私の考えた“悪ゾン”と“ななるゾン” 山田Ver
5/7 誤字修正
2017/5/27 誤字と、課長のセリフを『』に変更、程度の修正
「はっはい。私の考えた“悪ゾン”は以下の通りです。シナリオは次ページで説明します」
・感染原因 神罰。人類を抹殺するため
・感染手段 血を吸われたら
・感染先 人のみ
・五感 五感は全て有効
・襲う相手 人のみ
・エネルギー 血と人肉と霊的なもの
・ステータス すべてにおいて強化、知識や記憶は生前と同じ。傷を負っても超回復する。血の渇きにより人を襲わずにはいられない。上位は魅了のスキル、支配のスキル、変身のスキルを有する
・寿命 上位には無し。下位は百年程度。ただし両方ともに飢え死にあり
・弱点 紫外線に弱いが死ぬほどではない、日中も活動可能。銀製の武器で心臓を傷つけられたら、頭部を破壊されたら。拳銃数発位では回復してしまう
シナリオ
人類の愚かさに絶望した神が、すべてをやり直すために人類を抹殺する計画を立案。以前も利用したことがある吸血鬼を復活。
復活した吸血鬼は、浮浪者を襲い仲間を増やす。ある程度増えたら餌と仲間を手に入れるため、夜の街に繰り出す。いくつかの街で仲間が増えたら、メディアや企業のお偉いさん、政府各機関の人を魅了して、仲間と餌を定期的に確保し、おかしなニュースが巷に流れないようにする。
ある程度まで政府に入り込んだら、政府要人を操り国を支配する。日本が支配出来たら、アメリカ、ロシア、韓国、北朝鮮、中国、と範囲を増やしながら世界を制覇していきます。
最終的には、吸血鬼の存在がバレますが、どうすることも出来ず、ほぼ吸血鬼が支配する世界になります。
吸血鬼になっても、人が愚かなのは変わりが無いため、神の怒りに触れて、地球上の全生物が死に絶えます。吸血鬼も人がいなくなったので餓死します。
「以上がシナリオになります」
『山田さん。えーと、どういっていいかあれなんだけど、これ吸血鬼ですよね? ゾンビなの?』
どこからツッコんでいいのか分らんけど、これは言っとかないとな。
「はっはい、吸血鬼です。吸血鬼になると人としては死にます。死んだのに動き回っているのでゾンビです」
『まぁ確かに、ゾンビの定義は死んでいるのに動き回るだったものね。うん』
『設定にケチをつける訳では無いのですが、宗教色はあまりだしたくありません。一体どこの神様なのとか、他の神様も認めてくれる人達だったらいいのですけど、神様は私たちが信じている神様だけで他にはいません。とか、私たちの神様はそんなことしません。とか、ややこしい話になるかも知れないので。
私は宗教を否定するつもりは無いんですが、でもなんか言われたら困るのでね』
「そっそうなんですね。すみません。次は気を付けます」
「えーと、吸血鬼になっても頭の良さが残ると、良心というか、そういうのが邪魔して増えないとか、自殺するとかはあり得るの?」
日笠君からも質問が出た。
「はっはい。中にはそのような人もいるかも知れませんが、大体の人は血の渇きによって襲います。それに家族も仲間にしてしまえば、食料には成らないので逆に安全かなと」
『私からも質問。血だけじゃなくて、肉と霊的なものとありましたが、どういう事でしょうか?』
霊的ってなんだよ。
「はっはい。赤十字のホームページで確認したところ、人間の血液の量は、体重の約13分の1だそうです。栄養を取るにしても、その量で賄えるエネルギーはちょっと足りないかなと。
なので体も食べちゃったら良いかなって。あと、神様や吸血鬼を出してしまったので、霊を出しても違和感がないかなって。霊から多くのエネルギーが取れれば、物理的な量は気にしなくてもいいかなと思いました」
『なるほど、血だけだと食べられる量が少ないからね。了解しました』
とりあえず具体的な霊的なものの説明は無いってことだな。
「あと、最後のオチというか、神の怒りのくだりは必要なの? それとスキル、魅了と支配は何となく吸血鬼だから有りかなとは思うけど。変身って何?」
お、それは私も思ってた。ナイスだ日笠君。
「はっはい。話なら落ちを付けた方が良いかなって。それに人を減らす目的で行ったけど、吸血鬼が人の延長線上にいて愚かだったら、同じことが起きるかなって、思いました。
そっそれと、吸血鬼って蝙蝠になって飛んだり、羽が生えて飛んだりするイメージがあったので、入れておきました」
さよかー。
質問が無くなったので、次は“ななるゾン”だね。
・感染原因 不老不死の研究
・感染手段 不老不死の薬、ウイルスが体内に入ったら、感染者に噛まれたりすると
・感染先 人、哺乳類
・五感 五感全て有り
・襲う相手 人、動物
・エネルギー 人や動物を食べて、普通の食料品も食べれる
・ステータス 初期段階では元の生物と同じ、知力は残る、元の状態に戻れる可能性有り。完全にゾンビ化すると知能は無くなるし、死んでいるので元には戻れない
・寿命 初期段階では寿命が若干延びる、完全にゾンビ化した場合は数年で劣化して活動停止
・弱点 初期症状の場合は人と同じ。多少は回復力があるが、複数個所刺されたり、切られたりしたら死ぬ。完全にゾンビ化した場合は、体は欠損するものの死なない。頭を破壊すると攻撃が出来ないゾンビとなるが死なない。ただし栄養が取れなくなるのでしばらくすれば死ぬ
・襲う理由 感染すると人や動物の生肉や血を欲する。本能のようなもの。それと食事
シナリオ
医薬品メーカーが不老不死の薬を開発。動物実験でモルモットや猿での実験を実施中。その医薬品メーカーの会長の寿命が近づいており、勝手にその薬を注射した。
その後、体の組織が活性化し、体が徐々に若返るが、ただの食べ物だけでは満足出来なくなる。秘書を襲いそうになるが、ペットの犬に邪魔をされて、秘書は無事に逃げれた。邪魔した犬を食べてしまう。
自身の残虐性に驚くものの、体を包み込む満足感。そこで自分が食べるために大量の動物と肉食獣を購入し、表では上流階級のエリート、裏では血肉をすする不老不死の人間として活動する。
不老不死の薬は研究を続けているが、モルモットの実験でも残虐性行動が抑えきれず、実用化には至らないまま。
数年が経過し、会長が若返ったこと年を重ねても老けていかない事に疑問を抱く、周囲の人間や他の上流階級の老人達。上流階級の老人達が調査させた結果、不老不死の薬があることが判明。それを盗み出すことに成功。
その薬を飲んだ人達が、周囲の人間を襲い始める。襲われた人の中には、抵抗して逃げることに成功するが、感染して周囲の人間を襲うようになる。
パニックは発生したが、食後は一旦理性を取り戻すため、自制心が効いた人間は自ら死を選択したり、自首したり、閉じこもることで被害は最小限に収まっていた。
一方会長には異変が発生していた。また急速に老化が始まったのだ。会長は薬の効果が切れたと考えて、再度薬を注射した。体の再生が始まり、また体が若返るものの、自我が無くなっていく。ウイルスが会長の体の中で変異して、ゾンビになってしまう。
ゾンビ化した会長は、自宅のお手伝いさんや動物を襲い始める。逃げ出したお手伝いさんや動物の中には変異したウイルスに感染した物がいて、こちらはゾンビとして活動を始める。
ゾンビ化した人や動物達は、知能が低下しているので、生肉を餌にした罠などを用い、警察や自衛隊により討伐されていった。
医薬品メーカーでは、不老不死の効果を無くす薬も開発されていたため、ゾンビ化する前であれば回復することが出来た。
その後、医薬品メーカーは責任を取らされて解体し、多額の賠償金を払うことになった。盗み出した犯人達の中で生き残っている者は同様に多額の賠償金と刑事罰を受けることになった。
会長の家から逃げ出したペットと思われる生き物が、アップになって終わる。
「いっ以上になります」
『質問です。これ死んでいるの? ゾンビなの?』
「そこなんですが、どうしても、死んだ人間が動く原理が思いつかなくて。初期の段階では死んでません。変異後は一応死んでいます」
だよねぇ、やっぱり死体が動くっておかしいもんな、納得できないし。おっ日笠君も何かあるようだな。
「感想なんですけど。不老不死の研究って、医薬品メーカーというより、世界のお金持ちがしそうだよね。なので話の舞台は、アメリカとかヨーロッパの方がしっくりくるかも」
「そっその通りなんですが、何とかなるタイプのゾンビなので、海外のゾンビが日本に来るようになってしまうと、それはどうにも成らないゾンビになるかなと思いましてそうしました」
「なるほどね、了解しました。逆に“悪ゾン”設定にしようと思えば出来るってことだね。それに治療薬があれば、他の“悪ゾン”も“ななるゾン”に出来るかもね」
『これで全員のゾンビ像が出たと思います。この後は追跡調査すべき内容を決めましょう。癌治療の方法以外で追跡調査した方が良い内容ってありますか?』
「それ以外は追跡調査する程の内容は無いと思います」
日笠君の発言に、山田さんもウンウン頷いて同意している。追跡調査は日笠君が担当することになった。
じゃあ、次は課としての“悪ゾン”と“ななるゾン”だな。