No 05 冤罪
いつも通りの粗末な夕食を済ませた後、俺はいつも通り態度の悪いクソメイドを通して呼び出しがかけられた。
呼び出された場所は異世界召喚された広間だ。俺が入るとそこにはすでに勇者の7人がそろっていた。
全員、俺とは違い高価そうな服を着用している。俺の服は安物ぽくって、使いまわされてボロくなっているものだ。
まぁそれは今更だしどうだって良い。
気になったのはその中の1人がうずくまって泣いていたことだ。確か名前は岸香だったか。どうして泣いているのだろうか。
まぁなんにせよ、ざまあぁぁ!!
俺が最後の1人として合流すると、衛兵らしき奴が事の説明を始めた。
簡単に言ってしまえばそこでうずくまって泣いているビッチが誰かにレイプされたらしい。
・・・何というか・・・・ははっ・・・ざまあああああ(笑)(笑)(笑)!!!
俺が内心で大爆笑している間にも衛兵の話は進んでいく。
まぁ要は犯人捜しをしたいわけだ。
だけど、それにしては少しおかしな気がする。集められたのは勇者達のみ。他にこの場にいるのは衛兵だけだ。これじゃあまるで犯人が勇者の中にいるみたいだ。
まぁ俺には関係ないし、興味も無い。どうでも良いから早く部屋に戻って寝たい・・・。
欠伸を噛み殺しながら立っていると、突然周りが静まり返った。
ほぼ反射的に視線を岸の方に向けると、岸は俺を指をさして睨みつけてきていた。
そして広場が静まり返る中、爆弾を投下しやがった。
「こいつです!こいつに犯られました!!」
・・・・・・・はぁっ!?
「いや待ってお前何言ってんの?今日は今まで部屋から出てないんだけ・・ど・・・」
弁解の途中で気が付いた。気が付いてしまった。
樋口達は一様にニヤけながら俺を眺めている。それはもう本当に楽しそうに。仲間がレイプされて喜ぶやつなんてそうそういやしない。こいつらは岸がレイプなんてされてないことを知っているんだ。
要するに樋口達は俺を強姦に仕立て上げようとしているわけだ。
そこまで思考がたどり着くと同時に、感情が抑える暇もなく爆発した。
「ふざけんじゃねえよ!!普通そこまでするか!?俺が何したってんだよ!?あぁ!?ぶち殺すぞクソ野郎!!」
声を荒げたのは一体いつ以来だろうか。感情のコントロールが効かない。無駄だと分かっているはずなのに、身体が、心が、勝手に喚き狂う
「はぁ?何言ってんだお前?黙れよ強姦魔が、よ!」
「ぐぅっ!?」
必死に喚くも意味なく、いつも通り殴られる。樋口の顔はいつもよりも愉快そうに歪んでいる。俺の反応を喜んでいるんだ。
「おい皆ぁ!こいつ捕まえるぞ!」
ふざけんな何が捕まえる「ぐはっ」だ。よってたかって「ぅぐっ」殴ってるだけじゃ「おぇっ」ねぇか・・・よ・・・・・。
そこからはいつも通り、俺は飽きるまで樋口達に殴られ、蹴られ続けた。
しばらくして飽きたのか俺は衛兵に引き渡された。ふざけんなよ衛兵供・・・今の暴行全無視かよ・・・止めろよな・・・。
「貴様を連行する。」
衛兵が俺を取り押さえる。
ははっ・・・マジかよ・・・また俺が悪いのかよ・・・何だよそれ・・・どうして・・・どうしてだよ・・・なんで・・・なんでだよ・・・!なんなんだよ!!
「ふっざけんな!!俺は犯ってねぇ!!俺は今日ずっと部屋にいたんだ!!大体、無能の俺が他の勇者相手にそんなことできるわけねぇだろうが!!分かるだろそんくらい!!分かれよ!!なあ!?おい!!聞こえてんのか!?聞けよ!!!」
「・・・黙れ。」
・・・・・・あぁ・・・そうか・・・そうかよ・・・衛兵、お前らもグルか・・・。
俺は衛兵達に取り押さえられたまま、広間の外に向けて引きづられていく。
樋口達は俺を嘲笑う。笑っている。俺が理不尽に引きづられていく様を、苦しむ様を、心底愉しんでいる。
「死ね!!お前ら全員死んじまえ!!地獄に堕ちろ!!・・ッ・・・ぁぁぁあああああああ!!!!!ざっけんなあああ!!!!!!」
「はははっ!じゃあな強姦魔さんよお!!地獄に堕ちるのは、お前だ(笑)」
・・・・・なんだよこれ・・・ほんとに俺が何したってんだよ・・・。何が異世界転生だ・・・ほんとふざけんな・・・ふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんな!!!!!
・・・本当に、全部消えろ。消えちまえ。
読んで下さっている方がいましたら感想もらえるととても嬉しいです(`_´)ゞ
面白くなくても、どんなところを直せば良くなるか等、アドバイス的なのもらえると嬉しいです^_^