイトが打ち込む。
竹刀の軌道はタカヒデの右胴に来る!
タカヒデ:"させるか!"
タカヒデが右胴を防ぎに行く。
次の瞬間!
カイト:「面ー!!」
カイトがタカヒデの面を取り後ろに抜けて行った。
顧問:「一本!!」
女子生徒数名:「キャー!」
女子生徒数名:「カッコイイ!!」
練習を観に来ていた女子生徒から黄色い声援が飛び交う。
タカヒデ:「くそ、全く見えなかった」
タカヒデは胴を防ぎに行ったが、カイトが瞬時に軌道を変え面を取った。
タカヒデ:「恥をかかせやがって!」
ヒロシ:「今日、あいつに勝てるか?」
タカヒデ:「あ゛ぁ゛!?」
タカヒデ:「人数いれば楽勝っしょ?」
タカヒデ:「マジ、気に要らねぇ」
~ 練習後、屋上にて ~
カイト:「お疲れ様です!」
タカヒデ:「おう!」
タカヒデとヒロシが待っている中カイトが屋上にあらわれた。
カイト:「先輩、話しって何ですか?」
タカヒデ:「あぁ、お前ら2年来年もあるから団体辞退してくんないかな?」
カイト:「え?何言ってるんですか?」
カイト:「強い人が出るのが当たり前でしょ?」
タカヒデ:「強い人か・・・」
タカヒデ:「みんなー、出て来い」
物陰から数十人出て来た。
タカヒデ:「目障りなんだよ」