表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

真っ赤な心臓

作者: 高木和久

心電図は三拍子だ。

パン、ポン、ポン

生きている音だ


八十二年目の春、その心臓はとこの上に眠っていた

寂しそうだった

部屋の中はVacancy(ウ゛ャカンシー)



やがて一人入ってきた。

心電図が波打つ

そわそわと動き、右手に握られたハンカチが揺れる

夕陽がこの部屋を染める



もう一人入って来た

白い服を着ていた。厚い眼鏡を付けていた。

日焼けした手がカーテンを閉めた


最後に彼自身がやって来た。

涙を浮かべていた

今まで頑張った『ぼく』にお礼を言いに来たと言っていた



世界がまた始まる気がした

八十二年間動き続けた真っ赤な心臓が証言する

一時のまどろみのあと、世界にまた朝が訪れる


彼が証言台から去ると、部屋の中が静かになった

真っ赤な心臓よ 静かに眠れ

真っ赤な心臓よ 今宵の寝床は決まったか

心臓図はただ黙って、傍観していた





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ