#08廃材の蛇口
「いやー、面白かったね! 雫ちゃん!」
笑い過ぎた時の涙を拭いながら言う大先生。
コイツら..絶対にKO☆RO☆SI☆TE☆YA☆RU
おい、3日目でこの仕打ち。この拷問。耐えられっかよ…。
あの時の俺の気持ち返せ。しかも大先生、初対面の相手にドッキリ仕掛けるって胆力ヤバス。
「なかなかの出来だったわよ」
あーコイツはもうダメダ。 頭おかしい。まず言葉のチョイスに悪意を感じる。
「ありがとうございます…。お嬢様…。」
何でお礼なんてしちゃったんだろう…。体が覚えてしまったのか…。
よし。じゃあこれからは絶対にお礼なんかしないぞ!!
「良い引っ掛かり方だったわよ。」
「は、はい。」
よしセーフ。
「引っ掛かった後、とても面白い顔をしてたわよ。」
「は、は、はい、いっ、ありっ」
あっぶね~。オワタと思った。冷や汗が体中から湧き出ているのを感じる。
と、取り敢えず水を飲もう。 そう思い近くにあった蛇口を捻ると...スカッスカッと、どんなにまわしても いつまでも空回りしている。
あれっ、水出ないなぁ…。 どうしたんだろうと思って蛇口を上向きにして覗きこんだ瞬間……!
ブッシャァァァァァァ―!!
とはならなかった。 お決まりだろ!?おい、空気読めや蛇口!!
「…やっぱりススムくん、面白いわね…」
ヒーフー言いながら喋りかけてくる雫。
「ちゃんと息整えてから話せ、廃材お嬢。」
え? しまった、思った事が口に出ちゃった...。 ヤバいヤバいこれはヤバい。
「何だって…?」
ゴゴゴゴゴとものすごい気を発しながら大先生がゆっくりそっと1文字1文字はっきりと語りかけてきた。
えぇぇぇぇえ?! 何でお前がキレてんだァァァァァ!!??
まさかの雫リスペクトか...?
「ありがとー!ススムくん!」
へ? まさかコイツバカなのか? いや疑問文じゃない肯定文だ……。
正しくは
コイツバカだ……。
となったはずだ。
「何が……?」
「だって今私の事「廃材お嬢」って呼んでくれたでしょっ!」
おい待て。お前に向けて言った訳でもないし、その文全体的に見てみろ。
「ハァ…ハァ…。」
え?何? 何で大先生息荒くなってんの?
「もっともっと罵って…?」
はい。ありがとうございました。