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No 04 変わらぬ無力


俺が自分の無能を突きつけられてから10日が経った。



俺は今、王宮内の図書館で本を読んでいる。



現在の時刻午後2時。



一応勇者である俺は本来であるならば、この時間は戦闘の訓練を受けなければならないのだが、無能は邪魔だ、という酷い理由で教官(?)に訓練から弾き出されたのだ。



俺を外すにしてももう少し言葉をオブラートに包むべきではないだろうか。



樋口達にはヘラヘラと気色の悪い笑みを浮かべてご機嫌とってるくせに・・・。



まぁ何にせよ、マジでクズばっかだ!!



そうなると、特にやることもないし、一応この世界の常識くらいは分かるようになることを目標に本を読み漁るようになったわけだ。



とはいえ、クソ王様が話していたこと以外で分かったことといえば、魔族と戦争をしているから協力してはいるが、人間の領土内の6つの国同士もあまり仲がよろしくないってことくらいだ。



特に、ペスリィトという国は6ヶ国の中で1番嫌われているらしい。領土は1番狭く、1番貧しい国だ。



国を治めているのは、リーシャという姫様らしいのだが、その姫様がとても破天荒で、自国の民には好かれているが、他の国の王族達にはかなり疎まれているらしい。



元々リーシャ姫さんは傭兵団の団長だったらしく、それが何だかんだいろいろあって国が出来あがり、そのまま国姫様として国を治めることになったようだ。



そもそも勝手に出来た国で、姫は王族でも何でもない。そんなどうでも良い理由で嫌われているらしい。



俺には関係ないし正直どうでも良いけど。



一応魔族についても調べてみたけど、どの本も魔族について詳しく書かれていてるものは無く、非常に残虐だとか、醜いだとか、まぁとりあえず魔族クズって事しか書いてない。



まるで日本人について書いてある◯朝鮮の教科書だ。



正直全く参考にならない。




閑話休題いちおうほんよみました




本を読み始めてから暫く、首が痛くなり、顔を上げると外はすでに日が沈み暗くなっていた。



俺は本を掴み、元の棚に戻そうと立ち上がった。



その瞬間、突然に後ろから衝撃を受け、俺は本を落としてしまった。



自分の顔が不快で歪むのを自覚しながら振り向くと、思った通りの顔ぶれがニヤけながら立っていた。



立っていたのは勇者(笑)達。異世界召喚以来、てかもっと前からだが、何かとちょっかいをかけてくるのだ。



こいつら、勇者のくせして暇すぎだろ・・・。それともあれか?やっぱこいつら俺のこと好きなの?



「おい相沢〜、お前何してんの?」



・・・見りゃ分かんだろうが。



「てかさ〜、あんたなんで訓練サボってんの?」



サボってない、追い出されたんだよ。



「そんなんじゃすぐ死んじゃうよ笑」



ご忠告ありがとうございます。俺は戦場に出る気ないから。お前がすぐに死ね。



「相沢が死ぬと悲しいからさ〜、俺らで特訓してやるべ!!」



余計なお世話だ。



「それ良いじゃん!私らめっちゃ優しくない?」



・・・優しさとは。



「そういう事だからさ、相沢ぁ、感謝しろよ?」



「・・・いや、遠慮しとく。」



無駄と分かりつつも断ってみる。



「あぁ?いいからお前は黙ってついてくれば良いんだ、よ!」



「ぐっ・・・!」



そう言って、俺の腹を殴る樋口。樋口達の暴力にはもはやなんの躊躇もない。毎度毎度殴られていては溜まったもんじゃないが、下手に抵抗することも出来ない。



力関係は元の世界と何も変わらず、いや寧ろ樋口達が強くなっただけだ。結局、俺には諦めて耐える以外に選択肢が無い。




結局人気の場所に連行され、いつも通り、元の世界と変わらないリンチが始まった。



殴られ、蹴られ、倒され、転がされ、踏まれる。



特訓とは名ばかりのリンチが続く。俺は痛みに耐えながら何故俺だけが弱いのかと、自分の無力さに思わず泣きそうになる。



異世界に来て、俺は期待したんだ。ここでならもしかしたらって・・・。なのに、俺だけが無能って何だよそれ・・・。ふざけんな・・・ほんとふざけんなよ・・・・・。




閑話休題たくさんころがされました




「ッ!・・・。」



リンチが終わり樋口達が去った後、立ち上がろうと身体に力を入れると、痛みが走った。いつもよりも酷くやられたみたいだ。



ここが日本じゃない分、俺をいたぶっても咎められることが無さそうだからか。



異世界に来て、俺の問題いじめは解消どころか悪化してるみたいだ。



まさか、異世界転移なんて妄想が本当に実現して、それですら況変わらず、どころか悪化とか。もはや笑えてくる。




・・・異世界に来てもクズばっかとか、俺以外全部消えろマジ。

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